ブルーロックで雑用係をしている私には食堂で使うカードを渡され、選手に提供している食事のどれかを自分で選べるようになっているそうだ。
「わっ、いっぱいある」
200種類以上あるもんね、たくあんとかもあったけど。
どれにしようかな〜、たくあんはないとして…と迷っていると後ろから声がしてきた。
「如乃さんか?」
「あ、國神さん…でしたっけ」
「やっぱりそうか!おう、覚えててくれたんだな」
「はい、國神さんもご食事ですか?」
名前間違えなくてよかった、一瞬成早くんと迷ったんだよね。なんか似てるじゃん髪型とか。いや似てないか?まあいいや、覚えてないってことで。
「おう、早くトレーニングしたくて。てか敬語じゃなくていいぞ、昨日言ったろ」
「あ、そだね!」
すっかり忘れていたけれど寝起きのせいにして、國神さんのご飯がカレーだったので私もカレーを選んでからそのまま談笑していた。
「如乃ちゃん!……と國神」
「潔。お前も飯か」
「おう。なあ、なんで如乃ちゃんと一緒に食べてんの?カレーも同じだし」
「私が何食べるか迷ってる時に会ったの。それで國神くんがカレーだったから私もそれにした」
「へー…」
腑に落ちないといった様子だったけどその事には触れず、黙々とご飯を食べ進めていればその場に沈黙が流れた。誰も話出さない。
なにこれ気まずい、私が何か話さないと。と思い頑張って潔くんに話を振ることにした。
「いさ、「世一」
世一?
「世一、くん……?」
「うん、なぁに?」
名前呼びにしろ、という事で合っていたらしい。これで勝手に名前呼びにするな!!とか言われたらどうしようかと思った。なんで名前呼びにしないとダメなのかは分からないけど、気にしても無駄だと思いそのまま話を続けることにした。
「世一くんはおかずなに?」
「俺はね、納豆」
納豆。
「すごい差だね」
笑いそうになったのを誤魔化すようにカレーひとくち食べる?と聞けば食べる、と答えたのでスプーンでカレーを一掬いし潔……世一くんの前へ持って行けば1秒くらい固まってから顔を少し赤く染めてぱくりと食べた
「積極的だね」とはにかみながらに言っていたが何と返せばいいのか分からなかったので「んー」と曖昧に返事をし、また残りのカレーを食べ進めた。今度は國神くんが話を振ってくれたので気まずくなかった。おーけーおーけー。
今日は試合があるらしい。ブルーロックが始まってからちゃんと試合するのは今日で初めてかな。なのでいつもは皆トレーニングルームに居たりして掃除する時にちょっと話したりするけど今日は皆いないのでいつもよりも早く終わりそうだった。
ちなみに私のここでの主な仕事はスポドリとタオルをみんなに配ることと食堂やみんなの部屋を掃除するための機械を起動させたりすること。コンセントさすものは刺して、ポチッとボタンを押すだけなので楽だ。仕上げというか、確認の為に最後見て回ったりホウキではいたりもするがそんなに大変ではない。それと、スポドリも優秀な機械が作ってくれるので運ぶだけでいいから結構楽。でもどうせならスポドリとか運ぶ機械もあればいいのに…と思ってしまったが費用をそんなに使いたくない、と言っていたので仕方ないよな、と自分を納得させた。カツカツらしいからね。
「試合…見ても分かんないよなぁ」
ルールは相手のゴールにボールをいれる、ということくらいしか知らないので見ても分かんないと思う。こんなサッカーのプロジェクトに参加……とは言わないか。ただの雑用だけど、そもそも私がここに居るのはあの二人の我儘だし知らなくても仕方ないよね。ここで働くのを強く拒否しなかったのも私だけど。
ちなみに、初日は「給料?そんなもんない」とか言われていたが、今は普通に相応…いや、それ以上の額の給料を貰えていたりする。帰ったらこのお金で新しいゲームともっと高性能のタッチペン買おう。
