テラーノベル
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今日も今日とて訓練。色んな戦闘部隊や偵察部隊、医療部隊を回る日々が続いている。
移動中、花屋が目に入った。
__ふと、花屋の中を見た。
いつもなら、そんなことはしない。だが、見なければならない気がして。
一つの胡蝶蘭に目が引かれた。
白い胡蝶蘭だった。
花弁が妙に綺麗で、しばらく目を離せなかった。
「……胡蝶蘭、か」
そういえば、姉貴と母さんは胡蝶蘭好きだったな。
昔、姉貴と一緒に花言葉を調べたことがあるのをふと思い出した。
「……くだらねぇ」
そう吐き捨てて、花屋から目を逸らす。
なのに、足だけはしばらく動かなかった。
「おーい!早く行かねぇと怒られんぞー?!」
四季がでかい声で俺のことを呼ぶ。
早く行かなきゃいけないのも、怒られるのもわかっている。
それでも、どうしてもあの胡蝶蘭に目が惹かれて。
まるで__
「あねき、かあさん」
小さく、無意識に口からこぼれていた。
違う、そんなはずはない。
そんなはずが、あるわけがなくて。
胡蝶蘭の花言葉は、確か。
確か、『幸福が飛んでくる』だったか。
…でも、姉貴も母さんも守れなかった俺が、幸福になっていいわけがない。
姉貴と母さんを思い出したのは、ただの俺の願望だ。
俺が、そう思い込んでしまっただけ。
だが、何故か。
姉貴と母さんが『幸せになって』と言っているような気がした。
「……無理だろ」
小さく呟いた。
そんな簡単に、幸せになんてなれるわけがない。
白い胡蝶蘭から、今度こそ目を逸らした。
「マジで置いてくぞー!」
「…今行く」
今度はちゃんと歩き出す。
けれど、さっきよりほんの少しだけ足取りが軽かった。
風が、背を押すように吹いた。
胡蝶蘭の花弁が散って、空を舞う。
コメント
1件
みぅです🖤 第2話、読んだよ…。胡蝶蘭を見てお姉さんとお母さんを思い出すシーン、すごく切なかった。花言葉が『幸福が飛んでくる』って知ってて「幸せになっていいわけがない」って自分を責める主人公の気持ち、痛いほど伝わってきた。それでも最後、風が背中を押すみたいに吹いて、花弁が舞う描写が美しくて…。少しだけ足取りが軽くなったとこ、彼の中で何かが変わり始めてるのかな。続きがすごく気になるよ🌙