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嘘つきな君へ

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嘘つきな君へ

10 - after story 1

♥

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2022年04月04日

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アフターストーリーです。⚠️暴力表現

〜〜〜

〜nico side〜

「お願い、もう一緒にいられないの。」


必死に訴えかけても、彼は余裕のある表情を崩さなかった。


-ふふ。


本当におかしそうに、まるで哀れな捨て犬でも見ているみたいな笑みに、背中がゾワッと粟立つのを感じた。



「大丈夫大丈夫。」



その言葉が、自分に向けられたものなのか、はたまた彼自身に向けられたものなのかは分からなかった。ただ、直後に走る激痛に、まだ彼から逃れることはできないのだと悟った。


何度も経験したこの痛み。どくどくと波打つように痛みが押し寄せてくる。

痛みに耐えかねてぎゅっとつぶった目を開いたのとほぼ同時に、再び彼の拳が私のお腹に当たる。


逃げなきゃ。


頭ではわかっているのに、体はちっとも動かなかった。

何度も鈍い痛みが体を駆け巡って、上手く息も吸えない。


助けて、苦しい、苦しい。


誰でもいいからとにかく、この苦しみから救い出してほしかった。


ジンジンと痛む体に新しい痛みが生まれなくなって、歪む視界で見上げると、安心しきったような顔をする彼が映った。



「ぅ、、、ぁ、ぃたい、、っぅ」


「痛かったね。ごめんねにこ。ほらおいで。」



行っちゃだめだ。その意思とは裏腹に、長い間訓練された体は反射的に腕を伸ばしていた。



「にこは本当に、、、、」



あぁ、まただ。また呪いをかけられる。

抵抗なんて、もう諦めていた。



「俺が居ないと、だめだね。」



見えない鎖で、繋がれた気がした。



「あー、ここ、血がでてるじゃん。可哀想に。」


「ぃたい、、、いたいよ、、」


「うん、じゃあちゃんと言ってごらん。いつも教えてあげてるでしょ。」


「、、、、ちゃんと、言うこときく、から、、助けて、ください、。」



弱すぎる自分に呆れてしまう。りほの為にと誓ったのに、こうやってまた、過ちを。



「お利口だね。にこはそれでいいんだよ、ずーっと。そうすれば痛いことも苦しい事も、なにもないんだから。」


「はい、ごめ、っなさぃ、」


「泣かなくていいよ。分かればいい。それよりさぁ、この前りほちゃんと飲みに行ってから様子がおかしいけど、なんかあった?」



血の気がひいて、心臓は、彼に鼓動が聞こえていないか心配になる程脈打っていた。



「なんにも、ないよ、」


「そっかぁ。でもさ、にこ。」


「はい、」


「お外は危ないんだよ。にこがもし傷ついたりしたら可哀想だから、だから、、、ずっとおうちにいようか。」


ーーーー


「今日からここがにこのお家だよ」


まって、そう声を掛けたけど、彼は私に背を向けてドアの向こうへ行ってしまった。

冷たい鉄で繋がれた手首。どれだけ強く引っ張っても、ただ痛みが増すばかりだった。


でも、まだ諦めていなかった。身を捩って、ポケットの中から携帯を取り出す。ぶたれた所は燃えるように痛かったし、今すぐ声を上げて泣き叫びたかった。

でも、大丈夫。りほがいるから。









-おかけになった電話番号は 現在使われておりません-










なに、それ。

そんなはずないじゃん。だってりほは最近携帯変えたばっかりだし、それに、それに、、、。


そこでようやく、自分は捨てられたんだと気が付いた。理由なんて、分かんないけど。そんなのどうだってよかった。

目の前からりほが消えた事実だけが、私の生きる気力をいとも簡単に奪っていったのだった。


暗闇を唯一照らしてくれた大きな月は、静かに私の前から姿を消した。


ーーーー


頬にあたるフローリングの冷たい感触。涙はとっくに出なくなった。

あれから何日経ったのかも分からずにただ、定期的に食事を与えに入ってくる彼に怯え、縋っていた。


自分に危害を与えてくる人間に依存し、傷つき、いつの間にか自分の存在意義まで見失っていた。




馬鹿馬鹿しい。




りほはこんな私を見てどう思うんだろう。哀れだと笑うだろうか。

幼い頃のように、正義のヒーローになってくれるんだろうか。


いや、そもそも


りほはもう私の事など、眼中にもないか。あまりにも自虐的な思考に笑いが込み上げてきた。


りほなら、りほだったら、頭の中は彼女で埋め尽くされた。もう一生、振り向いて貰えない相手で。



『今度会った時にはさ、ちゃんと親友に戻っていようね。』



あの夜私はわざとそう言って、わざと髪に手をかけた。本当はあなただけを愛しているよと、伝える代わりに。

りほなら気付いてくれると思った。いや、気付いていたのかもしれない。それでいて、私は、見捨てられたのかもしれない。


ねぇ、りほ。もしも私にもう一度チャンスがあるなら、今度は初めから、あなただけを愛すのに。

でも、それは叶わないらしいね、大丈夫だよ、私はここでちゃんと生きているから。


だからりほ、あなたは、幸せでいて。


ふと顔を上げると、窓から月明かりが差し込んでいた。


綺麗な満月。


どうかこの月を貴方は、見上げていませんように。

〜〜〜

アフターストーリーのくせに長すぎるだろと思った皆さん、こんにちは。

次で本当に完結です。

アフターアフターストーリーという訳です。

最後まで読んでくれたカタカタには、一人一人にお茶を振る舞いたい所存ですので、是非、見届けてやって下さい。

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