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大造じいさんとガン著:椋鳩十
二
大造じいさんは、まず、「つり針」を使う方法を考え出しました。
ガンが、夜、ねぐらにする、中州の、浅瀬のところに、細い、じょうぶな糸を張りめぐらし、それに、たくさんの、うなぎつり用の針を結びつけました。そして、その針に、ガンが、たいそう好む、タニシの肉を、えさとして、つけておいたのです。
「これなら、よくばりなガンどもは、きっと、一なめにするにちがいない。」
じいさんは、次の朝、暗いうちから、起きて、中州へ行ってみました。
すると、どうでしょう。
じいさんの予想は、見事に、はずれていました。
つり針の仕掛けは、そのまま、手もつけられずに、残っていました。
じいさんは、不思議に思って、昼間、物陰から、ガンの様子を、じっと、うかがってみました。
すると、ガンの群れが、中州へおりてきたとき、真っ先におりた残雪は、じいさんの仕掛けた糸のそばへ行くと、首をかしげて、じっと、それを見つめていました。
そして、
「クワッ、クワッ。」
と、低く、みんなに、警告を与えました。
すると、ガンの群れは、一羽として、そのえさに、近づこうとはしませんでした。それどころか、残雪は、くちばしで、その糸を、一カ所、ぷつりと、切り離してしまいました。すると、仕掛けは、みんな、水の中に、沈んでしまったのであります。
じいさんは、
「ううむ。」
とうなって、ただ、ため息をつくばかりでした。
二段落 終わり
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