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おはようございます。
XのことをいまだにTwitterと呼び続けている平成の地縛霊、琥珀です。
今回もおサボり回ってことで、X(Twitter)で投稿した小説たちを再掲しようと思います。
X(Twitter)ではこういうのもたまに書いて投稿してるよっていうご紹介でもありますね。前にも言ったけど。
タイトルにカプ名を記載しておくので、苦手なカプはちゃんと回避してね。お姉さん(?)との約束だぞ。
『桜が綺麗ですね』(英日帝、微英日)
診断メーカーのお題で書いたやつ。死描写あるので注意。
春。厳しい冬を越した命が輝かしく芽吹く、終わりと始まりの時期。
季節が巡りやってきた、私の一番嫌いな季節。
この時期はいつも家に籠っているのだが…久しぶりに懐かしい道を歩く。
何かに、呼ばれた気がしたのだ。
桜花爛漫、桜雲とも言える並木道。
かつてはお気に入りだったこの場所も、独りでは酷く虚しい。
……やめよう。感傷に浸ったとて、今が変わるわけでもない。
気分を変えようと、気持ちよく晴れた空を眺める。
瞬間、視界を奪う花弁の嵐。
花弁に姿を隠される太陽へ、冷汗の滲む手を、反射的に伸ばした。
嗚呼、やめてくれ。
お前はまた、彼を拐っていくのか。
*****
脳裏に浮かぶは旭の浮かぶ彼との最後。
愛しい彼と見た地平線に落ちる太陽。
腕の中にある、戦火に焼かれボロボロになった体に一つまた一つと雫が染み込んでいく。
「なぜ…こんなになるまで、諦めてくれなかったんだ」
「貴方と戦いたく無かった。貴方を…失いなくなかった」
「私を置いて、いかないでくれ」
上手く声の出ない喉。やっと出た声も掠れ、弱々しい。
そんな私を、半開きの紅がじっと見つめる。
そして、困った顔で微笑んだ。
「すまないが…それは無理な相談だ」
「私はもうじき死ぬ。だが、またいつか…逢いに行く。必ずだ」
震える手がゆっくり伸びてきて涙を拭い、ポトリと落ちる。
柔らかな温もりを全て与えられたように、腕の中が冷えていく。
最期の気力だったろうに、やる事がそれか。
……貴方はどこまでも優しいのだな。
明度の下がっていく西日が安らかな彼を照らす。
きっと彼は夕日に落ちていったのだろう。
濡れた指先から崩れゆく彼の体。
腕の中には小さくなった、壊れかけの花弁のような姿。
「待っています。絶対ですよ」
遅咲の桜が涼風に乗って儚く逝った。
*****
あれから7年の時が過ぎた。
あの予感は気のせいだったようだ。
花の風を睨んで、来た道を引き返そうと振り向く。
その時、一枚の花弁が肩に止まった。
…お前は私に同情してくれるのか?
