「花月、無理はするなよ。」
「だ、大丈夫……皆が協力してくれているんだもん。頑張って走る。」
「劉磨クン、6秒24。」
「しばらく走らねえと落ちるな。」
「花月、大丈夫か……?」
「だ、大丈夫じゃ……ない……。」
予想していた以上に体への負担は大きく、立っているのがやっとなほど足が震えている。
「花月さんの記録は12秒26ですね。このような記録は初めて見ます。」
「本当に運動苦手なんだな……。」
「や、休ませてください……。」
「これは相当頑張らないと、全員リレー勝てないね。まずは筋肉トレーニングからやろう。」
「まずは腹筋、背筋、スクワットかな。」
「……?」
「そこからか……。まず横になって足を三角に立てる。両手を胸に当てて、お腹の力を使って起き上がる。」
奏の言われた通りにやるが…起き上がれない。劉磨さんや聖さんは足を上げているのに早いスピードで上半身を上げている。
「アタシが足を抑えていてあげるわ。その方が起き上がりやすいわよ。」
「ありがとう…泰揮クン。」
泰揮クンが私の足に乗ってくれたおかげで、少し上半身が浮くようになった。もう少しで起き上がれる。
「……できた。」
「そうそう、上手よ。あと9回頑張りましょう。」
初めてのことで体への負担は大きいけど、回数を増すごとにコツがつかめてきた。
「はい、終わりね。よくできました。」
「お水をどうぞ。レモン水なので口の中もさっぱりするかと。」
「ありがとうございます、悠夜さん。」
「体を動かすことは悪いことではありませんが、慣れないことをすると体を痛めます。できることを少しずつやっていきましょう。」
「はい、頑張ります。」
「お前も苦手なことあったんだな。なんか安心した。」
「護身術とか、剣術とかは習っていたけど、走るのは昔から苦手なの……。型はできているのに体力が無いってよく怒られた。」
「今日は俺らが花月に教える日だ。無理はせずに頑張るぞ。」
そうか……今日は教えてもらえる日なんだ。なんか嬉しいな…。
「今日はアタシたちが花月チャンの先生よ。たくさん甘えてちょうだいね。」
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