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「…はー、やば。吐きそう」
「急過ぎるでしょ」
二人がそんな呑気に話している間に、僕はパソコンと睨めっこしていた。別に調べるのはいいとして、調べる理由がわからない。医者として症状が治ったら終わりの関係なのに。そもそもなんで僕はここにいるの?
無意識に僕は自分の腕を掴んでいた。心理学的に見て、〈不安〉のサインだ。また、抱きしめて安心させてもらいたいけどそんな相手がいないから、自然に見えるように片腕を掴むことが多い。(大丈夫)と自分に言い聞かせる。護身用に勉強してた心理学が役に立ってよかった。
「…見終わった?ちょっと話したいことがあるんだけど」
例の…mz?だったかな、の人に頷いてパソコンを返す。乗ってたのは僕含め三人の国籍の情報と生い立ち。簡単に要約すると、僕のところに書かれていたのは「虐待を受けていた。十二歳で両親に捨てられて孤児院に引き取られるがそこでも酷い環境下に置かれる。会話可能。体の欠損なし。」他の一人は「虐待を受けている。食事の異物混入や暴行など。基本的に塞ぎ込んでいるため会話は基本罵倒以外は不可能だと思われる。体の欠損はない。」一応顔写真も載せられてて、中高生くらいの男子に見えた。もう一人は「仲の悪い両親のストレスの捌け口にされている。学校では声が高いことなどから、酷い待遇を受ける。会話は不可能だと思われる。体の欠損無し。」小学生、嫌中学生くらいだと思う。
(バタッ)
「ん、?」
(ガンッ ガタッ バタッ)
「え、なに?at分かる?」
「これ隣の病室から。起きたのかな。」
ガタッと音を立てて立ち上がる二人を見ていると「来る?」と言われて、少し迷ったけど頷いた。杖?みたいなの出してもらって腕掴んでなんとか歩く。
「開けるよ?」といって、病室の扉が開く。思わず恐怖のような感情に息を飲んだ。___人が倒れている。繋がれていた点滴台が倒れていて、点滴が繋がれていたであろう腕からドクドクと血が流れているのが遠目でも鮮明に見えた。それも、先程パソコンで見た国籍の一人で、正確には二人目だということが見てわかった。写真で見た時も思ったけど細いというか、小さいというか。
「…!mz、○△□と包帯」
「…了解」
二人も少々唖然としていたものの、すぐに動き出す。僕も壁から手を離して自分でその子に近づいてみる。意識があるのかは分からないけど、状態が良くない。致死量とまでは行かないけど、かなりの量の血が出ている。すぐに止血しないと危ない。震える手で腕を抑えて無理矢理止血するけど、怖いくらい肌に冷たい。
「体制が良くないな…けちゃ、ちょっと動かすから気をつけて」
「うん」
手を離した拍子に自分の手のひらに目がいく。血塗れだけど気にしてる余裕もなく、また壁に体重をかけて運ばれたベッドまで歩く。どうやら魘されているようで、心做しか苦しそうだ。
「at、点滴。…って、酷いな。」
「mz、tg多分熱ある。」
「…何してんの?」
妙な静寂に声が響いた。