気まぐれにそっと肩から掬って手を離す。
自由になったそれは、ご機嫌そうに私の目の前を一回転し、遠くへ引き寄せられていく。
そして、小さな人影の、顔にベタッと張り付いた。
驚いて花弁を剥がす彼。
愛らしい低い背、雪のように白い肌、そして…顔に浮かぶ日の丸模様。
記憶の中の”彼”とよく似た姿だ。
驚きに、ただ呆然と立ちつくす。
目線の先の彼が、頭を上げ、こちらを見る。
彼もまた、ぽかんと口を開け、呆然と立ち尽くしていた。
次第に、黒い目がじわりと濡れ、ポロポロと天気雨を降らせる。
ゆっくりと一歩踏み出した彼は、溢れ出る涙を気にもとめず、私の元へと駆け寄った。
「イギリスさん…っ!!」
小さな体が私を包んだ瞬間、確信した。
“彼”と同じ、柔らかな温もり。
この人は、”彼”なのだと。
溢れ出る感情のまま、強く抱き返す。
「逢いに、来ましたよ」
紅みがかった黒い瞳を細め微笑む姿は、綻ぶ蕾のようだった。
季節が巡りやってきた、私の一番好きな季節。
やっと逢えた。愛しい桜の君。
『一生のお願い』(独日)
我が同志にわかさんの誕生日記念。愛が重いけどプラトニックな独日を書いてみたかった。
「お前の命が絶えた時、俺にお前の肉体をくれないか?」
隣のデスクに座る彼、ドイツさんは時々、突拍子のないを言い出す
カタカタとパソコンを弄りながら飛び出た発言に固まる
彼は手を止め、ゆっくりと体をこちらへ向けた
「お前は世界に愛され、必要とされている。俺一人が独占する訳にはいかない」
「だからせめて、お前が死んだ後くらいは、俺に独占させてくれ」
ぽつり、ぽつり
心に垂れて染みていく、熱を帯びた低い声
「お前の死体を保存して、ずっと俺の手元に置いて、俺だけのものにしたい。
“俺だけの日本”を愛していたい」
黄昏色の真っ直ぐな瞳が僕をじっと捉えて離さない
「……俺の、一生のお願いだ」
言い終わって、訪れた静寂
段々と俯いていく彼は今、何を考えているんだろう
その時、彼はそっと、僕の手を取った
手の力は意志の強さなのか、痛いほどに握りしめられている
初めて知った、彼の狂気じみた愛
けれど、僕は抵抗もせず、ただ静かに笑った
「そんなことに一生のお願いを使わないでください」
「僕の魂は死後も貴方の心の中で生き続けるつもりですよ。例え貴方が嫌がったとしてもね」
「抜け殻くらい、お願いしなくたってくれてやるつもりです」
弾けるよう上を向いた彼の視線
“自分と同じ”だと、気づいてくれたのだろう
冷静な彼が瞳孔を震わせることに、また一つ笑みがこぼれる
「むしろ、そのお願いをするのは僕の方では?あなたの家系は薄命ですから」
意地悪に笑い返すと、彼は、自信満々に口角を上げた
「俺は長生きするぞ。アイツらとは違ってな」
得意げに語る口振りに思わず笑みが浮かぶ
それを隠すよう立ち上がって、彼の膝に乗る
彼の太腿の温かさに、僕の方が一瞬息を呑む
そして、首に腕を回して、上半身を重ねた
甘えるように、縋るように
「僕が貴方に独占されるまで、頑張って生きてくださいね」
「僕の、一生のお願いです」
祈りにも似た、囁き声
一瞬体を震わせ、ふっと笑った彼が、僕をそっと抱き返した
「お願いされなくとも生きてやるさ。絶対に」
触れる胸元で、彼の鼓動が静かに響いている
それは確かに、生きると誓った音だった
『誠実という名の執着』(独→日)
当宅のドイツくんが日本くんに対して持っているであろうクソデカ感情を言語化したらこんな感じかなという代物。
お前といると、心が満たされるんだ。
噛み合う歯車のように、世界が動く心地がする。
それに、お前は俺を純粋に信頼した。委ねてくれた。
そのことにどれだけ救われたか、お前は知らないのだろう。
認めたくないが、お前の信頼に他国も助けられているのは事実だ。
けど、お前は優しくて、脆い。
自らを顧みない。
俺を救う優しさを誰にも奪われたくない。
だから……俺はお前を守る。
お前がそれを望まなくても、望んでも――結果は同じだ。
お前は必ず、俺の元へ戻ってくるから。
『太陽と深海』(イタ→日)
