「よろしくお願いします!」
お、良かった、まだそんなに人が居ない、
時計を見ると、集合時間より1時間も時間があった。
準備も済ませているし、台本でもみるか、
「お疲れ様。白雪さん。」
「あ、三田さん!」
今回のお仕事で一緒になった三田蓮さん。とても人気な俳優さんで、去年は国宝級イケメンで1位になったくらいお顔が整っている。
「今日で終わりだね。」
「そうですね。」
今回の現場は暖かい人が多かったな、皆優しくしてくれた。
「白雪さんと会えなくなっちゃうの寂しいなあ」
「私も寂しいですっ」
三田さんもとても優しかったなあ、沢山話しかけてくれた。
「今日の撮影終わったらさ、少し時間ある?」
時間、?
「あります、!」
なんだろう、用事かな、
「そっか、じゃあ、撮影終わったら少し話そう。」
「分かりました!」
「それじゃあ、そろそろ撮影始めます!」
監督がそう言って、キャストさんが一気にスタンバイを始めた。
「じゃあ、そういうことで。撮影頑張ろうね」
「はい!」
私は最初は出番ないから、セリフの確認をしよう。
「白雪さん!スタンバイお願いします!」
あ、出番だ
「はい!」
ふう、と深呼吸をする。
今回はセリフの一言一言に感情を込めて、何より表情を作らなければならない。
『今更何よ。もう手遅れよ。あんたは所詮「モブキャラ」なんだから、ヒロインのあたしのサポートをしなさい。』
相手をバカにするような表情を浮かべ見下すようにヒロイン役にそう言う。
『おい、どういう事だ、』
そこにヒロインの相手役が入ってくる。
『お前は社長にゴマすって上がったんだろ、しかもモブキャラはお前の方だろ。』
『あんた、生意気な口の利き方して、!』
そう言って、ヒロインの相手役に手を上げる。
『おぶない!』
パシっ
一応できる限り力を弱めたはずなんだけど、すごい音しちゃった、大丈夫かな、
いや、集中集中、!
『この人だけは、傷つかせたくない!』
ヒロインが叫ぶようにそう言った。
『何よっ!もう知らない!』
そう言ってドア側に走っていく。
ふう、私の出番は終わり。
後は、ヒロインに助けられた彼はヒロインを心配して、ヒロインが彼に告白するで終わり。
『ほっぺ、大丈夫、?』
『う、うん。大丈夫!えっとさ、』
『さっきのって、どういう意味?』
ん?
あ、これアドリブだ。
『さ、さっきのって、』
『俺だけは傷けさせないって。』
『いや、あれは、』
『俺、何に対しても真剣に取り組んでたり、沢山努力してる葉鳥が好きだ。俺と付き合ってくれませんか?』
『私で、良ければっ!』
ヒロインは涙を浮かべ、笑顔でそう言った。
「カット!」
う、うわぁ、凄い、
あそこでアドリブを入れるのも凄いけど、それに対応できるヒロイン役の方もすごい、
後は、三田さんはしっかり台本を読んでいるんだな、
このお話のヒロインの特徴を分かっている言い方だった。
流石だなぁ。
「お疲れ様でした!」
「お疲れ様でしたー!」
この現場も、今日で終わりか。
楽しかったなぁ。
「白雪さん。こっち来て欲しいな。」
あ、三田さん。
「分かりました。」
連れてこられたのは、人気のない場所。
「あ、そうだ、連絡先交換しない?」
「あ、分かりました!」
また一人連絡先が増えたな、ふふっ
「あのさ、白雪さん。俺、白雪さんが本気で好きだ。」
「えっ」
三田さんの方を見ると、とても真剣な顔でこっちを見ていた。
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