テラーノベル
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藤澤視点
何もかもを脱ぎ捨てて、僕の前に晒された元貴の肌は、リビングの淡い照明を反射して白く発光しているように見えた。
さっきまでスタジオのライトの下で、誰もが憧れる「大森元貴」としてマイクを握っていた男が、今は僕の腕の中で可愛く震えている。
そのコントラストが、僕の嗜虐心をこれ以上ないほどに煽る。
「……ねぇ、元貴。さっき若井が言ってたよ。『今日の元貴の声は色っぽかった』って」
あえてその名前を出すと、元貴の顔が羞恥でさらに赤く染まる。
「や、めて………っ」
「ダメだよ。お仕置なんだから、ちゃんと聞いて」
僕は彼の熱い肌に手のひらを滑らせ、わざとゆっくりと、彼の身体に僕の指の感触を記憶させていく。
元貴の肌はお餅の様に柔らかく、手にじっとりと吸い付く。
「若井には一生聴かせられない様な声、これから僕が全部引き出してあげる。声、我慢しなくていいよ。ここはスタジオじゃない、元貴の家なんだから」
そう言って、僕は彼の敏感な乳首を指で弾く。
途端に、元貴は「ひうっ……!」と短く高い声を上げて、僕の腕を必死に掴んできた。
「あ……りょう、ちゃ、っ、あ、あぁ……!」
腰を逃がそうとする彼を逃がさないように、僕は自分の身体で彼をソファに押し付ける。
元貴の瞳が潤み、視線は蕩けている。
少しの悦で拒絶なんて言葉は彼の頭の中には残っていない。
あるのは、次に僕がどこに触れ、どんな快楽を落としてくるのかという期待だけだ。
「……僕をこんな風に嫉妬させた責任、最後まで取ってもらうからね」
僕は彼を壊してしまいそうなほど強く抱き寄せ、その開いた唇に、深い、深い、キスを落とした。
大森視点
「……え?」
聞き間違いかと思って、俺は間抜けな声を漏らしてしまった。
涼ちゃんは俺をソファに押し倒していた体をスッと離すと、向かい側のソファに腰を下ろした。
足を組み、ゆったりと背もたれに体を預けて、まるで見世物でも眺めるような優雅な仕草でこちらを見ている。
「自分でお尻解して。僕が挿れたくなるように、誘ってみせて」
その言葉の意味を脳が理解した瞬間、一気に顔から火が出そうになった。
何を、言ってるの……?
「……っ、そんなの、できないよ……涼ちゃん…っ…」
「ほら、お尻こっちに向けて。元貴の小さい手で、自分で解しな。早く」
促す声はどこまでも穏やかで、いつもの優しい涼ちゃんのトーンなのに。
向けられたその瞳だけは、冷徹なまでに俺を射抜いていて、1ミリも笑っていない。
(本気だ……)
さっき「好きにしていい」と言ったのは俺自身だ。
俺は震える手をソファにつき、自分の膝を立て、言われるがままに涼ちゃんに背中を向けて腰を浮かせた。
リビングの静寂の中に、自分の荒い呼吸だけが響く。
向かいのソファから、涼ちゃんの視線が僕の背中やお尻に突き刺さっているのが分かって、全身が熱い。
「……あ、……ん……っ」
恐る恐る、自分の指を後ろに這わせる。
自分で解すなんて、凄く恥ずかしい。
指が窄まりに触れた瞬間、ビクッと体が跳ねた。
「どうしたの? 手、止まってるよ。……僕をその気にさせてくれるんじゃなかったの?」
涼ちゃんの冷ややかな声が飛んでくる。
俺は涙で視界を滲ませながら、震える指をゆっくりと、自分の中へと沈めていった。
「……っ、ふ、ぅ……ん……あ」
静かなリビングに、自分の指が湿った音を立てるのが、嫌というほどはっきりと聞こえる。
恥ずかしくて、消えてしまいたい。
でも、向かいのソファからじっと見ている涼ちゃんの視線が、逃げることを許してくれない。
「もっと指、動かして。中がどうなってるか、ちゃんと僕に見えるように」
「…んぅ…っ、りょう、ちゃん……はずかしぃ……っ、」
掠れた声で訴えても、彼はぴくりとも動かない。
ただ、俺が自分を弄り、恥辱に染まっていく姿を楽しんでいる。
言われるがままに、指を二本に増やして、内側の熱い粘膜をかき回し拡げる。
