運び屋

ファッションショーが終了し、ロビーは再び静寂に包まれた。参加者たちはそれぞれ自分の席に戻り、次の指示を待っていた。心臓が鼓動する音が聞こえるような静けさの中、モニターが再び点灯した。

「ファッションショーの結果を発表します。得点は100点満点中、90点以上の方が合格となり、元の体に戻る権利を獲得します。」

モニターには視聴者からの投票が反映されたランキングが表示され、参加者たちの名前と得点がスクロールしていく。彼は息を飲み、モニターに表示される名前を見つめた。

「それでは、90点以上の獲得者を発表します。」

一人目の名前が呼ばれると、ピンク色のエフェクトが画面に舞い散り、拍手の音が鳴り響いた。彼女は自信に満ちた表情で立ち上がり、軽く会釈をした。

次々と90点以上の得点を獲得した参加者たちの名前が呼ばれていく。その顔ぶれは皆、ステージで圧倒的な女性らしさを見せた人々ばかりだ。彼もその中に自分の名前があることを願ったが、希望は次第に薄れていった。

そして、7人目の名前が呼ばれた。

「…エントリーナンバー23番。」

最後の名前が告げられた瞬間、モニターに野球帽の女性の姿が映し出された。彼女は一瞬信じられないという表情を浮かべたが、次の瞬間には顔を輝かせて立ち上がった。周囲からは自然と拍手が起こり、彼女は照れくさそうに微笑んだ。

「やったな…」

彼は心の中で祝福したが、同時に自分の結果が気になって仕方なかった。90点に達しなかった場合、どうなるのか。次のミッションに進まなければならないのか。

「次に、その他の得点を発表します。」

モニターの画面が切り替わり、今度は全参加者の得点が一覧で表示された。彼は自分の番号を探し、見つけた。

「45点…」

彼の番号の横には、そう書かれていた。彼の胸に重くのしかかるものがあった。半分にも満たない得点。ファッションショーでの彼の努力は、視聴者にはほとんど伝わらなかったのだ。

「次のミッションに挑むことになった方々、引き続き頑張ってください。」

館内アナウンスが流れ、次のミッションに進むことを告げた。90点以上を獲得した者は船を降りる準備を始め、合格者たちが少しずつロビーを後にする中、彼を含む残りの参加者たちはその場に取り残された。

彼はため息をつき、肩を落とした。これで終わりではない、次がある。だが、次はどんな試練が待っているのか、それを思うと不安でいっぱいだった。彼の視線の先には、合格して去っていく7人の後ろ姿があった。

「次こそは…」

彼は心の中で誓いを立てた。自分の体を取り戻すために、彼は次のミッションに挑まなければならない。そのためには、もっと自分の女性らしさを引き出す必要があるのだろうか。それとも、何か別の方法があるのだろうか。答えはまだ見つからないが、彼はその挑戦を受け入れる覚悟を決めた。