テラーノベル
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レウコイドがポッピーへ手を伸ばす。
その瞬間。
「――やめろォォォォッ!!」
屋上に響き渡る叫び。
全員が振り向く。
倒れていたはずの永夢が、ゆっくりと立ち上がっていた。
「永夢……!」
ポッピーが目を見開く。
永夢の身体は傷だらけだった。
息も荒い。
今にも倒れそうだ。
それでも、その瞳だけは少しも折れていなかった。
永夢は静かにポケットへ手を伸ばく。
取り出したのは、見慣れないガシャット。
白を基調としながらも、黒紫色のラインが走る試作ガシャット。
「それは……」
飛彩がかすれた声を漏らす。
貴利矢も目を見開いた。
「まさか……あのガシャットか……!」
大我が苦しげに身体を起こす。
「だが、それは変身用じゃ……。」
「……あぁ。」
飛彩が静かに続ける。
「レウコイドウイルスを抑制・分解するためだけに開発したものだ。」
「変身することはできないはずだ。」
永夢はその言葉に小さく頷く。
「……そう。」
「これは、本来なら”変身するためのガシャット”じゃない。」
視線をガシャットへ落とす。
「パラドは最後まで、このガシャットを完成させられなかった。」
一瞬、屋上に静寂が訪れる。
「だからこれは――」
永夢は強く握り締める。
「本当の意味では、未完成なんだ。」
永夢はガシャットを見つめ、小さく呟く。
「……パラドが、命を懸けて残してくれた希望。」
「絶対に無駄にはしない。」
その瞬間だった。
永夢の瞳から赤い光が溢れ出す。
「っ……!」
身体の奥で眠っていたゲーム病ウイルス。
それが今までとはまったく違う反応を示す。
まるで、このガシャットを待っていたかのように。
赤い粒子が永夢の身体から流れ出し、ガシャットへと吸い込まれていく。
「なっ……!」
貴利矢が息を呑む。
ガシャットが激しく震える。
純白だったボディに、銀色の光が一本、また一本と走る。
まるで回路を書き加えるように。
銀白の紋様は全体へと広がり、洗練された新たな意匠を描き出していく。
複雑な光が幾重にも重なり、新たな紋様が浮かび上がる。
ガシャット自身が、永夢を適合者として認めたかのように。
永夢はゆっくりとそれを握り締める。
「パラド……。」
静かに笑う。
レウコイドを真っ直ぐ見据える。
ドライバーへガシャットを叩き込む。
「変身。」
その瞬間。
白銀の光が爆発するように溢れ出し、屋上全体を包み込んだ。
舞い上がる白い粒子。
砕けた瓦礫さえも、その光に照らされて銀色に輝く。
レウコイドは初めて動きを止めた。
「……ほう。」
無機質だった瞳が、わずかに細められる。
興味。
あるいは、警戒。
これまで微動だにしなかったその存在が、初めて永夢だけを見据えた。
光はさらに強さを増していく。
やがて、その中心に一つの人影が浮かび上がる。
純白の装甲。
全身を駆ける鋭い銀のライン。
深紅に輝く複眼。
まるで希望そのものが形となったかのような、新たな仮面ライダーが静かに姿を現した――。
エグゼイドの足が、一歩前へ出る。
静かだった。
怒りも、焦りもない。
ただ、患者を救うためだけに立つ医師の覚悟だけが、その姿から溢れていた。
「……これが、お前の最後のゲームだ。」
レウコイドの口元が歪む。
「面白い。ならば、証明してみせろ。希望など、この私には届かないと。」
次の瞬間――
ドンッ!!
空気が弾けた。
エグゼイドの姿が消える。
「っ!?」
レウコイドですら反応が一瞬遅れた。
刹那。
純白の閃光が背後へ回り込み――
ガガガガガッ!!
一瞬で十数発の連撃。
拳、肘、蹴り。
すべてが寸分違わず急所へ叩き込まれる。
「……!」
レウコイドの身体が初めて大きく揺らいだ。
「速い……!」
飛彩が息を呑む。
貴利矢も目を見開く。
しかし。
レウコイドは腕を振るう。
巨大な白い刃が空間を切り裂いた。
ズバァッ!!
ビルの屋上が一直線に裂ける。
エグゼイドはその斬撃を紙一重で躱し、空中を蹴るように方向転換。
さらに一気に距離を詰める。
右拳。
左回し蹴り。
掌底。
膝蹴り。
流れるような連撃が、絶え間なくレウコイドを襲う。
ガンッ! ガガンッ!! ドォン!!
衝撃のたびに白い装甲が砕け、火花が舞う。
レウコイドは後退した。
初めて。
あの絶対的だった存在が、一歩、また一歩と押し込まれる。
「ありえない……!」
ニコが思わず叫ぶ。
「押してる……永夢が押してる!」
ポッピーの瞳にも希望の光が宿る。
「永夢……!」
エグゼイドは止まらない。
「うおおおおっ!!」
跳躍。
真上から踵落とし。
ドゴォォン!!
屋上が陥没する。
巻き上がる粉塵。
レウコイドの身体が地面へ叩きつけられた。
エグゼイドはそのまま着地し、静かに構える。
「どうした。」
短い一言。
レウコイドはゆっくり立ち上がる。
その純白の身体には無数の亀裂。
しかし。
「……なるほど。」
パキッ……
亀裂が閉じていく。
「この程度か。」
傷が消える。
完全再生。
「!」
「私は進化する。」
全身から黒紫色の粒子が噴き出した。
屋上を覆うほどの圧倒的なレウコイド因子。
空が白く染まる。
「来るぞ!」
大我が叫ぶ。
レウコイドは両腕を広げた。
「消えろ。」
次の瞬間。
数百。
いや、数千。
白い槍が空中に生成される。
一斉射出。
「永夢!!」
だが。
エグゼイドは逃げなかった。
静かに右手を構える。
瞬間。
純白の粒子が身体の周囲を渦巻き――
バババババババッ!!
