テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
「こ、高校を変える!?」
生徒指導室で僕に向かって先生が怒鳴るように声を上げた。声が、震えていた
(そりゃそうだろう。成績優秀で県内随一の超進学校にいける、男がこんなことを言い出したら僕でもこうなると思う)
こんな時代だから、人の将来に口も出せない。出すような先生でもないだろう
「…後悔、しないんだな、?自分で決めたんだな、?」
「はい」
「…先生はな、……良かったよお前が、」
「…?」
………
時期は遡り、まだ奏斗が奏斗の頃。
(大丈夫だろうか、奏斗くんは三者面談の時期になるまで行きたい高校を聞いても何も言わないし)
「それでですね、」
机に今までのテスト結果を出して
「素晴らしい成績ですよ、奏斗くんは」
「あらっ!いいじゃないの!頑張ってたもんね!」
遠慮がちに、微笑む、嫌そうな、辛そうな笑顔だがそれを気にとめない母親
(あぁ、いるんだよな…今回は特に、嫌な予感だ)
「これなら、これくらいの高校には行けるかと」
「いいじゃない!ここにする?」
こくりと頷く
(母親の前では暗いな、友達の前だと明るいのに、借りてきた猫みたいになる生徒は沢山いるが、これは…)
「奏斗はそれでいいんだな?」
「……はい、」
下を向いて、唇を噛み締めている
(将来には本当に口を出さないな、…お前の人生だろうに)
「それではこれで進めます」
ちらりと母の方を見るが高校しか、子供の将来しか目に入っていなそうだった。
「……お家ではどんな感じですか」
「全然勉強しなくってー、心配でしたけど、こんなにいいなら大丈夫ね!」
「そうなんですか、自主学習もしっかり出ていますし、課題の期限も大丈夫でしょうし、学校ではお友達も多くて、人気者で」
………本当に、大丈夫なのか。
(後悔しないのか?奏斗!)
俯いて、悲しそうで、
君は必ず後悔する。
目に見えるほど、失敗はしないだろう。
いい高校に行くなんて、素晴らしい、幸せだろう、でも、それでいいのかお前がやりたいことは違うだろう。
お前が笑顔になる道はそれじゃない
他人で、関わりなんて3年くらいしか無かった。そんな俺でも気づく、お前の苦しみに、なのに母親は何をやっているんだ。
でも、母親は間違っていない。
いい高校に入っていい大学に入っていい企業に入って、
でも望んでないだろう。本人が、
本人に聞いたのか?
何をしたいか聞いたのか?
いつだって、面談中だって、これでいい?としか聞かないだろう。
「奏斗、やりたいことはあるか?将来の夢は?」
そう聞こうとした。聞けなかった
ふたりで面談した時そう聞いたら泣きながら出ていってしまったからだ。
…奏斗お前は一体。
「それでは、ありがとうございました。奏斗、…頑張れよ」
「ありがとうございましたー!うふ、」
「…ありがとうございました、」
(奏斗、)
…………
「先生!面談!いいですか!?」
「……奏斗」
「良かった、お前が、自分から高校を…行きたい高校を…」
「先生。」
なんだ、?奏斗は行きたい高校が、夢があったんじゃないのか、?
