テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
にゅい
𝐒𝐓𝐀𝐑𝐓
校門の外。
夏の暑さとは裏腹に、その場の空気はひんやりと張り詰めていた。
「……姉ちゃんのことで、面白い話だと?」
れんが低く問い返す。
男は煙草を指で挟みながら笑った。
「まあ落ち着けって。」
「落ち着けるわけねぇだろ。」
「その性格、昔と変わんねぇな。」
れんは男の胸ぐらをつかもうとする。
しかし、その腕を別の男が止めた。
「れん、ここじゃやめろ。」
「離せ。」
「話を聞け。」
れんは舌打ちをして手を下ろした。
男はポケットから一枚の古い写真を取り出す。
「これ、見覚えあるか?」
れんは写真を受け取る。
そこには幼いれいとれんが写っていた。
二人とも笑っている。
その後ろには――見知らぬ女性。
「……誰だ。」
「覚えてねぇか。」
「知らねぇ。」
男は少しだけ真面目な顔になる。
「その人、お前らをずっと探してる。」
れんの目が細くなる。
「……嘘つけ。」
「信じるかは勝手だ。」
「でも、向こうは本気だ。」
れんは写真を握りつぶしそうになる。
「姉ちゃんには近づけさせねぇ。」
「だから先に教えに来たんだよ。」
「その人、今日この町に来る。」
-–
その頃、学校。
れいは授業中なのに、どこか落ち着かなかった。
「……。」
窓の外をぼんやり眺める。
「れい先輩。」
隣のクラスから借りたプリントを届けに来たあきらが、小声で呼ぶ。
「顔色、悪いです。」
「そんなことないよ。」
「あります。」
88
364
あきらは迷った末、小さく言った。
「れんさんのこと、心配なんですよね。」
れいは少し驚く。
「……なんで分かったの?」
「先輩のことなら。」
その短い一言に、れいは苦笑した。
「本当に、何でもお見通しなんだね。」
「全部じゃありません。」
あきらは目を伏せる。
「先輩が一番つらい時、何もできない自分だけは分かります。」
れいはその言葉に返事ができなかった。
-–
放課後。
校門を出たれいとあきら。
すると、少し離れた場所に一人の女性が立っていた。
優しそうな表情。
どこか懐かしい雰囲気。
女性はれいを見るなり、小さく息をのむ。
「……れい?」
その声に、れいは立ち止まる。
「……私?」
女性の目には涙が浮かんでいた。
「やっと……会えた。」
その瞬間。
「姉ちゃん!!!」
遠くから、れんの叫び声が響く。
息を切らしたれんが二人の間に飛び込み、れいをかばうように前へ立つ。
「その人に近づくな!!」
れいは驚いて目を見開く。
女性は悲しそうに微笑み、小さくつぶやいた。
「……そんなに嫌われちゃったのね。」
れんの拳は震えていた。
そして、あきらは静かに女性を見つめながら思う。
(この人は敵なのか……それとも、味方なのか。)
その答えを知るのは、まだ少し先だった。
𝐄𝐍𝐃
コメント
1件
第6話読み終わったわ!れんのあの警戒心・怒りがガチで伝わってきて、お姉ちゃんを守るためなら何でもやるって感じがすごく出てた。あとあきらくんの「先輩が一番つらい時、何もできない自分だけは分かります」ってセリフ、めちゃくちゃ刺さった…!この子、見てる目が確かすぎる。謎の女性が敵か味方か、マジで気になるわ。次の話が待ち遠しい🔥