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ちぐさ視点
家に帰り、そのまま自室に行った。
「なんであっとくん忘れてた?記憶がないんだろ」
でも、一つ心当たりがある。でも、思い出したくないほど残酷で、あっとくんが自殺しそうで怖い。できれば、少なくともあっとくんには言いたくない。
でも、言う機会というか、言わなければいけないときがきっと来るだろう。
「言うのは、本心じゃないんだよな〜」
「だって、辛いし、言ったら、あっとくんが絶対いなくなっちゃうし」
言ったら、絶対あっとくんは、この世からいなくなる断言出来る。
「コンコン、失礼します。ご当主様がお呼びです」
「分かった」
呼ばれるのなら分かる。絶対あっとくんのことについてだ。
「コンコン、失礼します。ご当主様、いえ、お母様」
「ちぐさ、言われなくても分かるわよね」
「はい、八百八比丘尼の一族の人のことでしょう」
「そうよ」
代々人魚の一族の当主は、女性が務める。そして、人魚の一族は、男であろうと子を産める体質、つまり、生理がくるのだ。俺は、生理がくるのを快く思っていなかったが、人魚の一族なので仕方ないと諦めたが。
「それで、どうだったの?八百八比丘尼の一族の子、いえ、あっとくんのことは」
「っ」
やはりそうだ。呼ばれるのなら、今日遭ったこと、つまり、八百八比丘尼の一族、あっとくんのことだ。
「やはり、俺が人魚の一族だということは忘れていたようです」
「やっぱりね」
これは、お母様も予測していただろう。俺もそうだと思っていた。八百八比丘尼の一族の人と同じ学校に行くことが決まって、報告されたときから。
「まあ、とりあえず、あのことについてはどうするの?」
「個人的には、言いたくはありません」
「そう、でも、今年が終わるまでには言ってね」
「分かりました」
ガチャ
そうして、お母様が出た。
まあ、だいたい予測していたことだった。そしてー
「今年が終わるまで、か」
いつ言おうか、あっとくんが言ってほしかったら、言おう。そう、決意した。