というか、今日試合があり誰かがゴールを決めればゴールポイントを貰える。それでやっと私のスマホを返却してもらえるのでは!?玲王くんと約束してたよね、私。
「あ」
そうだ、自分からキスしないとダメなんだ。自分から求めるというのは少し___いや、ものすごく抵抗がある。でも自分のゴールポイントを私なんかのために使ってくれるんだから相応?いや、ゴールポイントの方がかなり価値があるよね。だからこれは甘んじて……じゃなくて、喜んで受け入れるべきなのか。
まぁ今日の試合で絶対にゴールポイントが貰える訳じゃないんだから今考えてもね、という結論に至ったので他のことを考えることにした。
そこから掃除も終わり、現在は試合中らしい。あ、掃除してくれたのはほとんど機械ちゃんなんだけどね。最近の技術は凄いのである、軽く見るんじゃないよ。
ちょっと試合モニターで試合観てみようかなぁ。
「失礼します、試合観にきました」
「如乃ちゃん。掃除は終わった?」
「ばっちり。ほとんど機械がやってくれてるんですけどね」
試合をモニターで観てみると、どうやら終盤で二子くんのチームがばぁーっとなっていた。
語彙力皆無なのはいつも通りだから安心してね。
「あ、終わった」
チームZが勝ったらしい。
そして次は誠士郎くんたちのチームの試合があるらしい。特に予定もないし見ようかな、玲王くんがポイント取ってくれるかも気になるし。玲王くんなら行けるよね、頑張れ。私のためにも。というか私のスマホたちのために応援してる。
「キックオフ…」
そういえばサッカーの試合をちゃんと見るのは初めてかもしれない。白宝高校の試合は誠士郎くんと玲王くんに言われてよく試合を見に行っていたけれど他のやつに如乃を見られたくないし…と言われかなり遠いところから見ていたのでしっかりしたところは見えていなかった。試合の終盤になると近くに行って、終わればすごーいおめでとー、と声を掛けに行っていた。(行かされていた)
「お、すごい」
前髪で目が隠れてる子がボールを奪った。瞬時に状況を理解してあえて遠巻きからこぼれ球を狙ったんだろう。すごーい、頭いいんだろうな…お、次は玲王くんがボールを持った、と思えば次はメガネの子が玲王くんからボールを奪った。すごいこのメガネくん、めちゃくちゃ早い。そのまま直線にシュートを狙い、ゴール。キーパーの子も経験ないからゴールはしやすいんだろうな。この2人がタッグでも組めばすごく強くなりそう。シュート力は結構あるっぽいしこのメガネくん。身体能力で劣った部分がないが特に突き出た能力も無い玲王くんと足の速さが飛び出て凄いメガネくん。いいじゃん…って誠士郎くんGKなってる。お、玲王くんボール持ってる、頑張れ私のために…!!ってあー、前髪くんに奪われちった。わ、メガネくん向かってる…奪われそう。お、すごい玲王くんが2人を衝突させてボールキープした。やっぱり頭良いなぁ。お、ゴール。流石だよ、このまま頑張ってくれ。
「よっしゃ…」
玲王くんが3回ゴールしてくれた。これでスマホをゲット出来る……何日ぶりかのスマホに涙が出そう…というか涙が出てきた。ダメだ、止まんない。隣にいるアンリちゃんと絵心さんから変な目で見られてるけどまあいいや……良かった。
誠士郎くんもスマホのためにやる気だしたっぽいな。
結果は8ー0でチームVの勝利だった。
「あっ、如乃迎えに来てくれたんだな♡」
「如乃〜、俺頑張ったよ〜♡」
スポドリなどを運びに来たことを「迎えに来た」と都合よく解釈してくれた玲王くんと誠士郎くんが抱きついてきた。背中は玲王くんが支えてくれていたので倒れそうになることは無かったけれど、チームの方々からの視線が痛い。
