「………知っていいの」
もっと。もっと。めんのこと。
「………………知ってよ。」
ねぇ、いいの。めんに、ふれて、もっと、知って。あなたの、細胞まで。
「、」
…、…………ふれる。
指先の一瞬。
わずかに手首に感じた体温と、添えられた手が羽のように触れたのはあなたの首筋で。
「、…めん、」
「おんりーちゃん。」
…”俺じゃだめかな。”
そのひとは、愛らしい唇をふわりと少しだけ動かして、囁くように言った。
その目が向く先は絶対に自分なのだと、解ってしまう自分がこわかった。緩やかな恐怖だった。
「………、…だめって言ったら、手ぇ離す、の?…」
「…………はなさない。」
じゃあ、もう、言わなくても分かるでしょ。
…めんに掴まれたまま意思を諦めた右手を、思いきってめんの頬まで、触ってみて。
「!」
ああ、このひとは、このひとなんだなって、わかる。体温と、感触と、表情とか。なんとなく、自分のこころの奥のほう。
いまだけは、めんの一部になれるような気がして、なんだか申し訳なくなる。
「…………もっとわかって。」
つう、つ、つ、指でなぞる。頬のライン。
「ん、。…、」
「………いいよ?」
そんな顔すんのやめて。キスしたくなる。
「…よくない……。」
「じゃあ俺がしちゃうけど。」
「それもよくない。」
「じゃあだめ?、」
「……だめじゃない…、けど、…」
うつむいた時、大きな影が、瞳から光を奪って、
あなたの、くちびるが、
「………………、」
。
「…………、…。…わかった?」
「…………まだ、たりない。」
だからもっと教えてよ。
コメント
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お久しぶりです。 相変わらず素敵な小説ですね、感動します✨