テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

もとぱです。

※2人は付き合ってないです。


side若井


夜が深まる中、元貴はベッドの上で静かに横になっていた。

時々弱々しい咳をして、ぎゅっと布団の縁を掴む。


熱が出ているため顔は火照り、不安そうに天井を見つめている。


きっと、普段の疲れが祟ったんだろう。


でも、彼が自分の気配を感じて、少しだけ安心しているように感じた、正直に言えば、そうならいいのになと思った。



「元貴、少しだけ我慢しててね。」

俺はそっとささやきながら、彼の額に手をあてる。


「んっ、…。」


冷たかったのか苦しそうな声を上げた。


熱は少し下がったみたいだけど、まだ油断できない。


そう思いながら、額をさすっていると、

元貴は、少しだけ照れたように顔を背けながらも、静かに目を開けて、俺の視線とぴたと合わせた。


「ねえ…っ、おでこ気持ちいの、もうちょっとだけ、こうしてて?」


元貴はそれだけで満足そうに微笑み、俺の手をそっと引き寄せ、離すまいと、おでこの上にのせて、両手でぎゅぅ、と握った。

彼の指先は、少しだけ震えていた。


暫くして元貴が、


「弱いとこ…、、見せちゃった…っごめんね…。」


震える声ポツポツと呟く。

大丈夫だというように、彼の頬を優しく撫でると、暖かくて、柔らかい涙が手に触れる。


「いいんだよ、いくらでも見せて。」


「俺にならね。」


「ばか、今日は特別だから…っ。」


元貴は照れくさそうにそう言う。

涙を拭い終えて、彼の頬からそっと手を離そうとすると、彼はぎゅっと俺の手を掴む。

俺はゆっくりと再び元貴の方に引き寄せられる手を、恋人繋ぎにした。


元貴は、少しだけ顔を赤らめながらも、そのまま俺の手を弱々しく握り返した。

小さくて、暖かくて、柔らかい手から トクトク と脈の振動が伝わってくる。


脈が伝わってくるその一瞬一瞬がひどく切なく感じられる。


このまま、ずっとこうしていられたらいいのに――。

だけど、彼の身から熱が消えてしまうと、この瞬間もなかったことのように、また慌ただしく時が進んでいくのだろう。




side???

静かな夜の中、二人はただ互いの手を握りながら、言葉にならない想いを交わした。


滉斗は、心の中でこう願った。


「いつか、この手を離さずにいられる日が来るのかな…。」

「このまま、ずっと、誰よりも近くにいられるのかな…。」


元貴の目は、まだ少しだけ潤んでいた。


彼もまた、心の奥底でそう願っていた。


「滉斗…。」


と元貴が弱々しくつぶやく。


滉斗は、その声を耳にして、静かに答えた。


「うん、ずっと、一緒だよ。」


二人の手は、そのまま静かに絡まりあい、夜の闇の中に溶けていった。

loading

この作品はいかがでしたか?

74

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