どうも、へびまるです
hnrdの両片想い、リクエストです!
いつものように土曜ではなく金曜である、というのはまぁ、みなさん理由など簡単にわかるかとおもうのですけれど、
ギリギリ間に合ってよかったです
日付を超えるところでした…
危ない危ない
時系列的には去年の2月14日です
とはいえへびまる自身はあまり詳しくないのでご了承
あと仮面の存在忘れてました
最初から最後まで2人ともないです
すんません
それでは早速!
どうぞ!
「苦くて甘い」
2月14日、ロスサントスの街並みはどこか浮かれた、甘い香りに満たされている。
バレンタインデーだからだ。
女性が男性にチョコを贈る日。最近は性別などあまり関係ないようだが。
さて、俺は今まで、この日ばかりは俺には無縁だと思っていた。チョコを贈る人も、贈ってくれるひともいないからだ。
しかし。
_____
アジトでその甘い香りに包まれながらチルタイムを過ごしていた。
流れとノリで義理チョコを受け取りつつ、俺は今日も密かに本命のらだおのことを考える。
そのらだおから電話がかかってきたのだから、当然ビビるというもの。
冷やかしはやめていただきたい。
“彼女か?”と野次が飛ぶ。彼女じゃねぇよ。いや彼氏でもねぇって。
「らだきゅ…青井くん?」
『あぇ?いまらだきゅんって言いかけた?』
「ゃあ〜そんなことないって!で?要件は?」
『ぁーえっと、今、暇…だったり、?」
急に吃り始めるらだお。なぜだろうという問いがすぐに浮かんで、まぁいっか、と思い直す。その和やかで優しい声を聞くだけで俺は浄化されたような気分になった。会いたいなぁ。
「全っ然暇。超暇」
『そ、っすか……じゃあ0000番地、で、えー、会え…ません、かね?』
やった会える!
じゃなくて。
俺なんかやらかした?直接呼び出し喰らうってなにがあった??
「えっと、今から?」
『あ、はい』
俺の片思いがバレた可能性はないだろう。一切言動には表してないはずだし、そもそも男が男を好きになるだなんて、あり得ない。まぁ俺がらだきゅんにしちゃった恋は例外なんだけどね。だって可愛いもん。
話を戻そう。
ということは、と直近の行いを振り返るも、心当たりしか無い。まぁ俺は犯罪者だから当然だが。
しかし今は指名手配もついてない。断る理由がないのだ。
「わかった」
そう答える頃にはもう、車で街へと繰り出していた。
_____
「ッスーーー…」
よん、じゃった。
震える手の中のラッピングされた包みを見る。
後悔……は、ない。
いやあるかも。
でも、呼ばなかったらもっと後悔してるかな。
肌寒い2月の晴れた空の下の空き地。
薄く積もった雪が陽光を反射して辺りは明るく、それでいて寒い。
だがこの震えは寒いだけじゃない。
怖かった。
幾度となく夢見た笑顔の彼と、悪夢の中の眉を顰めた彼。
俺はこれから、どちらを見ることになる?
なんとか自分を沈めようと暗示をかける。
「おおおち、おち、落ちつ、着けっ」
逆に落ち着かない。
「とっとりあえず、し、深、呼吸」
刺すように冷たい空気を肺いっぱいに吸い込んで__
キィイイイ!!
唐突に響いた盛大なブレーキ音に驚かされて、息を吐く直前だった俺は叫びながら咽せた。
車の持ち主は、つい先ほど呼び出したハンクだった。
「は、速いっすね」
「急いで来たから」
なんかもう、驚きすぎて落ち着いたわ。
諸行無常的な心持ちで、ポケットから赤い袋を取り出す。
「え…らだおくん?、それ、」
「チョコっすよ。ほら、今日バレンタインデーでしょ?」
「は、…え?」
魂でも抜けたようにポカンと口を開けたまま一向に受け取らないハンク。仕方なく胸ポケットにチョコを突っ込む。
「ほーら、早く受け取ってください、よ!」
やってしまった後で冷静になって考えると、なんだか恥ずかしくなってきた。
やばい。
渡しちゃったよ。
どうしよう。
「じゃ!おれはこれで!!」
勢いに任せてバイクに跨り、帰ろうとすると、何か思い詰めたような表情のハンクに腕を掴まれる。
「ひとつ質問があるんだけど」
「な、なんだよ…?」
沈黙が続く。周りの音が雪に吸収されているのか、やけに静かだ。
「これって、……義理?…本命?」
しんしんと雪が降るこの場所が、少しロマンチックだと思った。
気づけば俺は、こう答えていた。
「本命………って、言ったら、…?」
再び、チョコを渡した時とおんなじ表情でフリーズするハンク。
俺もさっきと同じ理由で頭を抱えた。
やべぇ。
言っちゃったよ!
