コメント
5件
ななはさんが書くストーリーが大好きです。♡
最近あんまり投稿してなかったのでちょっと寂しかったです、、。(何様だよ) にこちゃんに暴力振るうなんてどんな男だよ!私がフルボッコにしてやるぜぇい!! っていうか今日の物語凄く感情移入しちゃいました…✨だからなのか自分まで暴力振るわれてる感じになっちゃいました、!めちゃくちゃ面白かったです!次の作品も楽しみにしてます!!
ほんとに尊敬します! ななはさんの世界観というかすごい読んでて引き込まれます!凄すぎる!次も楽しみに待ってます!
アフターストーリーです。⚠️暴力表現
〜〜〜
〜nico side〜
「お願い、もう一緒にいられないの。」
必死に訴えかけても、彼は余裕のある表情を崩さなかった。
-ふふ。
本当におかしそうに、まるで哀れな捨て犬でも見ているみたいな笑みに、背中がゾワッと粟立つのを感じた。
「大丈夫大丈夫。」
その言葉が、自分に向けられたものなのか、はたまた彼自身に向けられたものなのかは分からなかった。ただ、直後に走る激痛に、まだ彼から逃れることはできないのだと悟った。
何度も経験したこの痛み。どくどくと波打つように痛みが押し寄せてくる。
痛みに耐えかねてぎゅっとつぶった目を開いたのとほぼ同時に、再び彼の拳が私のお腹に当たる。
逃げなきゃ。
頭ではわかっているのに、体はちっとも動かなかった。
何度も鈍い痛みが体を駆け巡って、上手く息も吸えない。
助けて、苦しい、苦しい。
誰でもいいからとにかく、この苦しみから救い出してほしかった。
ジンジンと痛む体に新しい痛みが生まれなくなって、歪む視界で見上げると、安心しきったような顔をする彼が映った。
「ぅ、、、ぁ、ぃたい、、っぅ」
「痛かったね。ごめんねにこ。ほらおいで。」
行っちゃだめだ。その意思とは裏腹に、長い間訓練された体は反射的に腕を伸ばしていた。
「にこは本当に、、、、」
あぁ、まただ。また呪いをかけられる。
抵抗なんて、もう諦めていた。
「俺が居ないと、だめだね。」
見えない鎖で、繋がれた気がした。
「あー、ここ、血がでてるじゃん。可哀想に。」
「ぃたい、、、いたいよ、、」
「うん、じゃあちゃんと言ってごらん。いつも教えてあげてるでしょ。」
「、、、、ちゃんと、言うこときく、から、、助けて、ください、。」
弱すぎる自分に呆れてしまう。りほの為にと誓ったのに、こうやってまた、過ちを。
「お利口だね。にこはそれでいいんだよ、ずーっと。そうすれば痛いことも苦しい事も、なにもないんだから。」
「はい、ごめ、っなさぃ、」
「泣かなくていいよ。分かればいい。それよりさぁ、この前りほちゃんと飲みに行ってから様子がおかしいけど、なんかあった?」
血の気がひいて、心臓は、彼に鼓動が聞こえていないか心配になる程脈打っていた。
「なんにも、ないよ、」
「そっかぁ。でもさ、にこ。」
「はい、」
「お外は危ないんだよ。にこがもし傷ついたりしたら可哀想だから、だから、、、ずっとおうちにいようか。」
ーーーー
「今日からここがにこのお家だよ」
まって、そう声を掛けたけど、彼は私に背を向けてドアの向こうへ行ってしまった。
冷たい鉄で繋がれた手首。どれだけ強く引っ張っても、ただ痛みが増すばかりだった。
でも、まだ諦めていなかった。身を捩って、ポケットの中から携帯を取り出す。ぶたれた所は燃えるように痛かったし、今すぐ声を上げて泣き叫びたかった。
でも、大丈夫。りほがいるから。
-おかけになった電話番号は 現在使われておりません-
なに、それ。
そんなはずないじゃん。だってりほは最近携帯変えたばっかりだし、それに、それに、、、。
そこでようやく、自分は捨てられたんだと気が付いた。理由なんて、分かんないけど。そんなのどうだってよかった。
目の前からりほが消えた事実だけが、私の生きる気力をいとも簡単に奪っていったのだった。
暗闇を唯一照らしてくれた大きな月は、静かに私の前から姿を消した。
ーーーー
頬にあたるフローリングの冷たい感触。涙はとっくに出なくなった。
あれから何日経ったのかも分からずにただ、定期的に食事を与えに入ってくる彼に怯え、縋っていた。
自分に危害を与えてくる人間に依存し、傷つき、いつの間にか自分の存在意義まで見失っていた。
馬鹿馬鹿しい。
りほはこんな私を見てどう思うんだろう。哀れだと笑うだろうか。
幼い頃のように、正義のヒーローになってくれるんだろうか。
いや、そもそも
りほはもう私の事など、眼中にもないか。あまりにも自虐的な思考に笑いが込み上げてきた。
りほなら、りほだったら、頭の中は彼女で埋め尽くされた。もう一生、振り向いて貰えない相手で。
『今度会った時にはさ、ちゃんと親友に戻っていようね。』
あの夜私はわざとそう言って、わざと髪に手をかけた。本当はあなただけを愛しているよと、伝える代わりに。
りほなら気付いてくれると思った。いや、気付いていたのかもしれない。それでいて、私は、見捨てられたのかもしれない。
ねぇ、りほ。もしも私にもう一度チャンスがあるなら、今度は初めから、あなただけを愛すのに。
でも、それは叶わないらしいね、大丈夫だよ、私はここでちゃんと生きているから。
だからりほ、あなたは、幸せでいて。
ふと顔を上げると、窓から月明かりが差し込んでいた。
綺麗な満月。
どうかこの月を貴方は、見上げていませんように。
〜〜〜
アフターストーリーのくせに長すぎるだろと思った皆さん、こんにちは。
次で本当に完結です。
アフターアフターストーリーという訳です。
最後まで読んでくれたカタカタには、一人一人にお茶を振る舞いたい所存ですので、是非、見届けてやって下さい。