テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
佐野勇斗side
「いやーー、危なかったな」
あの後解散して、いつもの個室の居酒屋で4人で再集合した。頼んだ料理にはまだ誰も手をつけていない。まさか気付かれるとは。俺もみんなも隠してるつもりだったが人からの視線に敏感な仁人には気付かれてしまうのか。
「ほんとに危なかったよ。てか舜太動揺しすぎ!」
「それはじゅうちゃんもやん!雑誌逆さまにして読んでたやんか!」
「いやー、でもあれは焦るわ、まさかじんちゃん気付いちゃうなんてね」
太智が注文した烏龍茶のグラスを揺らしながらそう言う。
「え、お前らそんなに顔に出してんの?」
「「「そんなつもりは全くない」」」
「そうだよなー、、まさかバレるなんてな」
わかった人はわかっただろう。俺は、ていうか俺らはみんな仁人のことが好きなのだ。え?もちろん恋愛的な意味で。
俺が最初にこの気持ちに気付いたのは2年前。仁人が他の人と話してるのを目撃した時、胸にどうしようもないモヤモヤが生まれた。最初はこれがなんなのかさっぱり分からず、悩まされたものだ。だが仁人の笑顔や眠そうな顔、ツッコミが上手くいって自慢げにしてるところが心の底から愛おしい、かわいい、と思うようになってこれが恋だと気付いた。ただの大事なメンバーにとどまらないこの気持ちはチームのためにもしまっておかないといけないと覚悟した。
が、まさか他の3人も同じだとは。
それが発覚したのはだいたい1年前。
雑誌のインタビューで1人ずつ質問される形式だったため、待ち時間が長くみんなで楽屋で待っていた。
仁人がインタビューを受けるタイミングで舜太がカミングアウトした。
「俺、実はじんちゃんのことが好きやねん。」
俺は最初耳を疑った。え?舜太が仁人を好き?言い方的にそういう意味だよな。終わった。これは応援するべきか?俺は仁人を諦めなければいけないのか?
考えを巡らせているため、何も喋ることができなかったがすぐに柔太朗が言い出した。
「え?そうだったの?てか俺もなんだけど、、舜太ライバルだね」
は?え?柔太朗も仁人が好き?これはなんだ?夢か?俺はついにおかしくなってしまったのか?
「待って!!!俺も仁人のこと好きなんやけど!!2人には渡さんで!!」
「えー大ちゃんもなのー、まぁだいたいわかってたけど。で、はやちゃんは?」
柔太朗がそんなことを言う。え?なんでお前ら普通にしてんの?俺がおかしいのか?
頭がハテナでいっぱいだがここで言っておかないとダメだと思い何とか言葉を振り絞って話す。
「俺も、仁人が好き」
「やっぱはやちゃんもかーー!」
「てかお前らなんでそんなに普通でいられるんだよ!?」
「え?だって何となくわかってたし。」
舜太は楽屋に置いてあるお菓子をどれがいいかなーなんて言いながら選んでる。いやいやいや。落ち着きすぎだろ。
「……は?」
#ふるっぱー
夜月🍼💙
342
「舜太どういうこと?わかってたって何が?」
どういうことだ?ここで初めて言うし、今まで態度に出さないように頑張ってきた。だからバレてるわけない。
「だからー、みんなじんちゃんのこと好きなんやろなーって。だってみんなじんちゃんが他の人と話してる時の目、めっちゃ怖いもん。特にはやちゃん!」
まじか。心外だ。あんなに努力したのに出てたのか。
あの時の衝撃は忘れないだろう。その後まさか本人がそれに気付いてしまうという更なる衝撃を食らうとは。その後俺らはある協定を組んだ。
【仁人をみんなで”密かに”愛そうの会】
そう。密かに愛するのだ。人からの目線や評価を気にするあいつはきっと自分に好意を向けられてると知ったらいつも通りにはできない。今チームがいい波に乗ってる中リーダーを困らせるようなことは最も禁忌だ。だから俺らは思いを伝えないし、仁人にそれがバレてはいけない。そう思い1年過ごしてきたがついにバレてしまったかもしれない。
だが、もう無理だ。
もう無理なのだ。多分みんなも同じ気持ちだ。もう我慢できない。この2年、一生懸命この気持ちを抑えてきた。だが抑えれば抑えるほど恋心は大きくなるばかり。誰にでも愛想良くにこにこするあいつを自分のものにしたくて仕方ないのだ。その笑顔も、寝顔も、怒った顔も、拗ねた顔も、全部俺だけのものにしたい。俺だけに見せて欲しい。
全てを。
コメント
3件
のりもちさん、こんにちは!第2話、読ませていただきました〜! あの楽屋での衝撃のカミングアウトシーン、めっちゃ面白かったです!まさか4人全員が仁人くんを好きだったなんて…しかもお互い「なんとなくわかってた」って冷静すぎるでしょ(笑)でも「密かに愛そうの会」の切なさが逆に愛おしいです。最後の「もう無理だ」からの感情の爆発、すごく心に響きました。続きが気になります!