涼ちゃんに見られている。彼を誘わなきゃいけない。そう意識するだけで、頭の芯がとろとろに溶けていくような、異常な熱が身体中を駆け巡る。
「……あ、は……っ、んん……!」
思わず、変な声が漏れた。
指が自分の中の一番敏感な場所に触れて、背中が弓なりに反る。
「いいよ、元貴。……ほら、もっと拡げて。僕がそこに入りたくなるくらい、おねだりしてごらん」
涼ちゃんの声に、わずかな熱が混じる。
それが嬉しくて、僕はもう羞恥心なんてかなぐり捨てて、必死に自分を指で拡げた。
「……あ……みて、りょうちゃん……。ここ、あつくて……っ。はやく……りょうちゃんの、ほしい……っ」
涙でぐちゃぐちゃの顔を振り向き、彼を縋るように見つめる。
すると、涼ちゃんはようやくソファから立ち上がった。
ゆっくりと歩み寄ってくる彼の足音が、俺の鼓動と重なる。
彼は俺の真後ろに立つと、俺が自分で拡げていた場所に、長い指を絡めた。
「……よくできました。最高にいやらしいよ、元貴」
耳元で囁かれたその声は、熱を持っていて更に俺の体温を上げる。
彼から与えられるであろう熱を期待して、自分から彼に身体を預けた。
「……っ! あ、ぁああ……っ!」
挿れていた俺の指を、涼ちゃんの長い指が上から強引に絡めて、中をめちゃくちゃにかき回し始めた。
「ひ、ぐ……っ、あ、や……っ、りょう、ちゃ……!!」
自分の指と涼ちゃんの指が中で絡み合い、摩擦が跳ね上がる。自分自身の指と涼ちゃんの指で、中を無理やり抉られる感覚。
自分の指だけじゃ得られなかった、頭を麻痺させるほどの快感が襲ってくる。
「ほら、元貴。自分の指が、中でどんなに熱くなってるか分かる?」
涼ちゃんは俺の項に顔を埋め、獲物を追い詰めるような低い声で囁く。
「あ……っ、ん、はぁ……あ、つい……っ、やだ、もう……っ!」
「ダメだよ、まだ。お仕置にならないでしょ」
「ぁん、 あぁぁっ!!」
気持ち良い所を執拗に捏ねられて、触れられていない自身から熱を放つ。
全身の力が抜けて、ソファに突っ伏しそうになるけれど、涼ちゃんの腕がそれを許さず俺の腰を高く持ち上げる。
自分の意思とは関係なく、快楽の底へ突き落とされる。
逃げ場のない羞恥心と、内側から拡げられる異物感に、ただ涙を流して、涎を垂らしながら、壊れた楽器みたいに声を上げ続けることしかできなかった。
「……ねぇ、元貴。指だけでこんなに感じちゃって。本当、えっちな体だね」
涼ちゃんの笑い声が、絶頂の淵にいる俺の鼓動をさらに激しく打ち鳴らした。
「……ひ、っ、あ……」
翻弄されたままの体は、涼ちゃんの手によって簡単に仰向けへと転がされた。
ソファに深く沈み込む俺を見下ろす涼ちゃんの瞳には、いつもの優しさはなかった。そこにあるのは、獲物を完全に仕留めた様な「雄」の顔。
心臓が、耳のすぐそばで鳴っているみたいにうるさい。
そのあまりに激しい視線に射抜かれて、まだ自分の中にある涼ちゃんの指を、無意識にぎゅっと締め付けてしまった。
「……あ」
しまった、と思った。
俺の身体の反応に、涼ちゃんが口角を僅かに上げる。
「期待してるの? でも、これお仕置きだから。元貴の求めることは、してあげないよ」
「え……っ、ぁん……っ」
期待していた熱い充足が来る代わりに、彼は奥をかき回していた指を、容赦なく一気に引き抜いた。
内側が空っぽになる喪失感に、思わず腰を跳ねさせて縋りそうになる。
涼ちゃんは俺の目の前に、濡れた自分の指を突き出した。
「ほら、元貴のせいで僕の指汚れたよ。……綺麗にして」
羞恥心で顔が爆発しそうになるけれど、涼ちゃんの目は「拒否」を許してくれない。
震える手で彼の手首を掴み、ゆっくりと、その指を口に含んだ。
「ん……っ、んぅ……」
瞳を潤ませて彼を見上げると、涼ちゃんは満足げに僕の髪を優しく撫でる。
その手の優しさと涼ちゃんの冷徹な表情に、僕はもう、心も体も完全に屈服していた。
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