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僕の指摘は図星だったようだ。彩寧さんは一分ほど沈黙したが、その後はもう彼女への嫌悪感を隠さなかった。彩寧さんはスマホをポチポチしながらこんなことを言い出した。
「バレてた? 私は二回もその子に負けたことになるの? もう絶対に逆転はないの? 夏梅君、今私が持ってるその子の行為動画を全部君に送った。優しい君はきっとそれを見ないと言うでしょう。でも持っていればいつかそれを見てしまうはず。それを見たあとも君の気持ちは変わらないでいられるかな? さっきまで君を苦しめる気はなかったけど、私を選ばないならもっともっと苦しめばいい。霊山寺さんも君も二人ともね」
スマホを見ると、確かに三つの動画データが彩寧さんから送られてきていた。
「彩寧さん、これ以上あなたを嫌いにさせないでください」
「これ以上あなたを嫌いにさせないで、ということは君はすでに私を嫌ってるということね? 分かった。お邪魔虫は消えるよ。どうせセックスはさせてもらえないんだろうけど、せいぜい二人で愛を語り合えばいいよ。じゃあね!」
彩寧さんは思い出したように最後に爆弾を落としていった。
「そうそう。この公園は陸の家からも近いから、陸はちょくちょくその子を夜中に呼びつけていたみたいね。すぐそこの多目的トイレで陸たちがその子とセックスしてる動画もあったよ」
以前僕が彼女をこの公園に連れて来たとき、彼女は公園に入るのを少しためらった。なぜだろうと思ったけど、そういうわけだったのか。そのあと公園で陸と雅人の二人と出くわしたけど、二人とも僕を見てずっとニヤニヤ笑っているだけだった。それもきっと公園の多目的トイレでした彼女とのセックスを思い出して、知らずにその多目的トイレで用を済ませた僕の間抜けさをあざ笑っていたのだろう。
彩寧さんが最後に落としていった爆弾はそれなりに僕に打撃を与え、そのせいで僕は去っていく彩寧さんに何一つ声をかけられなかった。たった半日とはいえ僕の彼女になってくれたことに感謝の気持ちを伝えたかったのだけど――