テラーノベル
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______夏祭りの夜を思い出して顔が熱くなる。
あの後俺はそのまま気絶するように寝てしまった。翌朝もいつも通りだったけど……
悠に名前を呼ばれながら果てたあの夜を思い出す。優しく、切ないような悠の表情が忘れられない。
なんか…
なんか………
「めっちゃ恋人ってかんじだった…」
「え?なに、瑞樹彼女できた?」
横から健人に話しかけられて我に帰る。
物思いに耽りすぎて、大学の仲良いグループで飲み会に来ていたことを忘れてた。
「彼女じゃねー……」
「前言ってた子?負けないとかなんとか」
「……負けた」
「負けたの?笑 てかなんの勝負笑」
ゲラゲラおかしそうに笑われて背中を叩かれる。いたい…。
でもほんと、なんの勝負だよ…。
俺だけ好きになって、どうすんの。
苦しいだけじゃん。片思いなんて。でも
またこの前みたいに抱かれたら、あんな顔されたら、いよいよ想いを隠していられないかもしれない。
「はぁ〜〜〜」
「ため息でか笑 ほらほら、飲んで忘れようぜ」
「っ、だな!!飲みまくる!」
「おー!!」
ジョッキいっぱいのビールをごくごくと流し込む。頭がぐらっとなって、あれ…まって
やばいかも……。
……
………
体がだるい。地面がずっと動いているみたい。
遠くでみんなの声が聞こえる。
「……き、みずき、起きれる?」
「こいつの家知ってるやつ」
「ー方面だったけど…まってどこだっけ」
「瑞樹、住所言える?」
「………ダメだ完全に落ちてる。 瑞樹のスマホとって」
「__……____」
「仲良い……なんとかにい」
「兄貴?」
「いや幼馴染の……あ、これだ、隼にい」
俺のスマホから呼べる人を探しているようだ。
「……瑞樹〜、隼兄?呼んでいい?」
「……ゆう」
「ん?なに?」
「悠がいい……」
「悠って誰だ……あぁこの人かな、呼ぶよ?」
俺は黙って頷き、再び眠ってしまった。
………
……………
また少し遠くで話し声が聞こえる。
友人達と……
あ…これ、悠の声…。
「…き、瑞樹、立てる?」
「ん〜…」
「ほら…掴まれ」
身体を支えられながらゆっくり立ち上がる。
ふわふわした感覚の中で、触れているところから悠の体温を感じる。
……
…
「酒強くないくせに…飲み方気をつけろよ」
「…ふ、ふは」
「……っふ、ご機嫌だな」
タクシーの中でおでこにデコピンされる。
こんなのですら嬉しくて、笑ってしまう。
しばらく経つと、少し酔いが覚めてくる。隣に座る悠は少し髪が濡れていた。
お風呂に入ってたんだろうか。俺が呼んじゃったから、急いで来たのか…?
そばに置かれる手をぎゅっと握ってみる。悠は少し驚いた顔をした後、どうした?という表情で微笑む。
「…っ」
好きだ…。どうしようもなく、すき。
こてん、と悠にもたれて目を瞑る。優しく頭を撫でられてまた、俺は眠りについた。
________
____________
支えられながら部屋まで着く。
「ほら、水」
水の入ったコップを渡され、 ゆっくり飲み干す。
「結構酔い冷めた……ごめん、急に呼んで」
「…俺がいいって言ったらしいじゃん」
ニヤッと笑いながら嬉しそうな表情の悠。
「そ、そうだっけ」
正直、1番悠に会いたかったんだ。
空になったコップに水を足しにいく悠。
来てくれて嬉しい。こうやって、悠の優しい部分を知れて。でもこれって、俺だけじゃないんだろう?
俺の隣にストン、と腰を下ろす悠。
「……優しいな、悠は」
「…別に優しくねーよ」
「優しいよ、そんなんじゃみんな好きになっちゃうんじゃねーの…」
何を言いたいんだ俺は。ぐるぐる考えながら、口から飛び出る言葉は止まらない。
「みんなってだれ」
「っ、俺以外でこうやって会ったり、……や、ヤったりするやつら、!」
「は?まって、なんの話?」
「セフレだよ…!いるだろ、ほかに」
俯きながら死ぬほど後悔する。
言ってしまった。
悠が深いため息をつく。
絶対面倒くさいやつだって思われた。
「……っは〜、いや…俺が悪いなこれは」
「…?なんのこと」
悠の口から何を発せられるのか怖くて仕方ない。
「……最初は、むかつくやつだと思ってた」
なんの話だ?予想外の言葉で、余計にわからなくなる。
「隼には意味わかんねぇくらい懐くくせに、俺のこと大っ嫌いだし」
あ…これ、俺のことだ。
「ムキになって、ガキの頃はどうやったら懐いてもらえるかばっか考えてた。その度お前のこと目で追って」
ぽつり、ぽつりとゆっくり話す悠。
「気づいたら好きだった。……セフレなんかいないし、俺はずっとお前が欲しくて抱いてた」
「……っ」
「お前が隼のこと好きなのも知ってた、諦めきれないのも…俺がお前に対してそうだから。」
「俺は…っ」
「それを利用して、隼の代わりでいいから俺から離れられないように縛り付けた、……ごめん」
本当に?信じられなくて 悠をみる。表情は俯いていてよく見えないが、声も、手も少し震えてるみたいだった。
「…違うよ……隼兄の代わりなんて、思ったことない」
ちゃんと伝わるように、俺もゆっくり言葉を紡ぐ。
「俺も…悠のこと、すき…だから」
「は…?お前、気遣ってんなら
「本当だよ!」
悠の腕をぎゅっと掴む。
「最初は……あんま好きじゃなかったけど…」
「…ふは」
「好きになるだろ!あんな…っ優しく抱いたり…今日だって」
「……うん、」
見上げると嬉しそうな表情の悠と目が合う。恥ずかしいけど、俺もなんだか嬉しくって、笑ってしまう。
「好きだからやってた」
「〜っ、ばか…」
「……瑞樹、俺と付き合って」
「…当たり前…っ」
「っ、は〜〜〜……」
安心したように大きなため息をつく悠。今日は珍しい姿ばっかり見ている。
「…いつから好きなの」
「言えるわけねー」
「……ふふ」
「笑うなよ…ちゅーするよ」
「…いいよ?」
「…っは〜〜…お前…」
頬に手を添えてキスをされる。
いつもより優しくて、確認するみたいなキス。
「…ふ、ん…っ、」
「っ、はいおしまい…酔っ払いはもう寝ような〜……って、なんでそんな残念そうなの」
表情に出ていたらしい。
「ちがっ…」
「俺はいーけど……お前寝ちゃうだろ、酒飲んでるし」
「……寝ないように頑張る…から」
「頑張るからえっちしたいって?可愛いな」
「かわ…っ?!」
呆気に取られていると、今度は強引に唇を奪われる。
「っん…ぅ、ふ…」
息が苦しくって、でも気持ちいい。
ドサっとベッドに優しく押し倒される。
俺の頬を撫でながら目を細めて見つめる表情。
この顔、好きって表情だったんだ。
なんだ、ずっとしてたじゃん。
胸がきゅううっと苦しくなって、俺はそっと悠の背中に腕を回した。
まる。
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