飛来する槍を拳と蹴りだけで粉砕していく。
一本。
十本。
百本。
そのすべてを正確に打ち砕く。
破片は光となって消滅した。
「何……!」
最後の一本を砕いた瞬間。
エグゼイドの姿が再び消えた。
レウコイドが目を見開く。
「どこだ。」
「――ここだ。」
真上。
永夢は太陽を背にしていた。
両足を揃え、一気に急降下する。
必殺のライダーキック。
純白のエネルギーが脚部へ収束し、巨大な光の翼が広がる。
「はぁぁぁぁぁぁっ!!」
レウコイドも咆哮する。
「甘いッ!!」
右腕が巨大な刃へと変形。
白銀と純白。
二つの力が激突した。
ゴォォォォォォォン!!!!
東京中を揺らすような衝撃波。
空が裂ける。
雲が吹き飛ぶ。
ビルの窓ガラスが一斉に震えた。
激突したまま、一歩も譲らない二人。
エグゼイドは歯を食いしばり、レウコイドは静かに笑う。
「いいだろう、仮面ライダーエグゼイド。」
その声には初めて、敵への敬意が滲んでいた。
「ならば見せてやる。私が辿り着いた、完全なる終焉を――。」
レウコイドの胸部に、禍々しい白黒の核が脈動を始める。
その瞬間、永夢は直感する。
(……来る。)
今までとは比べものにならない、本当の決着が。
レウコイドの胸部に埋め込まれた白黒の核が、不気味な鼓動を刻む。
ドクン――。
一度。
ドクン――。
二度。
鼓動のたびに、周囲へ白い粒子が解き放たれ、空気そのものが濁っていく。
飛彩が表情を変えた。
「まずい……!」
「レウコイド因子が、一気に膨れ上がってる!」
大我が歯を食いしばる。
「このままじゃ、街全体が……!」
レウコイドは静かに両腕を広げた。
「終焉とは、死ではない。」
「すべてを私へと還すことだ。」
その瞬間だった。
胸部の核が、眩いほどの白黒の光を放つ。
ゴォォォォッ!!
凄まじい衝撃波。
屋上を覆っていたコンクリートが砕け、周囲のビルの窓ガラスが一斉に震える。
そして。
核の奥から、かすかな声が漏れた。
『……永夢。』
「!」
エグゼイドの動きが止まる。
聞き間違えるはずがない。
「……パラド?」
レウコイドの瞳がわずかに揺れる。
「…………。」
『聞こえるか……。』
途切れ途切れの声。
まるで深い闇の底から、無理やり絞り出しているようだった。
『俺は……まだ……。』
「パラド!」
その瞬間。
レウコイドが片手で胸を押さえた。
「……黙れ。」
低く、苛立ちを含んだ声。
核が激しく明滅する。
『まだ……終わってねぇ……!』
「黙れと言った。」
レウコイドの全身からレウコイド因子が噴き出す。
黒紫色の粒子が核へ流れ込み、声を押し潰そうとする。
しかし。
『永夢……。』
その一言だけは、はっきりと届いた。
『核だ。』
エグゼイドの複眼が見開かれる。
『あそこが……奴を倒せる唯一の場所だ。』
「……!」
飛彩たちも息を呑む。
「まさか……。」
レウコイドは静かに笑った。
「なるほど。」
「最後の抵抗か。」
胸部の核を覆うように、純白の装甲が幾重にも展開されていく。
「ならば、お前ごと消してやろう。」
『気にするな。』
パラドの声は、不思議なほど穏やかだった。
『俺は……お前にゲームで負けた時からさ。』
『命の意味ってやつを、お前に教わった。』
『だから今度は――』
一瞬。
核の奥で、エメラルドグリーンの光が灯る。
ほんの一瞬だけ。
レウコイドの動きが止まった。
『患者を救え。』
『それが、お前の戦い方だろ。』
「パラド……。」
エグゼイドは静かに拳を握る。
レウコイドはすぐに身体の自由を取り戻し、忌々しげに胸元を見下ろえた。
「……ノイズが。」
「だが、もう終わりだ。」
胸部の核が、今までとは比較にならない光を放つ。
空が白く染まり始める。
エグゼイドはゆっくりとファイティングポーズを取った。
「待ってろ、パラド。」
その声は揺るがない。
「お前も必ず助ける。」
レウコイドが口元を歪める。
「救えるものなら、救ってみろ。」
次の瞬間。
二人は同時に地面を蹴った。
白銀の閃光と、純白の終焉。
最終決戦が、ついに幕を開けた。
コメント
1件
読み終わった…!マジで熱すぎるわこの展開🔥 永夢がパラドの遺した未完成ガシャットで新フォームゲットする流れ、痺れた。特に「パラドが命を懸けて残してくれた希望」って台詞はグッときたな。しかも核の中からパラドの声が聞こえるとか、泣かせにきてるやん…。最期まで永夢を信じてるのが伝わってくる。 新エグゼイドの白銀の装甲と連撃、レウコイドを押し込む場面の躍動感がすごい。ただ、核破壊が攻略条件ってパラドの命を奪う覚悟も必要ってことか…続きが気になりすぎるわ!次回も楽しみにしてる🔥
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