余命半年だと告げられたその夜。
余命半年なんて、信じられなれなくて、
暗い病室でただ一人泣いていた。
悲しかったのだろうか。 それすらもわからなかった。
でも涙は溢れ出て止まらなかった。
僕は決意した。最期まで、嘘をつき続けると。
今までだってずっと嘘をついて来たじゃないか。皆に、自分に。
ずっと前、僕は僕を見捨てた。要らない記憶を心を全て投げ出した。
なのに、消えてはくれないようだ。
枷が外れたように、心の奥に閉じ込めていた記憶が溢れ出す。
その日は、雨が降っていた。
「ゆき…ごめん。俺の、せいで…ごめんな…っ」
鈍い音がして、ハルが地面に倒れ込んだ。僕は訳が分からず、側へと駆け寄る。暗くて周りがよく見えない。触れた体は濡れていて、 稲光に照れさると、鮮明な赤が広がっていた。
まだ暖かい血液。だんだんと冷たくなっていく体。
はじめて、人が死ぬ瞬間を見た。
「っ…」
僕は、何もできなかった。
ハルは、僕のせいで死んだのだ。
僕は、あの頃の僕をあの光景に置き去りにした。考えるのを、思い出すのを辞めた。
何度も何度も何度も僕の頭を後悔と痛みで埋めつくていく。僕のせいでハルは死んだ。僕は人の命を奪った。
だから、僕は死んで当然なんだ。
神様はこんな僕の存在に気づいたのだろう。これは天罰で、執行猶予なんだ。
もう、誰かを傷つけるのは嫌だ。 静かに死ねれば、それ以上は何も望まない。
静かな病室で、1人決意した。
コメント
4件
どうゆうこと?ってなっても大丈夫。 雰囲気がとても良い
付箋かな……