先程の独→日と同じく、当宅イタリアくんが日本くんに対して持ってそうなクソデカ感情を言語化してみたやつ。
Ciao!今日も可愛いね。大好きな笑顔だ。
けど、僕以外に見せないで欲しいな。僕の心に黒いの”が沈むから。
大体、君は優しすぎるんだよ。
だから皆が勘違いする。
触っていい、奪っていいって。
……………笑えるね、奪えるわけないのに。
どこ行ってもいい。
でも最後は僕のところに戻ってきて。
僕、君じゃないとダメなんだ。
怯えなくていいよ。
ほら…笑って。
僕の太陽でいてよ。
僕は君の深海になるから。
『君に夢中』(フィン日)
我らがゼウス、クロネコさくらさんのとあるイラストをモチーフに書いた三次創作。
元になったイラストはpixivかX(Twitter)のアカウントで投稿されてるので探してみてね。
繁忙期の冬。定時から一時間が経過した頃、休憩のために屋上へ行く。
そこには、紫煙を漂わせる先客ーーフィンランドがいた。
「お疲れ、日本」
切れ長の目がふにゃりと緩んで、柔らかい笑みが浮かぶ。
それだけで、心がふっと軽くなるのを感じた。
「お疲れ様です、フィンランドさん。お隣いいですか?」
「勿論。火、つけてあげる」
「ありがとうございます」
馴れた手つきでライターに火を灯し、煙草の先へと分け与える。
彼が着けてくれたからだろうか。
一口目の煙が、いつもより美味しい。
「日本、電子タバコじゃないんだね」
「変えようと思ってるんですけど…やっぱり紙がいいなって」
「分かる。煙で慣れちゃうと蒸気じゃ満足できないよね」
そんな他愛のない話をしながら、互いに煙を肺に送る。
会話が止んで、場に拡がる心地よい静寂。
また一息、煙を味わって、星空を眺める。
けれど、変わり映えしない景色に、すぐ飽きてしまった。
さて、どうしたものか。
行く先を求めた眼が選んだ先は、フェンスに肘を乗せ頬杖をつく隣の彼だった。
…イケメンは様になるなぁ。
細長いけれどしっかり筋の見える大きな手。
月光に照らされ輝く雪色の長い睫毛。
星空を模した街並みを眺めるアンニュイな表情。
観察するほどに見蕩れてしまう、一種の芸術作品のような美しさがある。
煙だけが揺れる静の世界で、夜の闇を纏ったアイスブルーがこちらへ流れる。
同時に、青い肌にほんのりと、赤が帯びた。
「見過ぎ…」
僅かに下がる眉尻。困ったように、気恥しそうに。
でも、しっかりこちらを見据える視線。
月明かりを背に頬を染める姿は、クールな彼とは思えない可愛さで…
強すぎる刺激に、ハッと意識が醒めた。
「す、すいません!!無礼な事を…」
「あっいや、別にいいんだけど…その…」
「じっと見られると、照れちゃう、というか…」
僕の視線を遮ろうとしたのだろうか。
中途半端に浮かせて彷徨う左手は彼の優しさそのもので。
けど、行き先が定まったそれは僕の熱い頬を掬って、逃げ場を塞ぐ。
気づけば、目と鼻の先。
影をおとした氷の瞳が僕を捉えて離さない。
無言で注がれる視線に跳ねる鼓動は、彼の熱を刻み込まれてしまったようだった。
「…ほら。俺の気持ち、分かったでしょ」
仕返し、と落ちた唇の冷たさに、自分の熱さを自覚させられ、余計に羞恥が募る。
心臓が、うるさい。
燃え上がって、死んじゃいそう。
強い北風が吹き始め、緩んだ手から、ポロッと煙草が滑り降ちる。
風の寒さも、無駄になった煙も。
何もかもどうでもいいほどに、僕は彼に夢中だった。
『理性の魔法』(独日)
我が親友にわか氏が独日を欲していたので。
落書き程度のシンデレラモチーフ独日です。
指を掛けたネクタイが解かれる。
それはまるで、鐘の鳴った舞踏会のよう。
拘束が解けはだける首元。
口元が歪みギラリと光る牙。
仮面を外し現れる獰猛。
社交場では見せることの無い、内側の彼が姿を現す。
公の魔法が解ける頬を撫でる優しい理性だけが、ガラスの靴のように彼を繋ぎ止めていた。
…魔法が解けたのは、なにも彼だけではない。
遠慮もなく距離を縮め、頬に触れさせた唇と、首へ回した腕。
犬歯がチクリと肌を刺した場所から広がる甘い震え。
