テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
ここ
224
#ご本人様とは一切関係ありません
🎼🍵大好き※1ヶ月猫化中
164
#ご本人様とは一切関係ありません
ぬま子
6,856
翌朝、誰のか分からない目覚ましで佐野は目を覚ました。ガバッと起きて吉田の様子を確認する。穏やかな寝顔で眠っているその姿に心の底から安心した。ほっとして頭を撫でてやると吉田がゆっくりと目を覚ます。
「あ、ごめん、起こした?」
「……ん、大丈夫、おはよ勇斗。」
寝起きで開ききっていない目とまだはっきりしない意識の中佐野に挨拶する吉田。佐野は触れたおでこから伝わってくる体温がだいぶ落ち着いていることに気付く。体温計を渡すと吉田は自分で測り始めた。
しばらくの沈黙の後、合図がなり、液晶をふたりで確認する。体温は37.6℃とまだ平熱とまでは行かないがだいぶ下がっていた。
「だいぶ良くなったみたいだな。」
「うん、結構楽になった。」
「まじで良かった。」
「……心配かけてごめん。」
「いいって。仁人が風邪ひいても元気でも、そばに居てくれたらそれでいいから。」
「……ありがと。てかそういうことサラッと言うのやめて。」
「本心ですぅ〜。」
少し上目遣いで耳だけを赤く染めて拗ねたように言う吉田。それに佐野は満点の笑顔で返す。
また誰かの目覚ましがなり始めて次は山中と塩﨑が起きた。2人とも体をすぐに起こすと吉田の状態を確認する。だいぶ良くなったのを見て2人も佐野と同じように安心した。
「あとちょっとだね。」
「はよ元気なってな吉田さん!」
「うん、ありがと。」
「俺朝飯作ってこようと思うけど仁人任せていいか?」
「あ、俺も行くよ、はやちゃんひとりじゃ心配だし。」
「なっ、心配だと!柔太朗…昨日からお前……!!」
「はいはーい行くよー。じゃあだいちゃんじんちゃんのことお願いね。」
山中は佐野の背中をグイグイと押しながら部屋から出ていった。
「どっか痛いとことかあらへん?」
「んー、今は大丈夫。太智も昨日はありがとう。色々やってくれて。」
「え?俺はなんもしてへんよ!」
「そばにいてくれたじゃん。」
「そんなん、仁人にお願いされんでも俺がおりたいからどーせそばにおったで?」
「……。太智もそういうことサラッと言うの……。」
「……ん?」
「なんでもない……。」
拗ねた様子の吉田に塩﨑ははてなマークを浮かべつつ、布団を片付け始めた。その間、曽野は大の字でその長い手足を布団からはみ出させながら爆睡していた。
「しゅんたーーー。朝やでーー。おはよーー」
「んんんーーー、、おはよ。」
「ほら、返事だけして寝ーへんよー。立ってよー。」
「あとごふん……。」
「今日もあかんな、一発で起きたことないもんな舜太。」
塩﨑は呆れたように笑い、残りの布団の片付けを済ませる。
本物の家族のような、そんな様子の2人に吉田の胸は熱くなる。
ふと昨日の自分の行動を思い出した。
手を繋いで欲しいとお願いする。そばにいてと言う。どこかに行こうとしたら止める。寂しがる。
改めて自分の行動を思い返すと、恥ずかしさで顔が燃えるように熱くなるのを感じた。
俺、調子乗ってすごいことしてたんじゃ……。
昨日のことは全て覚えていた。熱のせいと自分の中で勝手に理由をつけて4人に甘えた。何を言っても受け止めてくれる4人に、つい、甘えてしまった。
「だ、太智……。昨日のことなんだけど……。」
「ん?昨日?」
「う、うん、俺すごいことしてなかった……?」
「すごいこと?うーん?なんのこと?」
「いや、だからその、甘えるじゃないけど……。手繋いでとか……ほら、色々……。」
恥ずかしさで頭が真っ白になる。穴があったら入りたい。
太智の顔見れない……。
布団をぎゅっと掴んだ自分の拳を見つめる。そのまま固まっているとふわりと塩﨑の匂いが吉田を包む。それに気付き、顔をあげるとにこにこの塩﨑が吉田の顔を覗き込んでいた。
「ふふ、仁人どうせ迷惑だったかなとか考えてるんやろ。」
「……っ。だって、俺あんなこといつも言わないし、わがままばっかり言ってた気がして……。」
「もー、すぐそうやってネガティブになるー。」
「だ、だって……。」
「安心しぃや。俺ら全員嬉しかったから。普段わがまま聞けない分、昨日いっぱい甘えてくれてほんまに嬉しかったんやで?」
「……ほんと?」
「ほんま!!仁人はもっと俺らに甘えてええんよ。」
吉田の心がスっと晴れていく。頭を優しく撫でてくれる塩﨑の手の温かさを感じた。
リーダーだから、年上だから、責任を持たないと、弱いところも苦しいところも見せないように。
何より。嫌われないように。
そうずっと思ってきた。なのに今、1番甘えたいと、頼りにしたいと思ってるメンバーからそんなことを言われて、その言葉に本当に甘えたくなってしまっていた。
「これからは体調悪かったらちゃんと言うんよ?わかった?」
「わ、わかった。」
吉田の葛藤も知らず、塩﨑は「めっ!」とでも言いそうな程の優しいお説教をすると曽野を起こしに行った。
曽野は塩﨑に起こされてもなかなか起きなかった。体をゆすられてもほっぺをぺちぺちされても、大きい声を出されても。
やっと起きたと思ったら立ちながら寝そう。立ったままフラフラする曽野を塩﨑は笑いながらスマホでカメラを回し、動画を撮ってはしゃいでいた。
コメント
3件

吉田仁人が溺愛されてて癒される…最高です…
のりもちさん、第22話読みました!朝のシーン、仁人が熱でうなされてた夜から一転して、穏やかな空気が流れててほっとしました。勇斗の「そばにいてくれたらそれでいいから」って台詞、さらっと言うけどすごく重みがあって、胸にきました。あと、仁人が昨日の自分の行動を思い出して恥ずかしがる場面、すごく共感しました。ふだんリーダーとしてしっかりしてるからこそ、甘えた後の照れがリアルで…。最後に「もっと甘えていい」と言ってもらえる流れ、じんわり沁みます。曽野がなかなか起きないところも含めて、全員の関係性が愛おしい回でした!