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──少し、1つの素敵な恋と愛の御話をしましょう。
《頁をめくる》
あるところに、2人の人間の男と女がおりました。
《頁をめくる》
1人はカイナ、もう1人はミズキという名でした。
2人は、それはそれは仲の良い恋人でした。
《頁をめくる》
2人はある約束を交わしていました。
「例え離ればなれになったとしても、ずっと想い続けて、忘れないこと。」
本当に恋しているならば、実に簡単なこと。
《頁をめくる》
それから少し長い時間が経ちましたが、2人の年は変わらない頃。
2人の住む国で、大きな戦争が始まったのです。
《頁をめくる》
まともに戦える男は全て戦場に駆り出され、勿論のことカイナも例外ではありませんでした。
カイナが戦場に出向くと知った時、ミズキは只笑顔で送り出しました。
心配で仕方がなく、どうしようもなく悲しかったですが、カイナに泣いた顔は見せたくありませんでしたから。
《頁をめくる》
それから3年経った頃でした。
《頁をめくる》
ミズキはある報せを受けました。
「我が国が勝った」、と。
平穏と安心が訪れたのは、民衆にとって幸せなことでした。
《頁をめくる》
ですが、ミズキにとって1番に大切なカイナの行方が、未だに知れませんでした。
《頁をめくる》
それから数日のことでした。
《頁をめくる》
ミズキだけしか居ない家に、手紙が届きました。
──「カイナは1ヶ月前、亡くなっていた」、と。
《頁をめくる》
カイナは、ミズキにとって1番大切な存在でした。──
カイナは、1ヶ月前死んだ。
その現実は、ミズキにはあまりに受け入れ難かったのです。
最悪の死の報せを受けたミズキは、あまりの悲しみに涙さえ流さず、ただ寝具に横たわって────
《頁を破る。感情の儘に。》
嫌だ。
絶対に嫌だ。
バットエンドなんかで終わらせない。
これで終わらせないんだ。
私も彼も、幸せになる未来。
それがトゥルーエンドなんだ。
私達の結末はこうじゃない。
私の恋が報われる結末に。