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闇の中に立つ影が、静かに微笑んだ。
「ようやく来たか、観音埼。」
その声は、聞き覚えのある、どこか懐かしい響き。
けれど、その瞳にはかつての柔らかさはなく、鋭く光っている。
「……剱埼!」
観音埼は、一歩踏み出した。
剱埼灯台。
かつて何度も背を預け、何度も喧嘩をしてきた――兄のような存在。
「やっぱり、お前も……“逆光”に囚われてるのか?」
「囚われた? そんなつもりはない。……むしろ、ようやく目が覚めたんだ。」
彼の手には、白く光る刃――“逆光の剣”。
空間ごと裂けるようなその威圧に、観音埼の足がすくむ。
「剱埼、なんで……っ!」
「お前さ、いつも前に出すぎなんだよ。」
鋭い言葉が飛ぶ。
「誰にでも元気振りまいて、余計なところに首突っ込んで……見てるだけでイライラする。」
「……っ」
「でも――俺は、それが嫌いじゃなかった。」
「……え?」
剱埼は目を細め、刃を降ろす。
「……観音埼。俺はずっと、お前が“折れないこと”が怖かった。」
「俺は……二度と灯れなくなるんじゃないかって不安になるたび、お前を見て安心してた。」
「それなのに、お前がもし消えたら、って思うと……俺の中の何かが壊れそうで……」
「だから、“先に壊してやろう”って思った。」