「今ならまだ間に合うだろう。すぐ手続きするな、」
「あの先生!親は、お母さんは、」
「…そうだな、放課後、お母さんは時間ありそうか、?」
「多分大丈夫だと思います。」
………
「どうしました、?奏斗、何があったの?高校の手続きで何かあったの、?…まさか内申点とか、学校でちゃんとしてる!?生活態度も、」
「お母様、!安心してください。いつも真面目ですよ、」
「そ、そうなのね、?奏斗、」
(奏斗、目付きが、前の面談と違う。ちゃんと、前を見ているんだ。)
「お母様、お座り下さい。」
(なら、俺もしっかりと、前を見ないと、余計なことは言わない。余計な提案はしない。この面談は奏斗のお母様のためじゃない。奏斗のためだ。俺も、生徒の将来の責任を背負う1人だ、奏斗のやりたい事を優先させてやろう、人を殺そうだとかそんなことじゃない。止めることはない。)
「奏斗くんは、志望校を変えたいと言っています。」
「は?…どこに行きたいといっているんですか?」
「ここです。」
用意していたプリントを渡した。
陽灯高校
「……奏斗、あんた何がしたいの!奏羽の、奏羽の分までしっかり頑張らなきゃ行けないのよ!奏羽も、腹痛めて産んだのに…なのに!あんなに体調崩して、回復したと思って学校行ったら一日で死にかけやがって、なのに!あんたは!身体は丈夫だし!頭もいいんだから!ちゃんとした高校行きなさいよ!」
「お母様!落ち着いて」
「あんたは今関係ない!あんたも、こんな馬鹿みたいな提案無視して!さっさと書類高校に出せばいいのよ!」
「…っ!」
「母さん。もう僕は」
「あんた!どんだけ金かけたと!」
「ごめんなさい。出ていきます」
「はぁ!?」
(そうか、陽灯高校は…寮が)
「やりたいことはまだ見つからないけど。少なくともここに行ったらわかる気がする。」
「ないならあの進学校に」
「嫌だ。」
「お母様。もう既に書類の用意できていますので」
「本当に、馬鹿じゃないの、あの高校に行けば、お兄ちゃんなんだから弟の分まで頑張りなさいよ」
……弟だよ、弟だから頑張らなきゃ行けないんだ、兄さんは、頑張ったから、やっと僕にチャンスが巡ってきたんだから、
「ごめん」
「もういいわよ好きにしなさいよ」
「…それでは陽灯高校で進めさせていただきます。」
なんだか、清々しい気分だ。
(…良かったな奏斗)
………
「はぁ、疲れた。」
(でも、やったんだ、ついに)
メールがきた
兄さんの彼女からだ
「どうしたの?」
「それはこっちのセリフ!志望校。陽灯高校にしたんだって!?」
「な、なんでそれを」
「数見くんから聞いたの!」
…余計なことを
「決めたから、僕は」
「前から様子おかしいよね」
「は?」
「……奏羽くんが、死んでからかな。なんかよそよそしくなったし、暗くなったし、周りの子も、なんかおかしいって言ってたよ。」
(嫌われたか、?…仕方ないだろ、僕は、奏斗じゃない)
「そもそも、!…いつも俺だったのに、僕になってる、一人称が、…それに、言い表せないけど、…わかるの、好きだから!あなた、奏斗くんじゃない!誰なの!?」
……羨ましいよ、こんなに愛してくれる人が、いるなんて
「…ごめん」
電話を切った。
僕はそれから学校に行かなくなった。
勉強だけをした。
親は何も言わなかった
最初は父さんが心配していたが、僕を心配すると母さんが不機嫌になるから部屋に様子を見に来なくなった。
時折父さんが好きなCDを部屋の横にある本棚の上に置くようになった
「……別に僕は好きじゃないっての、」
そして受験本番。
調べると面接だけだった。
でも、怖かったから勉強だけはした。
多分なにか努力というものをしていないと不安だったんだ。
………
「はい、じゃあ、齋藤奏斗さんね、よろしく」
「はい!よろしくお願いします!」
トントントンとペンで机を数回叩くと真面目な顔をやめてにこりと笑い、
「で、本当は?」
「え?」
「隠さなくてもいいよわかるから、わかるんだよ、隠す必要ないだろう?安心しなさい、この学校はそういうところだ。」
「齋藤、奏羽です」
「そう、何があったのかな?替え玉受験って訳でもないだろう」
「…僕は、病弱でした。いつも病院のベットで寝ていて、死ぬ直前、兄を恨みました。あいつばかりずるい。健康で、みんなから好かれて、勉強も運動もできて、…なのにっ僕ばかり、」
ポロポロ涙がこぼれて下を見て、ズボンの上で拳を握りしめ、
「それで、目が覚めたら、兄の体に入ってしまって、…それで、」
「…だから君の体に2人分入っているんだね、いずれお兄さんは死ぬだろうね」
「…はい、そうやって、この学校を進めてくれた友人に言われました。」
ペンを回しながら面接官は。
「そうだねぇ、それならその魂をこちらで預かろう。死ぬと君は自分を責めるだろう」
「ほ、本当ですか!で、でもそれなら僕の魂を」
「君のお兄さん、何かあったのかね?…すごく生命力がない。まるで精神的にまいっているように、おそらくだけど身体を明け渡しても酷い結果になるだろうね」
(僕のせい、だろうかでも、いつも明るかったし、…なにかきっとあるんだろう)
「まぁともかく、君は合格だおめでとう。ようこそ陽灯高校へ」
「はい!ありがとうございます!」
「全寮制だけど大丈夫だね?」
「はい!」
僕は絶対に幸せを手に入れる。
そして、兄さんを元に戻す。
24
ユキ
30
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!