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キスから解かれると、張り詰めていた気持ちが緩んで安堵したこともあって、ふと小さな笑みがこぼれた。
「どうした、笑ったりして?」
不思議そうに首を傾げる彼に、
「……髭があたって、チクチクしました」
唇に手を当てがい、クスッと笑って言うと、
「…え?」
と、驚いたような顔で見つめ返された。
「そうか、髭があたるのか……」
彼が口元の髭を片手で撫でさする。
「悪かったな。それは気づかなかった」
「ああ、いえ、悪いだなんてことは全然」と、首を振って否定をする。
「では、嫌じゃなかったのか?」
「はい、決して嫌なんかでは……」
「それなら、よかったよ…」
彼が口にして、見慣れた髭の生えた顔をふわりと柔らかにほころばせた……。