聞いてしまった…2人の会話。1階に降りる螺旋階段で。
2人の会話からして何かを隠していることは明らか。やっぱり柚さんのことが気になる。
悠夜さんのあとを静かについていくことにした。
「庭…?こんなところあったの……」
どれくらい歩いたんだろう。悠夜さんのあとをついてきたはずが、よく分からない場所へ出てしまった。
花壇の花が綺麗に整えられている。
「さきほどから私のあとをつけていたみたいですが、何か御用ですか?花月さん。」
「は、悠夜さん…教えてください…柚さんのこと…私が来る前のこと…。」
「まったく…貴女には危機感というものが無いのですか?男性と2人きりになったらどうなるか…。」
悠夜さんの指が私の顎をなぞる。指の動きに背筋が凍っていく。
「か、からかわないでください…私は知りたいだけです。」
「いいのですか?今の何も知らない状態がどれだけ幸せか…貴女は考えたことが無いのですか?闇を知ることがどれだけ辛く悲しいものなのか…。」
「…それでも…知りたいんです。」
「そうですか…では…。」
そこまで言うと、悠夜さんが私の体を引き寄せ首筋を舐める。
「や…。」
「ごちそうの後に教えて差し上げましょう。」
悠夜さんの牙が首筋に当たった瞬間、後ろに体がのけ反った。
「悠夜、やめろ。」
「りゅ、劉磨さん…。」
「余計なことを……。」
「とにかく、こい、花月。」
劉磨さんが私の腕を引き歩いていく。悠夜さんはその様子を見ながら不気味な笑みを浮かべていた。
「い、痛いです…劉磨さん。引っ張らないでください。」
「あ、悪い…。」
「助けてくれてありがとうございました。でも、なぜあそこに…?」
「別に…たまたま庭の方見たら悠夜とお前がいるのが見えたから。それに奏たちが探してる。」
「え…?」
「もうすぐ…昼飯の時間…。」
劉磨さんの言葉と同時にお腹が鳴る。
そんなに時間がたっていたのか…。
「昼飯食べて少ししたらもう学校だから、準備してこい。」
「は、はい。準備してきます。」
走って部屋に戻り、悠夜さんから渡された制服を急いで着る。
そのあと、昼食の時間に遅れたのは言うまでもない……。
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