楽しい夏休みはあっという間に過ぎて,今日は始業式
「課題やった?」や,「始業式終わったらカラオケいこーよ!」という声が色んなところから飛んでくる
ピコンっ
小説を読んでいると,スマホの通知が鳴った
スマホを見ると,一通のLIN◯が届いていた
『…………葛葉?』
珍しい奴からのLI◯Eだった
開くととんでもない文字が私の目に入る
葛葉〈気になる奴が出来た〉
学生にしては珍しくもない文章
だが,相手はあの葛葉だ
〈なに?ついに頭イっちゃった?〉
あ,直ぐに既読ついた
葛葉〈うっせ
お前の姉に恋した〉
既に葛葉にはルカにぃ達と兄妹になったと話していた
んー?と考えてハッとした
はぴねぇとは関わりはないだろう。だとしたらみさねぇしかない
〈みさねぇに,恋してるってこと?〉
今の葛葉は人間の姿だ
でも,本当は吸血鬼。人間と時の流れが違う
葛葉〈うん〉
私はめちゃくちゃ悩んだ
知り合いと姉が付き合うと考えると,普通に気まずい
『あ”あ”あ”〜〜〜〜〜…………』
思わず机に伏せる
多分,みさねぇも葛葉が好きだ
もんもんと考えてると,いつの間にかそのまま寝てしまっていて,教室には誰もいない
空は茜色に染まっていた
『ぁえ……いつの間に……』
ガク「ぐっすりだったぜ!」
『はえ!?ガクさん!?』
私の前の席に座っていてこちらを見ていた
いや,何故ここにいるんだ
ガク「いやー刀也さんから教室でぐっすり寝てる結ちゃんを見たって聞いて来ちゃった」
『いや,そんな理由で学校に侵入しないでよ
全くもう……』
私は鞄を持ってさっさと教室の扉を開いて廊下に出る
『もうこんな時間だから,送ってくれない?』
ガク「ひひ,はーい
さ,派手に行きますよお嬢様?」バチッ
ガクさんは笑って私の側まで来て手を取る
ってか,なんか変な音がした様な…
『って,ちょっとガクさん!?』
そのまま下駄箱まで走る
下駄箱について上靴から靴に履き替えるとまたガクさんは手を取って私の家まで走り始める
『ガクさっ……速いって…!』
ガク「それなら…よっと」
手を取ったまま私を姫抱きをした
『うえええええガクさん!?こんな力あったのぉぉぉぉぉ!?』
慌ててガクさんの首に手を回した
これでも私柔道やってて鍛えてるはずなんだけどな
帯だって7段で紅白なのに
ガク「っと,ついたぜ!」
ぴたっ,と家の前に止まって私を降ろした
『ありがとう,ガクさん』
ガク「構わないぜ!じゃ,またな!」
ガクさんは手を振って帰って行った
私は玄関の扉を開けて鍵を閉めて自分の部屋に行って荷物を置いて着替え,ベッドに座る
そういえば,着替えてる時は見てなかったけどあの数珠はどうだろうとあの日からずっと手首につけていた数珠を見る
『!!!!!!』
思わず声にならない叫び声を上げて顔が真っ青になる
そして,ベッドから転げ落ちた
床は防音じゃないから,下にある皆に聞こえてしまうな,なんて考える隙もなかった
私の心はあっという間に恐怖で染まって体が震えていた
黄色とオレンジだった数珠は真っ黒に染まっていた
『なんで?なんで?
朝までちゃんと綺麗な黄色とオレンジの色だったのに…! 』
ルカ「結!?」
シュウ「結さん,大丈夫?」
ヴォックス「《なんの音だ?》」
私の倒れる音を聞いたのだろう。ルカにぃとたまたま来ていたシュウさんとヴォックスさんが慌てて入って来た
シュウ「!その数珠…」
ヴォックス「《魅入られたな,お前
取り敢えず,その数珠はつけない方が良いぞ。私が持っていよう》」
魅入られた?もしかしてガクさんに?
素直に私は数珠をヴォックスさんに渡した
私は貴方が分からない
正直言ってガクさんは刀也さんと兄経由で知り合ったお兄さんという印象だった
…………ちょっと,怖いな
ルカ「暫くは迎えに行くからね
大丈夫,俺達が側に居るから」
私が不安になっているのを感じ取ったのかルカにぃは優しく私を抱き締めてくれた
そういえば,なんでガクさんは家を知っていたんだろう
家の場所は,家族やいつめんしか知らないはずなのに
葛葉や刀也さんは知らないから,ガクさんが知る由もない
暫く,ガクさんに注意しないと…
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