被食に悦を覚える自分は、ひどく淫らな表情をしているのだろう。
橙を帯びた熱視線はガラスを溶かそうと熱心だった。
『二人分を込めて、半分こ』(加日)
バレンタイン小説第一弾。
砂糖マシマシのミルクチョコレートを目指して書きました。
二月十四日、日本では、好きな人にチョコレートを渡すイベントがあるらしい。
僕の国では花を贈るのが主流だが、甘党の僕にとってはチョコレートの方が正直嬉しい。
そんな文化を持つ僕の最愛、日本に「渡したい物がある」と呼び出され向かっている最中。
何せ、今日は付き合って初めてのバレンタイン。
当然、僕は浮かれきっていた。
日本はどんなチョコレートをくれるんだろう。
彼は行事を大切にする人だ。
形式も、意味も、きちんと考える。
だとすると、選ぶなら高級チョコレートかな。
僕はなんでも嬉しいけど。
そんなことを考えているうちに、辿り着いた目的地。
扉を開けると、そこには紙袋を持って座る日本がいた。
「カナダさん!お疲れ様です」
「お疲れ様。それで、”渡したい物”って?」
おおよその見当はついているけど、尋ねてみる。
今の僕、絶対に浮ついたニヤケ顔してるんだろうな。
「あ、あの…」
一方の日本は落ち着かない様子で、袋の柄を握り直す。
ただ静かに待っていると、決心した様子で紙袋を差し出した。
「これを渡したくて…」
手渡された紙袋には、数枚の板チョコ。
想定外のチョイスに受けとろうとした手が固まった。
あれ、違った。
ガッカリした訳じゃない。
でも、日本が理由なく簡素なものを選ぶはずがない。
その意味を探っていると、日本は恥ずかしそうに俯いて、ポツリと呟いた。
「これで、あなたと一緒にお菓子を作りたいなって…」
「その…今日は、あなたの家に行ってもいいですか?」
揺れる上目遣いと、ルビーチョコ色に染まる頬。
彼なりのお誘いだと気づくのに、そう時間はかからなかった。
…ああ、やっぱり日本には敵わないな。
「いいよ。楽しみにしてるね」
そっと頭を撫でると、柔く細まるカカオ色の瞳。
二人で作る時間はミルクチョコレートよりも甘くなるだろうな。
そんな予感が、胸の奥でじんわり広がった。
『僕の心は開けないで』(アメ日)
バレンタイン小説第二弾。
苦味と酸味が後引くハイカカオチョコレートを目指して書きました。
二人並んで歩く帰り道。
両腕いっぱいのチョコレートを抱えて、あなたはサングラス越しに、少し困ったように笑っていた。
どれも、冗談半分ではない告白だと知っている。
包装も、視線も、声の震えも。
あなたは律儀に受け取っていた。
食べ物に罪はないから、と。
まるで、それが当然の礼儀だとでも言うように。
別れ際、あなたは大きく手を振る。
その背中が見えなくなってから、ようやく足を動かした。
閉まる扉の音がやけに響く玄関。
リュックの中には、渡すのを迷って、ずっと手の中に収めていたチョコレート。
箱を開けて漂う嫌に甘い香り。
朝にはあった、整然と美しく施された装飾は、見る影もない。
僕よりも、あの中の誰かの方がよかったのではないか。
僕以外のものを、受け取らないでほしい。
僕以外の可能性を、考えないでほしい。
そんな醜い嫉妬を抱えたまま、渡せるはずがない。
手の中で溶けたチョコレートのように、渡せない想いがあるのだと。
いつか貴方に分かって欲しいな、なんて歪んだ願いを摘んで飲み込む。
指に残るチョコレートは、どうしても消えない執着そのもの。
…やっぱり、こんな僕をあなたは知らなくていい。
コメント
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とりあえず1話目から癖に刺さりすぎてやばいです… 琥珀様は本当に語彙力がありますね…フィン日のフィンランドさん、どんな姿をしているかが鮮明に頭の中に浮かびましたよ… 個人的に好きなのはイタリアとドイツのクソデカ感情の具現化ですね。Xに投稿できる文字数の中であの複雑な感情が分かりやすく表現できているところ、尊敬します…! これからも応援しています。今回も神作をありがとうございました!