この世には、2つの性が存在するらしい。
一つはアイス、もう一つはジュースと言った性だ。
昔、孤児院で読んだ本に書いてあった。
ジュースとアイスは結ばれると、アイスは溶けてしまうのだ、と。
まるで童話の様な物語で、そんな事があるのだと僕はびっくりした。
そんな理不尽な恋があるのだと。
今日は性の検査がある。
(…僕はどっちなんだろう…。)
僕は検査が終わった後、ドキドキしながら診断結果が帰ってくるのを待った。
いよいよ診断結果が帰ってくる日だ。
僕は診断結果の紙を封筒から出し、その結果を見た。
「…!」
(…アイスだ。)
(…じゃあ僕は……。)
どうやらその孤児院で読んだ本の内容は現実だったらしい。
それを知ったのは、孤児院から出てとある人に孤児として拾われ、教えられたのだ。
(……僕は、…消える運命なのか…?)
(…好きな人と、結ばれたとしても…。)
僕にはラッキーな事に好きな人は居なかった…が、気になる奴は居た。
芥川龍之介という男だ。
この高校に入学して、たまたま同じクラスになった。
…そして、深く関係を持って行くうちに気になる存在になったのだ。
(…もし僕が芥川を好きになって、芥川も僕の事を好きになったら僕は……。)
(…そんなの嫌だ…!僕はまだ消えたくない…!)
(…そうだ。…僕が好きにならなければ良いのか…?)
「…邪魔だ。」
「…え?」
「…何を突っ立って居るのだ人虎。」
「…芥川!」
「…け、検査の結果…、どうだったんだ?」
「…ジュースだ。」
「…!」
(…じゃあ、結ばれないのか…。)
(…?…何で芥川の事を好きでもないのに、こんな事を考えてるんだ…?)
(…もしかして僕は、自分で思っているよりも芥川の事を好きなのかもしれない…。)
「…何を百面相している。」
「…それより人虎、貴様はどうだったのだ?」
「…ぁ、えっと…。アイスだったよ…。」
「…そうか。呉々も消えぬように気を付ける事だな。」
「…うん。」