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「雅輝が普段はすっげぇ真面目なんだという説明を、後ろにいるふたりに丁寧に説明していたところだ」
「そんなことをわざわざこの場で言わなくても、わかっていると思うのに」
見ていたパンフを膝に置き、ちょっとだけむくれた宮本に、橋本はプッと吹き出した。
「真面目なヤツが、峠であんな運転するのかよ」
橋本のセリフを聞いた和臣も、つられるように口元を押さえてクスクス笑う。
「うわ~、俺ってばこれじゃあ、真面目じゃないみたいじゃないですか」
「宮本さん、ギャップ萌えですよ」
しらけた笑いを皮膚の上に浮かべた榊が、胸の前に腕を組みながら宮本に助け舟を出した。どこか弾んだ声の調子を耳にしたからこそ、橋本はルームミラーで後部座席をチェックする。その視線に気がついたのか、ルームミラーに映る榊の瞳が意味深に細められた。
「橋本さんはそうなんでしょ? そういうギャップのある宮本さんのことを好きになったくせに、そうやって誤魔化すんだから!」
「ごっ、ごまかしてなんていないさ。雅輝の隣は居心地がいいから、一緒にいるだけだし……」
しどろもどろに答える橋本の様子を助手席で見ていた宮本は、満足げに微笑みつつ口を開く。
「俺は陽さんにギャップ萌えしてますよ。だって――」
「雅輝ストップだ。おまえが余計なことしか言わない気が激しくする」
「俺は宮本さんのギャップ萌えが、ぜひとも聞きたいで~す!」
「恭ちゃんやめなよ、みっともない。こういうのは、ふたりだけの秘密にしておきたいことなんだからね!」
和臣が窘めたことで榊がうっと黙り、橋本の鋭いひと睨みで宮本が黙り込んだため、車内に静寂がおとずれた。
奇妙な沈黙をそのままにインプは4人をゴーカート場まで、安全運転で運んだのだった。