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影「お、及川さん・・・」
影山は、自分の鼓動が少し早くなるのが分かった。
そして、嬉しいという気持ちが身体に広がっていくのを感じた。
及「飛雄かよ」
及川は、何でいるんだと言う顔をしながら、自分を見つめる後輩の視線から顔を背けた。
「徹、どうしたの?」
及川の後ろから、ちょこんと顔を出し状況を確認する女子と、影山の視線がぶつかる。
及「あー、中学の後輩がいたの」
女「そーなんだ、どうも!」
影「ッス」
及川の隣に立ち、影山に笑顔で挨拶をしてきた。
影山もぺこっとお辞儀をする。
女「イケメンな後輩くんだね」
にっ、とイタズラな顔で及川に話しかける。
及「ハァー?俺の方がイケメンでしょッッ!」
及「もー、閉店だからさっさとレジ行こう」
そう言って女子の両肩に触れ、レジの方へ押しながら歩き出す。
及川は歩きながら、影山の方へ度振り返り、ベェーと舌を出し、また前を向いた。
及川とその女子のやり取りを見たら、付き合っている事は明白だった。
影山の、雑誌を握る手に力が籠もる。
自分もレジに行かなくてはいけない。
しかし、足が動かなかった。
まだ、あのふたりがレジにいたらと思うと動けなかった。
ありがとうごさいました、と店員の声が聞こえた。
周りを見ると、自分しかいないことに気がつき、急いでレジに向かった。
本屋を出ると、風が頬をなぞる。
今日1日の事を思い出し、影山は深い溜め息をついた。
2023/01/01