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ChroNoiR短編集(bl)

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knkz 離れていても

♥

130

2023年10月18日

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「」葛葉

『』叶


葛葉side


『葛葉〜僕仕事でしばらく家空けなきゃっぽい』

突然叶から言われたそんな言葉。

「え、どんくらいなの」

『なんか1週間ちょっと』

「わりと長くね?」

『うんー、やだなぁ葛葉と離れるの』

「たかが1週間だぞ、何も変わんねーよ」

『でも〜』

叶はもごもごしゃべっている。

・・・1週間か、別に配信と仕事してりゃすぐだろ。


(出発当日)

『じゃあ葛葉、行ってくるね』

「あい〜頑張って」

『葛葉いいの?ほんとに僕行っちゃうよ?』

「ww早く行けって」

ふざけながら笑ってスーツケースを持った叶を送り出す。タクシーに乗り込み、窓からも手を振っている叶。

あいつ大袈裟すぎだろ、、たかが1週間で。

鼻で笑いながら家に入る。

てか俺もそろそろ準備しなきゃ。


(仕事終わり)

うぁ〜疲れたあああああ。

あー早く帰ろっと。あ、そうだ、叶にメシなにか聞こっと。

LINEを開いて気づく。

あ、叶いないんだった。

しょうがない、なんか頼むか〜


自宅に着きドアを開ける。真っ暗で冷えたリビング。これまでも何回もあったことなのに今日は叶が帰ってこないからかより暗く広く感じる。俺はそんな暗さを打ち消すように家中の電気をつけてまわる。

明るくなった室内に満足しテレビをつけリビングに座る。スマホを見るが叶からの連絡はない。そりゃそーだ、仕事してんだろ。

そう思いスマホを置いてテレビを見るも気づけばまたスマホを見てしまう。

そんな自分が嫌になりソファのクッションをぎゅっと抱きしめる。


ピンポーン

お、来た来た。

頼んだ牛丼をテレビを見ながら食べる。

・・相変わらずうめーー!

自室でゲームをして気づけば23時。なぜか今日は配信しようと思えなかった、何かを言ってしまいそうだったからだ。


湯船をため、脱衣所で服を脱ぎかけた時に洗面台になにか置いてあるのに気づく。


«葛葉お帰り〜ゆっくり浸かってから寝るんだぞ»

あいつが書いたのだろうメッセージが上に乗った入浴剤だ。見ると温泉に浸かった猫が幸せそうな表情をしている絵が書いてある。

「ふっ、、なんだよこれ」

思わず笑いながらスマホで写真をとり叶に送る。


ピコン

『あ、見つけた〜?おかえり葛葉』

すぐ返ってきた叶からの返事。

・・あいつ暇なのかよ。

そう思いながらも嬉しくなってしまう自分がいる。

「そっちどーなん?」

『んー、なんかベッドの寝心地が悪そう』

・・なんで第一声がそれなんだよw

叶らしすぎて笑ってしまう。

その後もいくつかやりとりをしているとずいぶん長風呂になってしまったことに気づく。

「あちーから出るわ」

『あ、ずっと風呂つかってたんか、湯冷めするなよ〜おやすみ葛葉』

そんな叶からのメッセージを見て、お前は母親かと思いながらシャワーを浴びる。

洗面台で歯を磨きながら置いたままのコップにそえられた叶の歯ブラシが目にうつる。

・・この歯ブラシも家具を買いに行った時に買ったっけ。叶がどうしてもこの歯ブラシがいいっつって薬局3件くらいまわったんだよなぁ。

懐かしい思い出が蘇る。

寝室に入り、1人には広すぎるベッドを見る。ふと思い立っていつも叶が使っている枕に自分の頭を乗せ寝ころんでみる。枕元にねそべるロトをいつも自分が寝ている場所に置き、自分は叶の位置で寝る。

なんだか変な感じだが不思議とすぐに眠りに落ちた。


気づけば叶のいない生活は4日目に突入していた。俺も仕事が詰め込まれており、今週は忙しい。むしろ忙しいのが有難いとすら思った。ただ、疲れて帰っても笑顔で俺を呼ぶ叶はおらず、毎日真っ暗な家が俺を迎える。

