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前置きが長くなってしまいましたが、生活環境に特化して考えると新選組隊士は二種類に分けることができます。
すなわち個室と大部屋。
幹部たちは個室を与えられていましたが、平隊士は大部屋です。
BL学を勉強しているみなさんなら分かると思いますが、大部屋については察するにあまりあると思いませんか。
日本史のみならず、西洋史学の修道院でも言われています。
僧たちの寝台が並ぶ大部屋では、若い僧2人のベッドを並べるなと。
間に年寄りの僧のベッドを挟んでおかなければコトが始まってしまうと、まことしやかに言われているのです。
こちらのお話については、西洋史BL検定の講座で勉強してくださいね。
さて、大部屋で寝食を共にするルームメイト。
つまり、互いの全部を知った間柄です。
さきほど説明した「死」の予感も加味してください。
新選組隊士は何名かで組んで見回りをします。
不穏分子が潜んでいるかもしれない家屋に入る際、一番始めに乗り込む隊士は最も危険な役どころでした。
新選組ではこれを「死番」とよび、交代で務めることになっていました。
想像してください。
「死番」の極限の緊張感のなかでの戦闘、そしてそこから無事に生きて帰った夜のことを。
隣りで眠る同僚の体温が気になるのも無理はありません。
ほかの隊士らが寝ているところ、声を殺して致す背徳感が、ふたりの思いにさらに火をつけることでしょう。
また、夜中にふと目覚めた隊士が、隣りで致している2人に気付いたとしましょう。
たまらず自慰にふける。
あるいは翌朝、バラされたくなければ今夜は自分の相手をしろと脅すかもしれません。
何せ5万通りです。
展開は読めません。
このことから、新選組の大部屋に関するBL検定では記述式、あるいは小論文での出題が予想されます。
では、次は個室について述べましょう。
プライバシーに配慮された一人部屋は幹部の特権でした。
この個室という空間を最大限に活用したのは、BL学的見地から述べれば局長の近藤だったのではないかというのが近年主流の学説です。
新選組が大きくなり、次第に忙しくなった近藤は「小姓」として若い隊士をそばに置くようになります。
一般的に、近藤らの出身地である東国では男色はあまり見られないというのが通説です。
しかし近藤の「小姓」という役職、あまりに意味深な名称ではないかと疑問を抱かざるをえません。
日本史において男色とは珍しいものではありません。
武士の世では「衆道」として花開きました。
「小姓」というと、戦国期に大名などがそばに置いた若衆というイメージがあるのではないでしょうか。
殿の身の周りの世話から護衛、取り次ぎなど、仕事は多岐に渡ります。
相当頭の切れる人物でないと務まらないといえるでしょう。
見込みはあるものの家柄がいまひとつという若者を、殿の「お手付き」として取り立てて能力を発揮させて出世コースにあげることも、この小姓制度の目的でした。
なかには小姓との恋愛にのめりこんで刃傷沙汰を起こした大名もいましたが、ごく例外です。
処世術のひとつとしての男色とみるべきでしょう。
しかし、幕末に結成された戦闘集団である新選組はこの限りではありません。
松平容保をはじめ幕府方の人物を相手に、対外交渉を一手に引き受けていた近藤が忙しいのは分かります。
身の周りの世話や用事をしてくれる存在がいれば、ずいぶん助かることでしょう。
とはいえ、どうせ頼むならば気心知れた昔なじみの者を使うほうがよいはずなのに、なぜ京に来てから雇った若者を、近藤自らが選んで小姓に任命したのでしょうか。
有名な小姓として加納惣三郎という人物がいますが、近藤の小姓は歴代何名かいるため、ここでは人物は特定しません。
この「小姓」の役目ですが、戦国期の小姓のように身の周りの世話や取り次ぎ、雑用などさまざまなことを担いました。
新選組局長付きの小姓です。
大変多忙だったと推察されます。
とはいえ、小姓の仕事はそれだけでしょうか?
士道に背くまじきこと──局中法度第一条です。
背けば切腹という鉄の掟に、隊士たちは縛られています。
しかし「士道」とは一体何なのでしょうか。
この第一条に関していえば、いかようにも解釈できます。
運用次第で隊士の生命を奪うことのできる条文なのです。
そんな掟があり、厳しい上下関係を強いたうえでの「局長」と「小姓」です。
局長の命令は絶対。
たとえそれが理不尽なものであってもです。
ここで、幹部に与えられた個室が俄然意味をなします。
襖で仕切られた空間の中で、一体何が行われていたのか。
想像してみてください。
日本家屋の襖というのは、絶妙な距離感を演出するものです。
中は見えない。
しかし、気配は感じられる。
声だって聞こえる。
そんななかに局長と小姓。
ときに二人きりになることもあったでしょう。
行為があったかどうか──それについては否定派が多いのが現状ですが、ここではBL学的見地から性行為があったと仮定して説明を続けます。
襖で仕切られた個室の中での行為。
ここで、声を抑えるというシチュエーションが成立することに注目してください。
思わず漏れる声を抑えるために、両手で必死に自分の口を押さえるという構図です。
しかし、雰囲気や音、匂いもあったでしょう。
たとえ声が聞こえなかったとしても、周囲は何がおこったか察することは容易い。
日本には、よいことわざがあります。
──壁に耳あり、障子に目あり。
新選組隊士230名は互いの営みを盗み見、盗み聞きしあえる環境にあったのです。
大部屋であれ個室であれ共通していえるのは、声を抑えるというシチュエーションです。
230名、5万通り以上の組み合わせが、このシチュエーション下で生活を共にしているなど、日本史BL学の中でも特筆すべき事態です。
検定では誰を主題に小論文を書くよう求められるか分かりません。
「空間」に注目することで、どの隊士にも応用がきくはずです。
何本か小論文を書いて、検定試験本番に備えておきましょう。
過去問から傾向を考えるに、新選組に関してはまだまだ解説しなくてはならないことがあります。
関わる人物の多さ、萌えポイントが多岐にわたることから、二部に分けてお伝えしたいと思います。
次回は新選組副長土方歳三の秘めた想い、それから彼の周囲の男たちについてご説明します。