テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
名前 ⇨ 〇〇
『』 〇〇
「」 影山飛雄
_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _
烏野高校の喧騒は、いつもと変わらなかった。
日向が騒ぎ、月島が毒を吐き、影山がそれを「ボゲッ」と一蹴する。
私はマネージャーとして、いつも通りボトルを洗い、日誌を書き、彼らの練習を見守っていた。
……私の肺が、少しずつ呼吸を忘れていっていることなんて、誰も気づかないふりをしてくれていた。
「おい」
練習後、部室の前で影山に呼び止められた。
『 ドリンク、薄かった?』
と冗談めかして聞くと、彼は眉間に深く皺を寄せ、私の目を真っ直ぐに見据えた。
「……明日、来るんだろ」
それは確認ではなく、祈りに近い言葉だった。
私は一瞬だけ視線を泳がせ、それから最高に明るい声で答えた。
『当たり前じゃん。じゃあね、影山くん』
それが、私たちが交わした「普通」の最後の会話になった。
翌日、私の席は空いたままだった。
その次の日も。そのまた次の日も。
影山は、練習中に何度も体育館の入り口を振り返った。そこにはいつも、タオルを抱えて笑う私がいなければならなかったから。
一週間後、影山は学校を早退し、私の病室へやってきた。
制服のまま、息を切らして。
酸素吸入器をつけ、すっかり痩せてしまった私を見て、彼は立ち尽くした。
『……影山、くん。……早退、……ダメだよ 』
「うるせえ。……なんで言わなかった」
『……バレー、……邪魔したく……なかったから』
私は震える手で、ベッドの脇にあった一通の手紙を彼に渡した。
そこには、私の病気のこと、そして「あと数日」という残酷な余命が綴られていた。
影山は手紙を握りしめ、ボロボロと大粒の涙をこぼした。
コートの上で独裁者と呼ばれた王様が、私の前でただの高校生として、声を殺して泣いていた。
「俺は……っ、お前がいないところで、世界一になんてなりたくねえ……!」
『……うそつき。……影山くんは、……どこにいても、バレー……やめないでしょ』
私は弱々しく笑い、彼の頬に触れた。
『……約束、……して。……世界一の、……トス……上げて』
影山は私の手を強く握り返し、何度も、何度も頷いた。
その夜、私は彼の泣き疲れた寝顔を見守りながら、静かに、一足先にコートを後にした。
それから十数年後。
イタリア、セリエAのコート。
そこには、世界中の視線を集めるセッター、影山飛雄の姿があった。
試合前の整列。影山はふと、誰もいないはずのベンチの端を見つめた。
そこには今でも、紺色のジャージを着て、ノートを抱えた彼女が笑っている気がするのだ。
「……行くぞ」
彼は誰に言うでもなく呟くと、空高くボールを放り投げた。
放たれたジャンプサーブは、空気を切り裂き、相手コートを射抜く。
彼がボールを触るたび、会場が沸く。
彼がトスを上げるたび、世界が震える。
影山飛雄は、今も走り続けている。
あの日、病室で交わした「世界一のトスを上げる」という約束。
それを果たすために。
そして、いつかまた、彼女が待つ「あちら側」のコートへ辿り着いたとき、
「最高のトスだったろ」と胸を張って言えるように。
彼の上げるトスの先には、今も、そしてこれからも、彼女の笑顔が輝き続けている。
_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _
初めての余命系‼︎
少し変になったけど、みてください😖💗