どうしよう!!
「いっいや、嘘!義理!義理だから!!」
急いでエンジンをかける俺、その腕を掴むハンクの手に力がこもる。
「ちょ、待って」
知るか、逃げてやる。こんなの恥ずすぎる!
アクセル全開にして、俺の体は前に進むはずが、ハンクの力が強すぎてひっくり返った。
何がどうなったのかわからない。
反射で目をぎゅっと瞑ったまま、2人分の悲鳴とドサドサッという効果音を聞く。
そーっと目を開けて、俺は目の前の状況に息を呑んだ。
_____
目の前に、真っ赤になったらだおきゅんがいる。
近い。
偶然、本当に偶然、まさかの床ドン(正確には雪ドン)を達成してしまったというのだ。
もう鼻と鼻がぶつかってしまうんじゃないかって距離だ。
互いの白い息が溶け合って消えていく。
何か言おうとして、でも言葉が出ないのだろう、ぱくぱくと狼狽える口を縁取る、その可愛らしい唇。歯を立てたらどんな反応を返してくれるのだろうかと、噛みついてしまいそうになる。
そんな自分を沈めるため、目を逸らした先に赤いものがちらついた。
らだおのチョコだ。
コケた拍子にポケットから転がり落ちたらしい。
そうだ、今俺が知りたいことはひとつ。
このチョコが本命か否か。
らだおは義理だと言い張っていたようだが、どうにも信じられない。この表情、仕草、まさに嘘つきっぽいというか。
本当のこと、言ってくれないなら。
言わせればいい。
雪の中によく映える赤に手を伸ばした。
「らだおくん」
「ハイッ」
俺の下で、らだおは裏返った声をあげる。
「このチョコさぁ…食べていい?」
「え、まぁ…それもう、ハンクさんのもんなんで……」
「じゃあ、いただきます」
リボンを解いて、赤い袋から包みを取り出す。かなり厳重に梱包されてるな。もう一枚の袋を剥がす。可愛らしい手作りのガトーショコラ。
「手作りじゃん」
「まぁ…」
え?これで義理は無理があるんじゃね?ガチやん。
「いただくよ?」
「どうぞ」
口に含むとほろりと崩れ、ビターな味と程よい甘さが広がる。脊髄反射で、うま、と呟いてしまう。
らだおは心底ほっとしたような笑みを浮かべた。
「よかったぁ…!」
「もしこれが本命なら、お返し、しねぇとな」
「は?」
指の甲で顎に触れて顔を寄せる。
_____
まて、まてまてまて!
「は、ハンク!?」
まただ!顔が近い!!
供給過多により脳が視覚にストップをかける。
でも、次の瞬間、俺の口の中にチョコの苦味が広がった。
初めてのキスは思ったより短かった。
ちゃんと顔を見ておけばよかったと後悔しながら、そろりと目を開く。
「らだお……風邪ひくぞ?」
「あ、ありがとう…」
そういや俺ずっと雪ん中にすっ転がったままだった。ハンクの手を掴んで起き上がる。少し、気まずい。
「……ぁ、えと」
「これだけ返されて、まだ、義理チョコだって言う?」
「ぇ」
驚いてハンクに目線を向けると、ちょうど赤く染めた顔を逸らしたところだった。
ハンク?
あぁもう、ここまできて!
言っちゃダメなんて、あり得ないよな!
「……本命、です」
「そっか!」
真摯な双眸がこちらを見つめた。
「……あのさぁ、俺、らだおが好きだ」
何か、何かを返さなければと思うけど、夢が叶う嬉しさで声が詰まる。
「っハンク、…俺も……!」
大粒の涙を溢す俺を、優しく包んでいくハンクの手と雪と苦くて甘い香り。
仕方なくふにゃりと笑う。
「……ふは、ずいぶんと気の早いお返しだったなぁ」
「まぁ…ホワイトデーまで待てないからな」
fin
はい!お疲れ様です
ということで、リクエストありがとうございました〜!
ご要望に適ったものであれば幸いです
感想、工夫等はつぶやきにて
眠いのでもうへびまるは寝ます
なんで明日の夜、投稿かと
それでは!
またお会い致しましょう
コメント
8件
これの続き欲しぃぃぃい
うぁぁぁぁあ………めっちゃ甘いッッ… rdo可愛いッッッッ…………