ロボロはその日、学園で何度もシャオロンの顔を思い浮かべていた。彼の華奢で女性のような顔立ち、あの魅力的な仕草、女装して金稼ぎをしているという話も耳にしたことがある。見た目の可愛さが、まるで女性と見間違えるほど完璧で、それにしても彼があの夜の街でどんな姿で仕事をしているのか…そんなことを考えるだけで、ロボロの心にはわずかながらも高揚感が湧いてきた。
シャオロンを思い浮かべる度、ロボロの口角が自然と上がってしまうのを感じていた。普段は冷徹で、あまり感情を表に出さない自分が、こんなにも彼を意識してしまうことが不思議で仕方なかった。そして、その気持ちを「恋」と呼ぶには少し違うような、もっと別の感情が心の奥底で渦巻いていることに気づいていた。
ロボロの心を占めるのは、単純な恋愛感情ではなく、もっと支配的で強引な欲求だった。シャオロンが女装している姿を思い浮かべると、ふと彼をからかいたくなる気持ちが湧き上がる。その可愛らしさを引き出して、彼を甘やかしたり、からかったりして、少しでも動揺させてみたくなる。彼の無防備な表情を見ることで、まるで掌の上で転がすような感覚に酔いしれる自分がいた。
「…可愛い。」ロボロは小さく呟き、静かに微笑んだ。彼の姿が頭に浮かぶたび、その表情に自然と自分の欲望が絡みついていくような感覚を覚えた。恋愛とはまた別の、支配したいという欲求…彼を支配し、意のままにしてみたいという衝動が胸を満たしていった。
学園の静かな午後、ロボロは窓の外をぼんやりと見つめながら、シャオロンのことを考え続けていた。彼がどんな反応をするのか、あの小さな動揺を引き出すために、どうすればいいのか。自分が彼をどうしても気にかけ、少しずつでもその手のひらに乗せてみたくなる理由がわからなかったが、もう一度彼と向き合わせて、その反応を見たくて仕方がない。
そんなロボロの心には、少しの戸惑いとともに確信があった。シャオロンを支配したい、彼を引き寄せて、心の中で自由にしてみたい――その欲望が、ロボロの中で次第に大きく膨らんでいった。
その日も、ロボロはいつものように静かに夜の街の門をくぐり、シャオロンの姿を見つけた。シャオロンは彼女の姿を見て、ぱっと顔を輝かせる。その笑顔がまるで無邪気な子犬のようで、ロボロは心の中で少しだけ微笑みをこぼした。シャオロンの純粋さ、素直さが、どこか無防備に見えて愛おしかった。
「…ロボロ」シャオロンが声をかけると、ロボロは目を細めながらも、そのまま彼に近づいていった。「あら、シャオロンさん…」彼女の言葉には、あくまで冷静でありながらも、どこか温かいものが含まれていた。
その瞬間、シャオロンの目線が背後に移った。そこに立っていたのは、眼鏡をかけたイケメン――大先生だった。彼はシャオロンの視線に気づくと、にやりと笑って軽く会釈をした。その笑みは、いつもの大先生らしい余裕たっぷりのもので、シャオロンの心に微妙な感情を引き起こした。
「大先生…」シャオロンは口の中でその名前を繰り返した。その声には、どこか微かな驚きと共に、少しの羨望のようなものが感じられた。大先生は見た目の通り、非常に魅力的な人物だったし、女たらしとして名高い存在でもあった。その彼が、ロボロの前ではどこかおとなしく、少しだけ気後れしているように見えるのが不思議で仕方なかった。
「そう、魅力的な方ね」ロボロが大先生に微笑みかけると、その笑顔にはどこか優越感が滲んでいた。大先生のような、あれだけの魅力を持つ男ですら、ロボロの前ではどこか小さく見えてしまう。そのことが、シャオロンには非常に興味深かった。
「ロボロさんは本当に、誰もが引き寄せられてしまうんやな。」シャオロンは思わず口をついて出た。大先生でさえ、ロボロには心を奪われていることを感じていたからだ。それがまるで、魔法にかけられたように、誰もが彼女に引き寄せられ、虜になっていくのがわかる。そして、シャオロンはそれがどこか悔しいようで、どこか羨ましいような気持ちを抱えていた。
「……あなたも、引き寄せられているわよね。」ロボロはにっこりと微笑んだ。その微笑みはどこか挑発的で、シャオロンの心を掴んで離さなかった。「みんな、私に惹かれるのよ。」
シャオロンはその言葉に、胸が締め付けられるような感覚を覚えた。ロボロの言葉が、まるで彼女がすべてを掌握しているかのような確信に満ちていた。そして、その魅力にどうしても抗えない自分が、シャオロンの中に強く芽生えていくのを感じた。
その瞬間、彼の視線はロボロの美しい顔に引き寄せられた。ロボロの目元に浮かんだ微笑み、そしてその目の奥にある冷徹さと優しさが入り混じった複雑な表情に、シャオロンはますます惹かれていった。
そして、大先生の存在がシャオロンの心を一瞬で現実に引き戻す。彼もまた、ロボロの魅力の虜であることは明らかだ。あの大先生が、あれほど多くの女性を魅了してきたにも関わらず、ロボロの前では手のひらで転がされているようなものだ。
シャオロンはそれを見て、なんとも言えない感情を抱えた。ロボロの魅力には抗えない、そう思う自分がいる一方で、その魅力に引き寄せられた自分をどこかで認めたくない気持ちもあった。
「どうして、そんなに魅力的なんだろう…」シャオロンは小さく呟いたが、ロボロはその言葉をしっかりと受け止めて、にっこりと微笑んだ。
「それは…あなたがまだ分かっていないから。」ロボロはその答えに含みを持たせ、シャオロンに意味深に目を向けた。その目には、何かを試すような、挑発的な輝きが宿っていた。
シャオロンはその視線に耐えきれず、少し顔を背けるようにして答えた。「…そう、なんだろうな。」
ロボロの存在がますます謎めいて、そして強力にシャオロンの心を引き寄せる。どうしても抗えないその魅力に、シャオロンはもう一歩踏み込むことができるのか、少しずつその答えを求めるようになっていた。
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