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【メチャクチャ人せい】
Episode.6 無意識
《🎼🍵side》
朝帰り。
空が白み始めてる。
コンビニの光から外に出ると、
やけに静かで。
少しだけ、耳鳴りがする。
アパートの階段を登る。
一段。
二段。
───怒号。
足が止まる。
聞き間違い、じゃない。
また、怒鳴ってる。
何となく、嫌な予感がする。
階段を一個飛ばしで登る。
心臓が、少し早い。
ポケットから鍵を出す。
手が震えてるのは、寝不足のせい。
そういうことにする。
扉の前。
中から、はっきり聞こえる。
「うるせぇんだよ!!」
父さんの声。
その奥に、激しい泣き声。
ドアを開ける。
同時に、怒号が響く。
靴を乱暴に脱ぎ捨てる。
リビングへ。
父さんの背中。
その向こう。
小さな体が、毛布の中で暴れている。
泣き声が、耳を刺す。
父さんの腕が、振り上がる。
シルエット。
殴りかかろうとする、その瞬間。
考えてない。
体が勝手に動いた。
俺は、赤ちゃんに覆い被さる。
次の瞬間。
衝撃。
鈍い音。
背中。
肩。
腕。
何発か、分からない。
痛い。
でも、慣れてる。
激しい。
「邪魔すんじゃねぇ!」
胸ぐらを掴まれる。
息が詰まる。
「いつ迎えに来るんだ!」
知るわけない。
俺、知らない。
🎼🍵「……分からない」
声が掠れる。
拳が落ちる。
頬。
腹。
肋骨。
息が抜ける。
床に膝がつく。
でも、覆い被さったまま。
赤ちゃんの泣き声が、耳元で震える。
止まらない。
父さんの怒りが、収まらない。
殴る手が、止まらない。
打撃が、止まらない。
体への衝撃が、止まらない。
俺の意識が、少し遠くなる。
でも。
赤ちゃんの泣き声は、はっきり聞こえる。
それだけは、消えない。
急に、止まる。
殴る手が。
俺は、床に転がる。
視界が揺れる。
父さんは、荒い呼吸のまま立ち上がる。
次の瞬間。
俺のバックに手を伸ばす。
嫌な予感。
財布。
乱暴に取り出される。
中身を、全部。
🎼🍵「まってっ……それ、生活費だから……」
声が出る。
必死に。
でも、父さんは気にしない。
札を掴む。
ポケットに突っ込む。
また、バックを漁る。
嫌な音。
封筒。
居酒屋の給料。
今月分。
それも、全部。
🎼🍵「なんで……今月分はもう渡したはずなのに……」
言葉が、勝手に出る。
俺は、父さんにしがみつく。
止めないと。
来月の家賃。
光熱費。
ミルク。
全部。
乱暴に、振り落とされる。
体が宙を切る。
床に、ぶつかる。
後頭部が、鈍く響く。
赤ちゃんの泣き声が、また強くなる。
「泣き止ませとけ」
吐き捨てるように言う。
ドアが開く。
閉まる。
足音が、遠ざかる。
静か。
急に、静か。
いや。
赤ちゃんの泣き声だけが、響いてる。
俺は、しばらく動けなかった。
天井が、ぼやける。
息が、うまく吸えない。
体が、重い。
財布は、空。
封筒も、ない。
頭の中が、真っ白。
ゆっくりと、横を見る。
毛布の中。
小さな体が、震えてる。
泣いてる。
俺は、這うみたいに近づく。
手を伸ばす。
抱き上げる。
震えてる。
俺も、震えてる。
🎼🍵「……大丈夫」
声が、出た。
誰に言ってるのか、分からない。
赤ちゃんは、泣き続ける。
俺の胸に、顔を押し付けるみたいに。
俺の鼓動が、速い。
うるさい。
しばらくして。
少しだけ、泣き声が弱まる。
でも、完全には止まらない。
俺は、唖然としていた。
何が起きたのか。
いや、起きたことは分かってる。
金が、ない。
生活費が、ない。
ミルクも、もう少しでなくなる。
来月。
どうする。
頭が、うまく回らない。
ただ。
赤ちゃんの体温だけが、はっきりしてる。
さっき、守った。
無意識。
なんで。
分からない。
父さんに従うのが、普通。
逆らわないのが、普通。
でも。
あの瞬間だけ。
体が、勝手に動いた。
赤ちゃんの泣き声が、やっと少し落ち着く。
小さな手が、俺の服を掴む。
強くはない。
でも、離れない。
俺は、天井を見る。
唖然としたまま。
“普通”が、音を立てて崩れていく。
それでも。
まだ。
俺は、どうすればいいのか分からない。
next.♡600
コメント
9件
お父さんまじまじなにしてんのッッ😠😠 すちくん、一人で抱えないでぇぇ😭😭 続き気になる💭👀✨
お父さんがこうだったら、🍵くんも感情を無くすわけだ…… 🍵くんにとっての日常って、お父さんに暴力を振られて それを薄ら笑い貼りつけて周りにバレないようにすることなんだよね… だからこそ、今の🍵くんにとって、☔️くんが、泣いてばかりのちょっと騒がしい存在だけれど、 ちょっと勇気や本当の自分を見つけ出してくれる存在になってたらいいな… 続き、楽しみにしてるねん🫶🏻💕︎︎🙂🎐
クソおじ、、さっさと逮捕されろ