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「……五条悟に、殺された?」
部屋に報告が響いた瞬間、直哉の思考は完全に停止した。目の前が真っ白になり、耳の奥で嫌な耳鳴りがキィィンと鳴り響く。呪術界を震撼させた「術師殺し」の死。周囲の人間は「当然の報いだ」と嘲笑っていたが、直哉の耳にはそんな雑音は一切届かなかった。「嘘や。あの甚爾くんが……負けるわけないやろ……!」
ドサリ、と力なく床に膝をつく。どれだけ強く、傲慢に振る舞っていても、甚爾という絶対的な存在がいたからこそ保たれていた直哉の世界が、音を立てて崩壊していく。あの人は、自分を置いて逝ってしまった。現世での再会は、もう、永遠に叶わない。
「なんでや……! 俺に『来世でな』って言うたやんか! 嘘つき……っ、大嘘つきや!」
直哉は拳で床を何度も叩きつけた。拳から血が滲み、激しい痛みが走るが、胸の奥の痛みに比べれば何でもなかった。涙がボロボロと溢れ、床に黒い染みを作っていく。あの夜の約束。普通の人間として、普通の場所で会おうと言った、あの静かな時間。あれは甚爾にとって、ただの気まぐれだったのかもしれない。自分をあしらうための、軽い口約束だったのかもしれない。それでも、直哉にとっては生きる意味そのものだった。しばらくして、直哉はゆっくりと顔を上げた。泣き腫らした瞳の奥に、仄暗い、しかし歪んだ光が灯る。
「……あぁ、そうか。そっちが先に逝ったんやな」
直哉は自嘲気味に笑い、血の滲む手で涙を拭った。現世がどれだけ地獄であろうと、甚爾がいないこの世界に、これ以上の価値などない。だが、ここで自分まで簡単に命を投げ出すのは、あの男への敗北を意味する。「待っとれよ、甚爾くん。俺がこの腐った家を、現世を、全部終わらせてから逝ったるわ」
直哉は立ち上がり、着物の乱れを整えた。その表情から涙は消え、以前よりもずっと冷酷で、狂気を孕んだ「禪院直哉」の顔に戻っていた。現世での糸は完全に切れた。しかし、だからこそ二人の「来世の約束」だけが、直哉を突き動かす唯一の絶対的な真実となったのだ。
コメント
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ああ、もう……胸がぎゅっとなりました。直哉が「嘘つき……!」って床を叩きながら泣くシーン、本当に苦しくて。あの「来世でな」という約束が、ただの口約束じゃなくて、彼にとって生きる軸そのものだったんだなって伝わってきました。血が出るほど拳を打ちつける痛みより、心の痛みのほうがずっと大きいっていう描写が、切なくて、でもとても美しかったです。最後の冷酷な笑顔には、逆にゾッとするような引力を感じました。来世の約束だけを糧に、現世で何かを成し遂げようとする直哉……続きが気になります。
#禪院甚爾
欲 。
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とーにゃん
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