「カノジョか?」
「そうなる予定〜」
「なんだ、バカ斬鉄のくせに分かってんじゃん。如乃と俺らは愛し合ってるんだ」
まあ否定してスマホ貰えなくなっても嫌だし今は否定しないで良いか、と思い2人の言葉はスルーしてチームZの選手たちにタオルとスポドリを配り、玲王くんにはあとで食堂で会おうね。と伝えてチームZの部屋を出た。
次はチームYの人達にもタオルとスポドリを私に行こうとすると、途中で前髪くんを見つけた。
「お疲れ様です、さっきの試合すごかったですね」
「…ありがとうございます。1点も入れられませんでしたけどね」
「アーッ、そうですね…で、でも前髪くんならこれからもっと成長できると思いますよ!!前髪くんは今はーーーー」
「すみません、つい話しすぎちゃいましたね。雑用係のただの独り言だと思ってください…」
「いえ、ありがとうございます。これからすることが見えてきました……僕の名前は二子一輝です、覚えておいてください。貴方のお名前は?」
「私は如乃です。二子くん、覚えました。では私は今からチームYの部屋へ行くのでまた今度」
「あっ待ってください、僕も部屋に戻るので一緒に行きたいです」
道に迷いそうだな〜と不安に思っていたので一緒に行ってくれると言ってくれて内心大喜びして是非、と答えた。というか二子くん、前髪で目が隠れているけど前見えてるのかな。うーん、隙間から見えてるのか…?でもそんなに見えるほど隙間は無いし。でも試合の時はしっかり状況把握できてたからちゃんと目見えてるのかな。あ、もしかしてものすごく目が良くて前髪で隠しておかないと見えすぎちゃうから…的な?ってゲームのやりすぎかなぁ。
「それ僕が持ちましょうか?」
前髪で隠れていてしっかり目は見えているのかと考えていると二子くんがそれ、と私の持っているカゴを指して言ってくれた。
「あっいや、大丈夫ですよ、雑用なので…!お気遣いありがとうございます」
「いえ、僕が持ちたいんです。貸してください」
「ワッ、ありがとうございます。ではお言葉に甘えて」
凄い、これはモテるぞ。
何時間か経ち、やっと全チームにタオルとスポドリを配り終わることができたので食堂へ向かった。玲王くんと約束していた時間にはギリギリ間に合いそう。
「ワッ」
「あ、悪ィ。大丈夫か?」
「はい、大丈夫です。こちらこそしっかり確認せずぶつかってしまいごめんなさい。お怪我はありませんか?」
「うん、大丈夫。ありがとな」
「あの、重ね重ね申し訳ないんですが良ければ食堂まで案内して頂けませんか…?」
「食堂…?良いけど。」
「ありがとうございます!!」
凄い、これはモテるぞ。こんなにいい人がこの世にいるだなんて。
「あー、えーっと、お名前教えて頂けませんか?私は…」
「如乃ちゃんだろ?この前チームZに来てくれた子。俺は千切豹馬だ」
「ワッ、覚えてくださったんですね…!!とっても嬉しいです、ありがとうございます!千切さんですね、私も覚えました」
「ははっ、大袈裟だな。千切さんじゃなくて豹馬でいいよ」
「ひ、豹馬くん…ですね」
「うん、そう。いい子だな、よしよししてやる」
そう言って頭を優しく撫でてくれた。
凄い安心感だ、お兄ちゃん力半端ない…
頭を撫でてくれている心地良さで無意識に豹馬くんの手に擦り寄ってしまっていて、恥ずかしくなって離れようとすると豹馬くんが少し照れながら「かぁわいい」と甘い声で言ってくれた。更に私の顔は赤くなったがなでなでしてくれて気持ちいいのでもう何でもいいや。
「はーい、食堂到着。」
「ありがとう。豹馬くんが居なかったら絶対迷子になってたよ〜。ほんとにありがとう。豹馬くんはもう夜ご飯食べたの?」