叶からはあれ以降何の連絡もない。まぁ当たり前だ、忙しいんだろう。大体遠出の収録ってすげー詰め込まれるもんな。

あいつのことだからうまいことやってんだろーけど、、、

叶が帰ってくるまであと3日もあると考えると、急に不安が俺を襲う。

今日も風呂に浸かりながら、叶とのLINEのやりとりを眺める。

「おまえだいじょーぶかぁ?」

メッセージを打っては消し、打っては消しを繰り返す。

連絡しても叶が忙しいかもしれない。たまには俺と関わらない日も楽しんでるんじゃないか。

いろんな思考がメッセージを打つ手を止めてしまう。結局今日もメッセージは送れずスマホを一度置く。

なぜかずっと叶のことを考えてしまう。あいつ何時に寝てんだろ、明日何時起きかな、飯食ってんのかな、、

限りなく頭の中で溢れる叶の顔。

俺は意を決してスマホを持つ。

1回だけ、かけてみよう。

でなければ、間違えたって送ればいい、あいつ気遣ってかけ直しそうだから、、、


prrrr



叶side


・・疲れた。やばい。

収録も4日目、怒涛のスケジュールが詰め込まれた鬼のような予定。食事と睡眠以外はわずかな休憩時間しか取られていない。さすがに疲れが溜まってくる。

・・葛葉なにしてるだろ。

ふと葛葉の顔が思い浮かぶ。初日にメッセージでやりとりした以外は特に音沙汰がない。

葛葉も葛葉で今週は忙しい週だ。お互いたまにはこうやって離れるのも仕事に集中する意味でいいのかもしれない。でも、それにしても疲れた。

時刻は深夜の1時半。もう寝ないとまた明日も朝から予定が詰め込まれている。

葛葉が配信でもしないかなと思いアプリを開くが配信はしていないようだ。やっぱり忙しいのだろう。

ホテルのお風呂に湯を張りながらスマホをいじる。スマホの中のカメラロールにある僕と葛葉の写真を眺めながら思い出に浸る。

・・葛葉にはやく会いたいな。

そう思った時だった。


prrrr


突然鳴り響く着信音。スマホの画面には葛葉の文字が。

『もっもしもし?!』

僕は咄嗟に電話に出る。

「うお、っくりしたーー。忙しかった?今」

いつもどおりの葛葉の声。

『う、ううん!どうしたの?』

「あ、いや、別になんもねーんだけど・・」

そういい黙る葛葉。

いつもの僕なら葛葉をからかっていただろう。だが今の僕にそんな余裕はなかった。

『いやもう聞いてよ』

「なに、どしたの」

『なんかもうバカみたいなスケジュールでさぁ、疲れたわさすがに』

「あーやっぱ?大体遠出の時やべーよな」

『いやほんとやばい、奴ら僕を殺しにかかってる』

「www」

僕は湯船に浸かりながら葛葉と通話を続ける。葛葉も入浴中のようだ。

『それでさー』

たった数日しか経っていないはずなのに止まらない話。葛葉も珍しくたくさんしゃべっている。

「しかもそれでさ、、、あ、俺そろそろシャンプーしたいかも、お湯ぬるくなってきた」

『じゃ、出よう』

「じゃ、1回切るわ」

『・・待って!やっぱこのままシャンプーせん?』

「は?なんも聞こえねーじゃん」

『いや、いいじゃんそれでも。なんとなく切りたくないの』

「なにそれwww相変わらず頭沸いてんなぁww」

そう言いながらも通話を切らずにいてくれる葛葉。お互いシャワーの音しか聞こえない時間が流れながら笑う。

その後も話は続き、ドライヤーの時はわざわざ2人ともイヤホンにかえてまで喋った。

パジャマに着替え、ベッドに入る。葛葉もベッドに入ったらしく布団の音がする。

『葛葉、ベッド広くない?』

「・・広くていい感じ。お前の枕、低くね?」

『え、なに、葛葉僕の枕使ってんの?』

「・・いやっ、試しに敷いてみただけだし」

『えーなにそれ可愛すぎんだろお前』

「ちがっ、、」

僕が笑うと照れる葛葉。

『・・葛葉、はやく会いたい』

「ならはやく帰ってこいよ」

『葛葉も会いたいって思ってくれてる?』

「・・そろそろ1人も飽きたわ」

『ふふっ、、あ、葛葉ごはんちゃんと食べてる?』

「出た、おかんやんお前もうー」

『だって心配なんだもん』

「食ってるよ、でも」

『でも?』

「はやく叶の飯が食いたい」

『・・僕もう明日帰ろっかな』

「お前なに言ってんだwww」

『いやもう葛葉がいない生活に限界を感じはじめてるわ』

「んなことねーだろwwま、はやく帰ってくるこったな」

