※和中の兄貴と速水くん
和中の兄貴は絶対保護者してますよ。
圧倒的、保護者面した過激派。
子供に優しいから割と子供っぽい速水くんも優しくできる←
第二の保護者は小峠の兄貴←
俺の名前は、和中蒼一郎。
今、舎弟の危機に直面する天羽組の構成員だ。
いきなりだが、端的に説明すると…
『は、離せッ!俺は極道だぞ⁉︎』
『えぇ〜? 君が893?ないないww』
『もっと上手な嘘つきなよおにーさん?
いや顔的にお嬢ちゃんかww』
『つーか、マジこいつイケる顔じゃね?拉致って輪姦す⁇』
舎弟が何やら下郎共に絡まれている場面に出会した。
やれやれ、見回りの帰りが遅いと思ってきたが…
『……ふむ…』
よく状況を確認すると、
速水の背後…離れた場所で不安げな顔をする女学生らがいた。
恐らくこの下郎共に絡まれたのを速水が止めに入ったのだろう。
木乃伊取が木乃伊になっているが、
そういった事情ならば行う事などただひとつ。
『愚者一得 速水、良くぞ女学生を護った』
『わ、和中の兄貴!』
………譎詭麥幻。
何故か俺は速水を見ると奴に犬の耳や尾っぽが生えているのだ。
おやっさんのラッキーが出迎え時のようにパタパタと。
愛らしいのだが極道としては覇気が無い。
『わ、和中だと…⁉︎』
『じゃあ本当にこいつヤクザッ…、』
『貴様らのような下郎は空龍街を跋扈するな…
次、シマの人間やうちの者に粉かけるならこの和中…貴様の愚息を斬る』
刀を抜かずに射殺すように見つめれば奴等は色々と漏らしながら何処かに走っていく。
これで空龍街には二度と足を踏み入れないだろう。
『和中の兄貴ぃ…!ありがとうございます!
あ…君達も大丈夫?』
泣きそうな顔は一変、
すぐに女学生らに駆け寄り安堵させるよう微笑む速水。
うむ、カタギを気にかける姿勢は悪く無い。
……些か女学生らの頬が赤みを帯びている。
この速水泰輝という青年…いや、少年は恐らくかなりのタラシのようだ。
しかも本人は無自覚だが、
既にシマの人間だけでなく組の…それもうちの悪童もその愛らしさという毒牙にかかっていたりする。
香月までの美貌こそまだ無いが、
愛嬌は奴には充分備わっており…あどけなさ、性格や外見などが奇跡的に融合していると野田の兄貴が言っていた。
それで天羽組の悪魔ゲフンゲフン悪童らを魅了しているのだから将来が末恐ろしい。
唯一、救いなのはまだ速水は自身の魅力をいまいち理解していない。
『本当に助かりました和中の兄貴ぃ…
……はぁ…僕って…じゃなかった、俺ってなんでこううまくいかないのかなぁ…』
この少年はそれはそれは自己評価が低いのだ。
普段の爛漫さやポジティブさからは一変、
その目の奥はなにか虚無を覗かせる。
……こちらを不安にさせる色。
『……日進月歩
先程の女学生らはおまえに感謝をしていた
誇ってもいいだろう
無論稽古を怠らず日々精進あるのみだ』
『………和中の兄貴ぃ…ッ』
大きく、吊り目気味の目が潤む。
感情が全て、表情に出るのがまるで愛玩動物。
『……愛い…』
『? 和中の兄貴、いかがしましたか』
『独り言だ』
確かにコレは…堕ちそうになる。
『速水、戻ったら最低限の護身術を教えてやる』
『え、ありがとうございます!嬉しいです』にぱぁッ
『………』無自覚か
安全は決して、事務所にあるわけではない。
事務所は事務所で、
同期や悪魔と称される後輩もいるのだから。
『(仕方ない、この和中が護ってやるか)』
end
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