「うん、もう食べちゃった。今度また会おうな、そん時は一緒に食べよ。」
「はい、ありがとうございます。ではまた今度」
豹馬くんとお別れして今は何時だ〜、、と確認すると玲王くんの約束の時間から3分過ぎていた。
ま、まぁ3分…玲王くんもまだ来てないかもしれないし、と、思ったが玲王くんはしっかり時間通りに来ていたらしく私を見つけて抱き締めてきた。だが機嫌は良くないらしい。
「なぁ、あいつ誰。如乃にとってなんなの?随分仲良さそうだったじゃねぇか、浮気か?俺がいるのになんでそんなに浮気するんだ?寂しかったのか?妬いて欲しかったのか?それなら可愛いけど嫉妬で狂いそうだからもう辞めような。てか豹馬って下の名前だろ?なんで下の名前で呼んでんの、俺許可してない。俺がいるのに。あいつより俺の方が如乃のことを知ってるし如乃と愛し合ってる日数も俺の方が多いから、」
「ひょ…千切くんはそういうのじゃないよ。ね、玲王くんなら分かってくれるでしょ。ほら、それよりちゅーしたい」
「如乃〜、ほんっとにお前は可愛いなぁ…♡ちゅーって言い方も可愛い…わかった、そんなにちゅーしたいんならたくさんしような。でもまずは如乃から俺にちゅーしてきて。如乃から俺にするのは初めてだよね、いつもは恥ずかしがってしないから。大丈夫だよ、怖くないからな♡いつでもいいよ。」
「んー、うー…」
私に合わせてしゃがんでくれている玲王くんにちゅーしに行こうと顔を近づけたが近づくに連れて心臓がドキドキと痛いくらいに鳴って、顔を離してしまった。
「如乃?」
「あ、違うの、ごめんなさい……がんばるから」
ちゅっ。
触れてすぐ離れるようなちゅーだったけどこれが今の私の精一杯だ。玲王くんは満足してくれたかな…?
玲王くんの顔をドキドキしながらも見てみると顔は赤くなっていて「幸せです」というような顔をしていた。満足してくれたようで良かった、これでもっと長くとか言われたらどうしようかと思ったや。
「ドキドキしたね」
「うん、可愛かった、愛してる…今度は俺からね。如乃がもっと自分から出来るようにする練習は今度やろっか」
「ちょっとだけだよ…?」
本当は1回自分からしてすぐにスマホを貰おうと思っていたがまあスマホを貰えるなら良いか、と思い許可した。ただたくさんはしない、長ければ止めるけど。
「ねー玲王。何独り占めしてんの?」
あ、誠士郎くんだ。返してもらったスマホに夢中だと思っていたけどさっきの様子をずっと見ていたらしい。
「私から玲王くんにちゅーしたらゴールポイント私に使ってくれてスマホ返してもらえるの」
「俺もしたい」
「俺が先な。」
そう言ってから何度も角度を変えてちゅーして来て、最後には舌を入れてきたので胸板を叩いて抵抗したら誠士郎くんも止めてくれた。
次は俺だから、と言われて誠士郎くんにも言われていたことを思い出し少し絶望したがスマホのため、と思いやっと終わった。
止めてくれた誠士郎くんと舌を入れてきたので焦ったけど無事に終われてよかった。2人とも上手だからちゅー…あ、そうだキスだ!!名前思い出せた!!!…ごほんごほん。
キスだけで何か気持ちくなってきちゃうからそんなにしたくないんだよね。
そんなこんなで手に入れることのできたスマホ…何日ぶりのスマホだ、懐かしさすら感じる。
「ほんとにありがとう!!!」
スマホを手に入れてこれでもかというほどはしゃぐ私を愛しいものをみるような目でみる2人にだんだん恥ずかしくなってきたので再びスマホに目を向けた。
「あ、まってログインボーナス受け取ってない………」
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続きが欲しいと心の底の底から思っております