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【ミセイネン】
その日は配信もなくてするべき事は全て終わっていた。後は寝るだけ…だったのだが。
「…………………。」
やはり何年経っても思春期というものが抜けていないのか、こんな夜に寂しさを感じることがある。
「…大人になったら、それも無くなるのかな。」
「まあ僕には一生無理だけど。」
そう言って、自傷気味に笑う。
なんで僕は未成年なんだろう。
お酒を飲むのも、タバコを吸うのも、大人の世界の娯楽に手を出すことは禁止。
せめて成人した20歳のタイミングで時が止まっていれば変わっていたのかな、なんて。
【再会】
『暑い』
その言葉を聞いて『そういえば』と夏の存在を思い出すくらい、僕は世界から置いてかれていた。
何時からこんなことになったんだろう。
車の音がしたら自室にあがりイヤホンをつける。その一連の動作はお手の物だ。
机の上を見ると物が散らかっていた。そういえば昨日は暴れていたなと他人事のように思い出す。
それからは課題をし続ける。ふといつも聴いている曲に飽きて、別のSNSにいき良さげな曲を探す。僕のルーティンはこんなもんだ。
しかしさっきエアコンをつけたはずなのに、なかなか効いている気がしない。
「……あ、」
そういえば昨日の夜、窓を開けっ放しだったことを思い出す。動くのがめんどくさいと思いながらも窓に手をかけた。その時。
白く、綺麗な形をした羽がファサファサと音を立てて羽ばたいていた。
(天使…?)
羽ごときに、思わず見とれてしまうほど僕は釘付けになった。まるでスローモーションで見ているみたいに僕の目には写って、天国に来たような、そんな気分になる。
すると羽は方向転換して僕の方へ向かった。
「うぇっ!?」
思わず窓を閉める。
すると羽は白く光り輝き、包み込まれた羽の中から人間が出てきた。
「…ど、どういうこと…?」
いつも冷静沈着な僕だが、これには流石に対応しきれなかった。
人はどんどんこちらに近づいてくる。
(開けろってこと!?)
どうにでもなれ、とガラッと窓を開ける。
すると人は一言。
『もちさぁん?!?!!!』
「ふぇ…?」
【幼なじみ】
とある学校の屋上、二人の高校生の姿があった。
🌻「ひまー!」
⚔️「うるさっ」
僕の友人、本間ひまわりは空に向けて叫んだ。先程も弁当の箸が〜なんて言ってひたすら教室をハシゴして走り回っていたというのに。ほんと忙しないやつだ。
🌻「学校終わったらどっか行こーよぉー。」
嘘だろ、まだ体力あんのかよ。
⚔️「うわ、ひっつくな」
🌻「暴言だあ!ゲマズのみんなにチクるよぉ?」
⚔️「めんどくさいことになるからやめろ!」
後ろからワーギャー騒ぐ女を無視して有線イヤホンをつける。するとひまわりは僕の隣に座り、スマホを覗き込んだ。
⚔️「聴く?」
🌻「おお!気が利くやんかあ」
そう言ってイヤホンの片っぽを渡すとひまわりは嬉しそうに笑った。だけどそれはどこかイタズラ心もあるように思える。
🌻「へぇ〜、刀也ってこういう曲聞くんや!てっきり陰キャじみた曲ばっか聞いとるんやと思ってたわー」
⚔️「失礼すぎない?」
🌻「ま、ええわ!そんで、放課後どこ行く〜?」
⚔️「僕に拒否権はないのね、ハイハイ。
そうだな、ひまちゃんは行きたいとこないの?」
🌻「えー?ひまはーー、ラウンドワン!ラウンドワン行きたい!」
⚔️「あ〜、最近できたとこだよね。いいよ、僕も気になってたし。行こう」
🌻「え!刀也知っとったんや!!さっすが〜!」
⚔️「んふふ、僕を甘く見ちゃダメですよ」
🌻「まずはボウリング行って〜、そんでご飯食べて〜、それからプリクラ撮ろ!」
⚔️「プリクラは撮りませんよ」
🌻「なんでえー?!…あ、そっかあ。刀也は無加工の自分がいちばん可愛いと思ってるからや!」
⚔️「はあ?!?!そんなこと言ってませんけどお?!」
そもそもJKだらけ陽キャだらけのあんな場所いけるか!知り合いがいる可能性だってあるのに。そう言えばひまわりは笑う。…これは結局撮ることになりそうだ、
ため息をつきながら教室まで送り届ける。僕も早く次の授業の準備をしないと。
【もう一人の僕】
何度も死のうと思った。縄を首に掛けて1時間経ったことだってあった。だけど、どうやっても自分じゃ死ねなかった。
どうすればいい?どんな時も、いつだって世界は僕を拒絶する。
『もう、諦めよう。』
確かにそう聞こえた。
諦めない。僕はみんなと活動を続ける。一生バカやって、がむしゃらに歩み続ける。
『それからどうするの?』
それは、
『いつまで僕はこれを続けるの?終わりなんてあるの?』
『僕に仲間はいないのに、あの人にはたくさん仲間がいる。ずるい。』
『いっそあの時死ねばよかった。』
違う、違う!!!そんなこと思ってない!
『まだそんなこと言うの?これはお前の本心なのに。』
…ああ、また夢だ。
最近、夢見心地が悪い。
もう1人の僕が訴えてくるんだ。遠回しに死ねって、何度も。
この夢を見る度、理性が壊れてしまいそうで怖かった。起きた時にはいつも、汗で布団がびしょびしょだ。
「はぁっ…、ふぅ…っ。」
深呼吸をして心を落ち着かせる。
…収録、行かないと。
【予定表】
できれば誰にも見つからず、迷惑がかからないよう死にたい。それが、僕の唯一の願望だった。
僕はただ泣いていた。声も出さず、ただ静かに、
時にはしゃくりあげながら佇んでいた。
泣いても、泣いても。もう枯れたはずだと思っていた涙は止まらない。
すると、遠くで聞き馴染みのある声が聞こえた。
「剣持さん」
「……委員長、」
委員長に見られないように片手で涙を拭き、笑顔を作る。
「泣いてました?」
「なっ、…」
せめてもうちょっとオブラートに包めよ。と思いつつも、委員長らしいなと思う。
「よかったらなんか奢りますよ。」
「……いえ、お構いなく。」
委員長には悪いけど、これから予定があるから。と言って立ち去った。
そう、自殺という予定が。
コメント
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読了しました。第一話からすごく引き込まれましたね。日常シーンの軽快なノリと、主人公の内面で渦巻く「もう一人の僕」の重い影とのギャップが印象的です。特に、天使が現れて「もちさぁん?!?!?」って叫ぶシーン、あのギャップが良かった。あの展開、何が起きてるのか全然わかんないけど、ものすごく気になります。謎を残す終わり方も読者の興味をそそりますね。続きが楽しみです。