テラーノベル
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最後に別邸の執事達にも挨拶しなくてはいけない、と私は重い腰を上げて庭を進んでいく。
この間怖い執事さん(ボスキ)が居たところはそれとなく避けて、大きな2階建ての建物に向かった。
ノックをすると中から「はいっ!」と元気な声が聞こえて、さっとドアが開いた。
「主様!来てくださってありがとうございます!
さあ、中にどうぞ!」
オレンジ色の髪の好青年が私を中に招き入れ、和洋折衷な部屋の奥の小上がりに案内してくれた。
「いらっしゃいませ、主様。緑茶をどうぞ」
黒髪の美人な人が、私が座ったタイミングでお茶を出してくれる。
『あ、ありがとうございます・・・』
久しぶりに飲む緑茶をありがたく頂き、ちょっと落ち着いた。
「お、主様?来てくれたんだ〜」
寝室であろう場所から、緑の癖毛の男性が出てきた。
「ハナマルさん、主様の前ですよ!!
・・・申し訳ございません、いつもこの人はこんな感じでだらしなくって・・・」
美人さんは癖毛の人を怒って、私に謝ってきた。
なんだか母親のような雰囲気を感じて、美人なこの人とは仲良くなれるような気がした。
『あ、いえ・・・大丈夫です・・・』
私がそう言うと、癖毛のハナマルさんはにやりと笑って私に近づいてきた。
「いや〜話の分かる主様で助かるよ〜
なぁ、主様の許しも出たわけだし、ちょっと親睦を深めるために酒でも・・・」
ハナマルさんは何処からか酒瓶を取り出して、私のお茶が載っている机にどんと置いた。
どうしよう。酒は元々あまり強くないし、抗うつ剤にアルコールは禁忌だと書いてあった。
私がどうにか穏便に酒を断ろうと考えていると、好青年君が酒瓶を取り上げ、美人さんがハナマルさんの頭をひっぱたいた。
「ハナマルさん!どう見ても未成年の主様にお酒なんてダメですよ!」
「ハナマルさん、貴方という人は・・・
主様をダシに酒を飲もうとするほど下衆だとは思いませんでした。今ここで切り捨ててもよろしいのですよ?」
美人さんは今にも腰の刀を抜きそうである。
ハナマルさんも流石にまずいと思ったらしく、両手を合わせて命乞いを始めた。
「い、いや〜・・・これはその、主様の緊張を解すためのジョークっていうか・・・兎に角、本気で主様に酒飲ませようとしたわけじゃないし、俺だって流石に主様の前で酒飲まないって!信じてよ!ユーハンちゃん!!」
暫く膠着状態が続いて、好青年君とどうしたら良いのだろうかと目配せをしていると、玄関が開いて甘い香りを纏った伊達男が入ってきた。
「あらら・・・主様、もう来てたんだね。
お菓子を持ってきたんだけど、遅かったかな?」
その人が私の前にお菓子の入った籠を置くと、階段から足音が聞こえて真っ白なエルフ耳の美青年が下りてきた。
「煩くてかなわん・・・
・・・お前が主か。最初に言っておく。我は別にお前に仕える気はない。我が認めたら仕えてやってもいいがな。
・・・我の邪魔はするな。いいな?」
『あ、はい・・・』
エルフさん(?)は階段からそう言うとすぐに引き返して部屋に戻ってしまった。
私はあの人とは関わらないようにしたい、と心の底から思った。
「・・・あー・・・ごめんね、主様。
シロは誰にでもあんな感じなんだ。気にしないで。ね?」
『あ、はい・・・』
私はもう既にあの人(シロさん)とは関わる気が1ミリも無かったので、とりあえず返事だけしておいた。
「とりあえず、自己紹介していなかったから、しておこうかな」
話題に詰まったので、伊達男さんはにこやかに私の前で頭を下げた。
「俺はベレン・クライアン。ベレン兄さんって呼んでくれてもいいよ?なんでも頼ってね」
『よろしくお願いします、ベレンさん・・・』
お兄さん属性とはまた新しい。
私はベレンさんならちょっとは話しやすいような気がした。声も穏やかだし、表情も柔らかいし、本当の兄のように思えるかも知れない。
続いて、好青年君が頭を下げる。
「俺はテディ・ブラウンと申します!コーヒーが好きです!よろしくお願いします!」
『テディさん・・・、よろしくお願いします』
コーヒーは苦くて得意ではないため、あまり分かり合えないかも知れない。
しかし、元気いっぱいで明るい彼は見ているだけで癒やされるような気がする。
遠くから見て癒やされようかな、と私は計画した。
そして、美人さんが頭を下げた。
「私は、シノノメ・ユーハンと申します。
主様の忠実な執事として、これからどうぞよろしくお願いいたします」
『ユーハンさん・・・よろしくお願いします・・・』
なんだか馴染みのあるような無いような名前の執事さんは、とても礼儀正しくてキリッとしていてカッコいい。私もこんな風にカッコいい大人になりたいものだと憧れる。
最後に癖毛のハナマルさんが頭を下げた。
「カワカミ・ハナマルだ。趣味は酒とギャンブル・・・って怖いよ、ユーハンちゃん・・・
まあ、そんな感じだ。よろしくな、主様」
『あ、はい、よろしくお願いします・・・ハナマルさん』
やっぱりちょっとダメな大人感が否めない自己紹介をしたハナマルさんは、友達に居たら絶対面白いタイプの人だな、と思った。
私はこんな感じには絶対なれないけど、フランクに誰とでも話せそうな感じがするので羨ましい。
『えっと、主になりました、〇〇と申します。
これからお世話になります・・・』
最後に私が皆の前で頭を下げて、自己紹介は終了した。
その後はお菓子を食べながら執事たちのことをたくさん聞かせてもらい、有意義な1日となったように思う。
流石に知らない人に囲まれて長時間過ごしたので、かなり疲れてしまった。
私は部屋に戻って、夕飯の時間まで休むことにしたのだった。
コメント
1件
うわあ、今回は執事さんたちの個性が一気に炸裂しましたね!特にハナマルさんの酒盛り提案からのユーハンさんの刀チラつきが面白くて、思わず笑っちゃいました。シロさんのツンデレ具合も「これは今後の展開でどう化けるんだろう」とワクワクします。主様がこういう個性派集団にどう馴染んでいくのか、楽しみで仕方ないです!