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僕には、前世の記憶がある。前世だけではない。前前世も、前前前世も。僕がこの世に性を持った時から現在までの記憶があるというのが正しいのだろうか…。いや、そんなことは正直どうでもいい。僕が杞憂していることは、どの僕になっても必ず出会う1人の女性のことだ。僕は彼女と必ず惹かれ合う。どれだけ出会いを避けようとしても避けられない。必ず出会い、惹かれ合い、別れる運命なのだ。こんな運命クソ喰らえとしか言えない。
ある時は王女と護衛騎士。ある時は平民の女の子と一国の王子だった。奴隷とその主だった時もあったし、平民同士かと思えば、僕が公爵の愛妾の子供で連れされた時もあった。国が滅ぼされたり、戦争に駆り出されたり。連れ去られた時もあれば暗殺された時もあった。時代が時代だったし、仕方がないこと…。と言えばそれまでなのかもしれないけれど、記憶がある僕にとって苦しいことでもあった。
けれど、彼女の笑顔は僕を幸せにした。彼女といるだけで心は安らぎ、彼女のそばにいることを、永遠を望んでしまう。なんとも辛い運命としか言えない…。まぁ、彼女には前世の記憶はなかったことが幸いだった。