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羨愛

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羨愛

3 - 第3話

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2024年02月21日

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目黒は酒を飲んでいる。

舌が切れているから、顔をしかめながら、それでも飲まずにいられない。

泣きながら飲んでいる。

可哀想なことをした。

怖がらせた。

強引にキスして舌を噛まれた。


目黒ー翔太くん。


9人の収録。

渡辺と目が合った。

小さな声で、舌大丈夫?

と聞かれた。

気にしてくれてる。

嬉しかった。

でも、そばには居てくれない。

いつも、近くにいるのに今日は遠い。

乱暴なことしたから当然かな。

目黒は寂しい目をして渡辺を見た。

2人とも騒ぐ方ではないから、誰にも何も言われなかった。

目黒は喋るのが辛いのだろう。

「うん」くらいしか喋らない。

渡辺は食事が出来るのか心配になる。

悪いのは目黒だが気になる。

収録終わりに渡辺が目黒の服を掴み、顎をしゃくった。

空いてる楽屋に入る。


渡辺ー痛いか?

目黒ーうん。

渡辺ー謝らないぞ。

目黒ーうん。

渡辺ーもう戻れないの?

目黒ーごめん。

渡辺ーいきなり、あんな事されるのは困る。

目黒ーうん。

渡辺ー今まで通りだと辛いか?

目黒ーいや、もう何もしない。

渡辺ー喋るな。

目黒ーうん。

渡辺ー俺は今まで通りがいい。

目黒ーうん。


渡辺の指が目黒の唇に触れる。

目黒は苦しそうな顔をして首を振る。


渡辺ー悪かったな。

目黒ーううん。

渡辺ーお前といると落ち着くし、安心するんだ。

目黒ー翔太くん。

渡辺ー俺は酷いことしてるか?

目黒ーううん。

渡辺ー我慢してくれ。

目黒ーうん。


渡辺がそっと目黒を抱きしめる。

目黒は、腕を回すことなくされるまま。

渡辺を怖がらせないよう動かない。

渡辺は楽屋を出て行った。

目黒は動けない。

悲しくて辛くて寂しい。

だが渡辺と今まで通りに過ごすためには仕方ない。

泣けてくる。


いつも通りが戻ってきた。

2人は笑い合う。

だが、互いの家に行く事はない。

2人きりになる事も少ない。

2人は無理してる。

目黒は、渡辺を怖がらせないよう気を付けて接している。

渡辺も、目黒に変な期待を持たせないよう気をつけている。

3か月ほど過ぎた。

ちょっと渡辺の頭を撫でたり、肩を組んだりするようになって渡辺も自然と受け止めている。

目黒は、渡辺を怖がらせないないよう少しずつ距離を縮めて行った。

渡辺にも分かっていたが嫌な気持ちにならなかった。



目黒ー嬉しい。

渡辺ー何?

目黒ー一緒にいられて。

渡辺ー今の目黒は好きだ。

目黒ー翔太くん、そういう事言わない。

渡辺ーごめん。



笑い合う。

そっと渡辺の小指に自分の小指を絡めてみた。

ピクと動いたが、手を引かなかった。


目黒ー翔太くん。

渡辺ーな、何?

目黒ードキドキしてる?

渡辺ーん、してる。

目黒ーでも、いいんだね?

渡辺ー・・。


渡辺は小さく首を縦に振った。

目黒は抱きしめたい衝動に駆られた。

だが、辛い我慢をした。

渡辺が逃げてしまう。

我慢だ我慢だと心のなかで唱える。

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