そんな会話をしながら2人して寝落ちてしまったらしい。翌朝通話中のまま6時間が経過している画面を見て慌てて画面を押す。

昨日葛葉とたくさんしゃべったからか今日は妙にテンションが高い。

よし、あと数日頑張るぞ。



?「お疲れ様でしたー!!!」

?「叶さん、この後みんなで飲みに行きますけど、、」

『あ、僕ちょっとこの後用事があって、、すみません、また誘ってください』

そう言い頭を下げてタクシーに乗り駅に向かう。新幹線の中でスマホを見ると

「何時に着くの?」

葛葉からのメッセージ。

『18時半くらいに最寄りつくから19時くらいかな』

そう返す。

すぐにピコンと通知音が鳴り、画面を見ると

「おけ〜、駅まで迎えに行くわ」

想像していなかったサプライズに思わずにやけてしまう。

予定通り駅に着き、改札を抜ける。

その先にずっと会いたかった葛葉が立っている。僕はスーツケースをガラガラ引っ張りながら少し早足で駆け寄る。

『葛葉!!!』

「うお、おかえり叶」

『ただいま!ありがと、わざわざむかえに来てくれて』

「・・いや、雨降ってたから」

そう言いながら傘を手渡す葛葉。

この後どうせタクシーで家まで戻るから傘別にいらないのに、、可愛いんだからもう。

思わずにやけながら傘を受け取る。すると葛葉は僕のスーツケースを引っ張り歩き出す。

『え、葛葉いいよそれ』

「や、お前疲れてんじゃん、いいって」

僕は少しぽかんとしながら言われるまま葛葉に着いていきタクシーに乗る。

家に着き、2人で玄関をあける。

『ただいまぁ〜』

「はい、おかえり」

たった1週間だが久しぶりに帰った我が家は良い。よく見るとなんだか綺麗な気がする。

『葛葉、もしかして掃除してくれた?』

「掃除くらいするだろ、住んでたら」

そう言いながらリビングにむかう葛葉。僕は手洗いをしに洗面台へむかう。

そこであるものに目が止まる。

温泉に浸かった幸せそうな顔をした猫の入浴剤。

『葛葉!これっ、、』

そう言うとにゅっと顔を出し

「それふつーに良かった、お前がよくいく店で見つけた」

と答える葛葉。

僕はさっそく湯船をためながら葛葉にいう。

『お風呂上がったらゲームしようぜ』

「いいけど、お前疲れてねーの?」

『なんかもう吹き飛んだわ』

「・・便利だなお前の体」

『うあーーー!!やっとゲームできる!!』

雄叫びを上げる僕を見て「お前どんだけだよ」と笑う葛葉。

そうこうしているうちにぴぴっとお風呂の沸いた音がする。

『葛葉ぁー!』

「こんどはなに」

『お風呂わいたよ』

「はい、どーぞ」

『違うじゃん!』

「なに」

『一緒に入ろ!!』

「えー、、」

『いいじゃん!お願い!』

「・・まぁ、いいけど」

そう言いながらトレーナーを脱ぎ始める葛葉。

風呂も上がり2人でアイスを食べながらボケっとテレビを見る。

『あー幸せだわぁ』

「そ?よかったじゃん」

先にアイスを食べ終わった葛葉は僕の膝に頭を乗せながら仰向けで顔だけテレビの方を見ている。

僕がアイスのカップとスプーンをテーブルに置いた瞬間、葛葉は立ち上がる。

「っしゃ!じゃーゲームやりますか」

『のぞむところだ』

「ゆーてお前にぶってんじゃねぇの?」

『葛葉だって絶対今週やってないじゃん』

「・・俺はポテンシャルがありますから」

『はいはい、やるよ』


そう言いながら準備をする。

時刻はまだ21時。今夜は長くなりそうだ。


おしまい

この作品はいかがでしたか?

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コメント

2

ユーザー

嬉しすぎるコメントありがとうございます✨お二人の口調やセリフにいつもかなり悩むので、そう言って頂けて本当に嬉しいです!これからも作品たちをよろしくお願いします🙇‍♀️🙇‍♀️✨

ユーザー

yさんのChroNoiR小説全部見させて頂きました❕❕ ほんとに口調とかすっごい2人にそっくりで何度もニヤケました(笑) 今回の小説も幸せでニヤケながらも涙出ました😢😢 中々素直にならない葛葉 すぐに会いたくなる叶くん、 解釈一致すぎて、、幸せですᐢ ̥_ ̫ _ ̥ᐢ♡ これからの作品も楽しみにしております👍🏻´- 長文失礼致しました.ᐟ.ᐟ.ᐟ🙇‍♀️

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