コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
私はまた夢の世界? 虚構の世界? へと来てしまったようだ。私は座った格好になっている。思い切って、目を力強く開ける。そこは白一色の空間だった。
正面に窓がいくつもあり、接触した雲が霧散し、こちらへと入ってきている。どうやら、この空間は空中に浮いているようだ。
間隔をかなり空けた7人分の白い椅子のある長い白いテーブル。テーブルの上には豪勢な料理が所狭しと並んでいる。
片方には、小さいテーブルが幾つかあり、それぞれ椅子が二つずつ。もう片方には、天蓋付きのベットが人数分。
「ご主人様。ここは天国です」
少し距離がある向こうから、安浦の驚きと喜びの声が届いた。
「ここ。何も危険がないみたいよ」
呉林が距離の空いた隣から話してきた。ぐるりと見回すと、呉林の隣が角田、そして渡部、そしてディオ。その隣が安浦。……私の隣が霧画。霧画もいた。霧画はあの時と違うラベンダーの色のブラウスと薄い青色のスカートという服装だった。
どうやら、みんな起きたようだ。
「姉さん。どこに行っていたの。心配したのよ。私は姉さんのために二週間勉強したけど……」
呉林がほっとした顔で、私の隣の霧画に言う。
「多分、現実の世界。私以外誰もいない世界だったのよ。真理、心配かけてごめん。確かにここは危険がないわね」
霧画は呉林の超能力的直観に頷いた。
「恐らく、奇麗なお姉さんは虚構の世界へと行ったのじゃろう。じゃから戻ってこれたならどっちでもいい」
ディオが口を挟み、早速料理に手を着ける。
「ご主人様。食べないんですか?」
安浦も料理をパクつく。
「毒は入ってないみたいよ」
霧画が呆れ顔をして言う。
「姉さん。ここって」
呉林は不安そうな顔をしている。
「ふむ。どこかから聴こえるクラシックは、バッハの協奏曲第2番ヘ長調の第1楽章のようじゃな。そして、ここは敵の胃袋じゃ」
ディオは精悍な顔つきで食べながら話している。
「敵の胃袋って?」
私が疑問に思うと、
「うまい!」
仕事中だったようで、上がワイシャツとネクタイの背広姿の角田。料理を食べる。
全治三週間だった渡部は、異変に気が付いて病院内で私服に着替えたようだ。黒のポロシャツと青のジーンズの渡部も怪我が治っていて、
「本当においしいですね。病院の飯はまずいから、どんどん食べられます」
警戒心のない4人は、どんどんと料理を平らげる。