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予告シーン:『消えゆく君のために、僕は笑っていよう』
ナレーション(廉)
「これは、僕と君の、過去の物語。
まだ僕の心には鮮やかに残っている。
僕は知っていた…君には、もう長く時間が残されていないことを。」
ナレーション「この日、君は僕のほっぺにそっとキスをした。
笑って見せるその仕草が、僕には痛いほど愛おしかった。」
〇〇「ちょっと…びっくりした?」
廉「うん…でも、なんでそんなことするの?」
ナレーション「答えはわかっていた。君は、僕の心を少しずつ溶かしていく。」
ナレーション「雨が降るキャンパスで、僕たちは傘を重ねた。
唇が触れそうで、でもまだ届かない距離。」
廉「…その唇、僕にくれるの?」
〇〇「…くれるけど、どうするの?」
ナレーション「その小さな問いかけに、僕は胸を締め付けられた。」
ナレーション「雨に反射する夕陽のオレンジ色。
君は少し身を引き、僕はそれでも届かせたくて唇を伸ばす。」
〇〇「…ちょっと待ってて」
廉「待つよ、ずっと」
ナレーション「大勢の中、君と僕だけが存在する瞬間があった。
君の横顔を見るだけで、僕の心は揺れてしまう。」
〇〇「ねえ、もう少しだけ教えて?」
廉(心の声)「隣にいるだけで、胸が苦しい…」
ナレーション「誰にも見せられない時間。
抱きしめるたびに、君が愛おしくてたまらなかった。」
〇〇「恥ずかしいね…」
廉「でも、こうして抱きしめていたい」
ナレーション「僕が弱さを見せると、君はいつも優しかった。
でも、僕にはどうしても笑えない日もあった。」
〇〇「泣かないで…私がいるよ」
廉「どうしても、笑えないんだ」
ナレーション「手を伸ばすだけで、心が震える。
触れそうで、まだ触れられない唇。」
廉「君を、こうしたい」
〇〇「え…」
ナレーション「誰にも見せられないその瞬間、
僕は君を守りたいと、心から思った。」
〇〇「…誰にも見せたくないから」
廉「君が笑うなら、僕は何でもできる」
ナレーション「雨が止んだ道路で、君は微笑んだ。
でも僕の胸は、悲しさでいっぱいだった。」
廉「どうして…そんなに優しいの」
〇〇は微笑むだけ。
ナレーション「夜の街の光はぼやけて、二人の距離を切なく染めた。」
廉「消えてしまう前に、もう一度だけ抱きしめたい」
〇〇「…ずっと、忘れないで」
ナレーション「時間は限られている。
だから、僕は君を、全力で愛した。」
廉「もう…我慢できない」
〇〇「…私も…」
ナレーション「そして、君は静かに旅立った。
心電図の波が消え、病室に鳴り響く。」
廉「だ…だめだ…だめだよ、〇〇…!」
ナレーション「君の手を握りながら、僕は泣いた。
消えないで…まだ、君と一緒にいたかったのに…」
画面フェードアウト。
『消えゆく君のために、僕は笑っていよう』
ーーーーーーーーーーーー
北斗side
スマホの画面を開いた瞬間、胸がぎゅっと痛んだ。
あの笑顔を、〇〇はもう誰の前でも降り注いでいる。そして、その相手は…廉。
雨の中の相合傘。雨粒が光を反射して揺れる。〇〇は目を閉じ、唇が触れそうで触れない瞬間に小さく笑った。その表情を見た瞬間、胸の奥が締め付けられる。好きな人が他の誰かと、こんな距離で…。
ソファでキス寸前、ベッドでの一瞬。目を閉じる〇〇、触れそうで触れない唇。観ているだけで胸が締め付けられる。こんなにも、〇〇の全ての瞬間が人を惹きつける。悲しい、でも尊敬しかない。
「〇〇…幸せになれ」
心の中で何度も呟いた。俺は、ただの傍観者。画面の向こう側から見守るしかできない。
…当然だ。〇〇は日本を代表してもいいくらいの演技力を持つ、売れっ子の国民的女優だ。
そして、廉のこともわかる。役として画面に立つときには、確実に心を込めて演技をする。演技の巧みさ、表情の細やかさ、間の取り方。関西ジュニアの頃からの彼の積み重ねが、今の廉を作っている。観る人を、引き込まずにはいられない力がある。だからこそ、期待もされるし、評価も厳しい。
「…あいつも、すげぇな」
努力と才能の塊。誰よりも真っ直ぐに舞台に向き合ってきた人間。胸が痛くても、認めざるを得ない。
でもやっぱり心は苦しい。〇〇と廉の距離、触れそうで触れられない唇、舞台袖での密やかな抱擁…。俺が知る〇〇は、俺の前でもあの笑顔を誰にでも振りまくだろう。悲しい。でも、だからこそ、余計に胸が締め付けられる。
スマホの再生回数は1日で500万再生。予告だけで、人々を引き込む力がある。切なく儚いラブストーリー。韓国でもウケそうだし、絶対に大ヒットするだろう。〇〇が全力で輝いている限り、止められるものはない。
そして、自分のことも思う。映画のオファーが決まった。『秒速がセンチメートル』。
〇〇が全力で頑張っているなら、俺も負けていられない。胸が痛くても、切なくても、悔しくても、僕は歩き続けなきゃ。
スマホを置き、深呼吸する。
画面の中の二人は、まだ物語の中で生きている。
でも俺の胸には、現実の痛みと尊敬と、少しだけの希望が残った。
「俺も…頑張ろう」
〇〇の笑顔、廉の優しさ、全ては確かに存在している。
切なくても悲しくても、それでも、自分の道を信じて進むしかない。
傍観者でも、思いを胸に歩き続けるしかないんだ。