テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

3人の旅の始まり


深い霧に包まれた夜。

Bar Melancholiaの扉が静かに閉まる。


蒼原燈は、眠っている赤羽美琴をちらりと見てから、太宰に向き直る。


「あら、早かったのね……待っていたわ」


太宰は静かに顔をしかめた。


「美琴に何をした」


蒼原燈は、美琴の隣で静かに微笑む。


「夢を見てもらってるのよ。記憶の奥底に触れるために」


燈はふっと小さく笑った。



蒼原燈は、眠っている赤羽美琴をちらりと見やり、それからゆっくりと太宰に向き直った。


「――あら、早かったのね。待っていたわ」


彼女の声は柔らかく、それでいてどこか底の知れない響きを持っていた。


太宰は静かに顔をしかめ、一歩、警戒するように踏み出す。


「……美琴に何をした」


燈は答える代わりに、美琴のその寝顔に視線を落としたまま、穏やかに微笑んだ。


「夢を見てもらってるのよ。深く、深く……記憶の奥底に沈んでしまった“あの頃”に、触れてもらうために」


彼女は静かに息を吐き、小さく笑う。その笑みはどこか、懐かしさと痛みが滲んでいる。


「ねえ、太宰くん――あなたは何か、思い出してくれたかしら?」


その言葉に、太宰の脳裏に浮かんだのは、かつての美琴の姿だった。異能力に飲まれそうになりながらも、必死に抗っていた少女。痛みと孤独の中で、何かを守ろうとしていた彼女。


太宰は目を細め、静かに口を開いた。


「……なるほど。理解したよ。君は、美琴の異能力が形を成したものなのだね?」


すると燈は顔を上げ、ゆっくりと微笑んだ。瞳の奥に、太宰だけに向けた執着の光を宿して。


「ええ、そうよ。太宰くん――貴方に、会うために」


その声は優しく、狂おしいほどの哀しみと愛しさを孕んでいた。





loading

この作品はいかがでしたか?

160

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