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深夜、淡い暖色の間接照明だけが灯る寝室。
gonは枕をぎゅっと抱きしめながら、隣でスマホをいじっているsgiを盗み見ていた。
179cmの長身。グループ最年長のsgiは、普段から年上ぶることもなく、後輩の僕たちとも同じ目線で遊んでくれる。
今も、何かの動画を見ているのか、瞳をキラキラさせて「これ、めっちゃおもろない?」と笑う姿は、まるで新しいおもちゃを見つけた少年のようだ。
けれど、今夜のgonは、そんな「少年のままのsgi」を少し困らせて、男の顔にさせてやりたかった。
sgi「gon、そろそろ寝るか。明日も早いしな」
sgiがスマホを置いて、ひょいとこっちを向いた。 その瞳は、どこまでも真っ直ぐで屈託がない。gonはその光から逃げるように視線を落とすと、勇気を振り絞ってsgiのパジャマの袖を指先で掴んだ。
gon「……まだ、眠りたくないです」
精一杯、熱を込めて呟いた。
上目遣いで、拒絶されるのを恐れるようにsgiを見つめる。これは彼なりの、最大級の「誘い」だ。
言葉の裏には、『寝る以外のことをして、僕を子ども扱いしないでほしい』という必死な願いを込めた。
sgiは一瞬、意外そうに目を丸くした。 けれど、彼から返ってきたのはgonが期待したような色気のある反応ではなく、「お、どうした?」という、どこまでも明るい心配の声だった。
sgi「目が冴えちゃった? 疲れてんのに寝られへんのは辛いよな」
sgiはまるで、一番可愛がっている弟をあやすような手つきで、gonの背中に手を回して引き寄せた。そのまま、自分の広い胸元に抱き込む。
sgi「じゃあ、眠くなるまでお話しようぜ。俺が今日見つけた面白い話とか、なんでも付き合ってやるから。……な? 安心して目ぇ閉じろよ」
gonの身体が、絶望に近い幸福感で強張った。
違う。そうじゃない。 僕が求めているのは、そんなワクワクした話を聞く時間じゃない。sgiさんの大きな手に、もっと乱暴に、情熱的に奪ってほしかったのに。
gon「あの……sgiさん、僕は、お話じゃなくて……っ」
sgi「ええって。寂しいんやろ? ほら、楽にしろよ」
そう言って髪をくしゃくしゃと撫でるsgiの手つきは、どこまでも純粋で、悪意が一切ない。
sgi「昔、一人で旅をした時の話を教えたるわ。……あん時は、ほんまに星が綺麗でなぁ」
不意に混じった、柔らかな関西弁のタメ口。
sgiが時折見せる、この少年のように剥き出しの素のトーンに、gonの心拍数が跳ね上がる。
けれど、耳元で楽しそうに語られるその声は、gonの戦意を根こそぎ奪ってしまうほど心地よかった。 sgiはgonを腕の中に抱いたまま、まるで冒険譚を聞かせる少年のように、目を輝かせて思い出を語り続ける。
gon(……ああ、もう……なんで、この人は……)
あまりにも、無邪気すぎるのだ。
gonはsgiの胸元に顔を埋めたまま、見えないところで悔しそうに唇を噛んだ。
sgiの語る物語は、どんな安定剤よりも効果的に、gonの脳内をリラックスさせていく。
さっきまであんなにギラついていた情欲が、sgiの揺るぎない「少年のような純粋さ」によって、穏やかな眠りへと浄化されていくのがわかった。
sgi「……gon? 眠なってきたか。呼吸、ゆっくりになったな」
gon「……ん……っ、……まだ、起きて……ます……」
抗おうとして呟く言葉さえ、もう微睡みの深淵に溶けかかっている。
sgiは、gonの額にそっと柔らかなキスを落とした。
sgi「おやすみ、gon。良い夢見ろよ」
その、呼び捨てにする甘い囁きが、トドメだった。
結局、その夜のgonは、人生で一番と言っていいほどの熟睡を手に入れてしまった。
翌朝、窓から差し込む光を浴びて、信じられないほどスッキリと目覚めた自分の身体。隣で「おはよ。よぉ眠れたみたいで安心したわ」と、少年のように爽やかな笑顔で笑うsgiを見て、gonは再び心の中で(そうじゃないんだ……!)と絶叫することになる。
最年長の「無邪気な壁」を崩すには、どうやらまだ、僕のエネルギーが足りないらしい。
gonは、ふかふかの枕を抱きしめ直しながら、次こそは「お話」なんてさせない方法を、まだ重い頭で必死に考え始めるのだった。