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「アスマさん?」「えっとツクモくん。こんにちは」
祠に向かうにはバスに乗る必要がある。そのため今日も乗っていたのだけれど、バス停に降りたらたまたまアスマさんがいた
「アスマさんも祠に向かうんですか?」
「いや、たまたまですよ。そういえばここら辺でしたね」
山を見上げながらそうつぶやく彼はやはりどこか絵になっていてきっと女の子に人気だろうなと思ってしまう
「そういえばツクモくんは学生ですか?」
「はい、ここから少し遠いところの学校に通っています」
「そうですか。何か嫌なこととかありますか?」
唐突にそうゆう質問をされて思わず驚いてしまった。今までこうゆう事があっただろうか。家族でない人から心配されるなど
妖怪だけが特殊だと思っていたがそうでも無いらしい
「ありがとうございます。だけど何も無いんですよ。アスマさんは優しいんですね」
「優しくなんて無いですよ。この世界に生きていると心配になるんです」
「そうなんですね」
心配か
多分この世界で生きてきた人達は色々何かあったのだろう。誰もが何かを嫌な過去を背負っている
「そういえばアスマさんはなんでこんなところに?」
「ちょっと用事がありまして」
「用事?」
「はい、少し面倒なことでして」
「俺手伝いますよ」
彼は驚いたような表情を浮かべて俺を見つめる
「どうしました?」
「いえ、少し驚いたと言いますか。本当に面倒ですよ」
「これから祠に行く予定だったので暇なんですよ」
と俺が笑うと彼は手が差しのばした
その手を掴むと彼は微笑んで足元注意してくださいねと言いながら階段を昇ってゆく
その姿はやはり綺麗だった
「アスマさんってお仕事何されてるんですか?」
彼は少し恥ずかしそうに気まずそうに頬を掻く
「お恥ずかしながらモデルとかタレントをやらせてもらってます」
「え、モデルですか?」
「はい」
自分で言うのは恥ずかしいですねなんて言っているがその顔で言われるとどこか説得力を増す
この綺麗な顔立ちならモデルとかやっててもおかしくは無いのか
なんて思っていた時だった
突然何者かに足を掴まれた
咄嗟のことだったので対策を考えられる訳もなく俺の体は登っていた斜面を滑り落ちるしか無かった
妖怪か?なら逃げないと
転がりながらもそれだけはずっと頭に残っていた
「ツクモくん大丈夫?!」
急いで近づいてくる彼の手を握ってクラクラの足どりで急いでそこを離れる
「ツクモくん?」
六花から言われたことだ妖怪が害をなすとわかった場合直ぐに離れること、ただ今の俺の体だと走ることは愚か歩くことさえままならない
頭が痛いな。さっき打ってしまったか
「ツクモくん」
あぁ、歩かないとアスマさんが危ない
「ツクモくん」
どうしようか何処に逃げるべきだ
「ツクモくん」
突然手を引っ張られた。思わず体制を崩しアスマさんにもたれ掛かるような形になってしまう
「すいませんすぐどきますので」
離れようとした時にまた掴まれる
「アスマさん」
「君はまだ子供なんだろ?大人を頼りなさい」
「大丈夫ですよ。それより早く離れないと捕まってしまいます」
「大丈夫なわけないでしょ。こんなにぼろぼろで今にも倒れそうなのに」
「優しいんですねアスマさんは」
「優しくなんてないですよ。大人は子供を守るものだから、守られてください」
初めて言われた。きっと親でも恥ずかしくてこんなこと言ってくれないだろう
それを恥ずかしげもなく言う彼はやはりどこかズレていて優しいんだ
「ありがとうございます」
ゆっくり体から力が抜けていく
安心してるのかな、なんて思いながらも少し嬉しい。身近に人を感じられることが
「すいません、」
瞼はゆっくりと閉じられた
気づいたら山の頂上にいてアスマさんが来ていたジャケットが被されていた
優しいなぁと少し笑ってしまう
「何笑ってるんですか」
声がした方を見てみるとアスマさんが困っているような顔をしてた
「ありがとうございます助けてくれて」
「大丈夫ですよ。と言いたいところですが無茶をしすぎです。自分の力を見極めてください」
「すみません」
自分の力を見極めるというのは出来なかったり自分に影響を及ぼすならやめろということだろう
「次から気をつけます」
どうしたらいいか分からなくて俯いてしまう
自分に出来ないことはやるな。この人に迷惑をかけてしまう
人に迷惑をかけるなんてしてはいけない。そんなことは常識だ。だからきっと今の俺の行動は間違っていた
そんなことを思っていると突然頭を撫でられる
情けない声をあげて思わず彼を見つめてしまう
「いえ言葉が強かったですね。頼って欲しいだけなんです」
「頼る、ですか?」
「はい僕は君に頼られたいんです」
なんて優しいんだろう。大人になって彼みたいに優しくなれるだろうか人を気遣って反省できる。そんな人に俺はなれるかな
「やっぱりアスマさんは優しい」
「優しくないですよ」
そう言ってデコピンをお見舞されてしまった
ヒリヒリして痛い
「なんか嬉しいです」
「何がですか?」
「年の離れた友達ができたみたいで」
そういうと分かりやすく彼は目を見開いた
それですら綺麗で全てが絵になる
「そう、ですか」
「はい」
「それでは六花を真似てツクモとでも呼びましょうかね」
なんて悪戯をしたい子供のように笑う彼はどこか嬉しそうでどこか寂しそうな目をしていた
「いいですよ」
そういうと驚いた顔をしたが直ぐに微笑んだ
「よろしくねツクモ」
「はい!アスマさん」
その日は日が暮れるまでアスマさんと話していた
おまけ
「アスマさんの用事ってなんですか?」
「あぁ、ここの奥に神社があるんだけどそこに猫の餌をあげるためかな」
「それだけの為にわざわざここまで?!」
「そうだね」
「アスマさんそれ優しいの域越してます」
「そうかい?」
アスマさんは少しずれている
ーー設定ーー
東 修斗(あすま しゅうと)
いわゆる芸能人
顔立ちが非常に整っている