俺の名は木葉秋紀。
梟谷学園男子バレー部2年。
友達と後輩の恋を守るキューピットみたいなことをしたのだが、
晴れて公認バカップルとなった赤葦に話があると呼び出されていた。
「あの、木葉さん…」
「ちょっと待って!惚気はいらないからね!木兎からのだけでお腹いっぱいだから!」
「ちっ違いますよ!そんなんじゃないです!」
木兎と違ってこいつは無自覚で惚気けてくるから信用は出来ないけど話くらいは聞いてやろう。
「えっと、木兎さんクラスとかで大丈夫ですか…?」
「大丈夫って?」
「俺との事で周りからなんかあったりとか」
「いや、ないない」
赤葦は知らないだろうが付き合ってるって知られる前から2年の間じゃ正直木兎の嫁で通ってたし
「赤葦の方こそ大丈夫なの?」
「俺は元から友達多いほうじゃないんで、直接なんか言ってきたりとかは特に…あっでも、話したことも無い女子にいつから付き合ってたのとかは聞かれました。」
やっぱり木兎さんはモテるからな…と赤葦は言ったがソレ多分違う…まぁ、ここでは深堀しないでおこう。
「そんな心配ならさ、ちょっと覗いてけば?」
赤葦にそう提案して2年の教室に向かった。
俺は木葉さんに言われるがまま2年の教室前まで行った。
木兎さんに気づかれないように覗いてみる。
木兎さんの机の周りは人がいっぱいでクラスメイトと話しているようだった。
「そんときの赤葦が超かわいくて!それで〜…」
「それ前もいってなかった?」
「そんでさ〜赤葦がさ〜…」
「わかったって!お前ホント赤葦くん好きだよな」
「うん!好き!…はぁ、赤葦の話してたら会いたくなってきちゃったな〜」
想像の3倍程惚気けてるなとか、そんなこと思ってたのかとか色々と思ったことはあったけど、
木兎さんの最後の一言を聞いて思ったことは1つ。
「俺もです!」
言うのと同時に教室に入り木兎さんに抱きついた。
「えぇっあれ、まって幻覚?赤葦に会いたいと思ってたら赤葦が見えるようになっちゃったんだけど」
突然の来訪に戸惑っている木兎さんに
「ホンモノだわ」
とあとから教室に入ってきた木葉さんがツッコんだ。
「赤葦、来てくれて嬉しい。大好き。」
強く抱き返されてそう言われる。
あぁ、俺も…
「す…「公衆の面前でイチャついてんじゃねーよ!」
バシッと木葉さんが木兎さんの頭をはたいた。
危ない周りに人がいるのを完璧に忘れかけていた…木葉さん、ありがとうございます。
自分だけはたかれ納得のいかない木兎さんが抗議の声を上げていたが俺は
「じゃあ俺はそろそろ自分のクラス戻るんで」
そう言い頭を下げ立ち去った。
廊下を歩いていると後ろから走って近づいてくる音がする。
立ち止まり振り返ればさっき会ったばかりの木兎さんだった。
「どうしたんですか?」
「教室まで送ってく!」
俺の手を掴んで木兎さんが歩き出した。
「俺もう1人で階段下りられますよ?」
「赤葦が言ったでしょ!付き合ってるんだから階段以外でも繋げばいいって!」
「….そうですね。じゃあ教室までお願いします。」
上機嫌になった木兎さんは繋いだ手をぶんぶん振りながら歩いていた。
階段の踊り場まで来たところで木兎さんを呼び止める。
立ち止まった木兎さんに1歩近づいてほんの少し背伸びをしてキスをする。
突然で木兎さんは目もつぶってもいなかったみたいだけど、
ここなら誰もいないし…そう思ったら我慢できなかった。
いつもは木兎さんに振り回されてばかりだしこの位いいでしょう?
「赤葦…っ!ホントにそんなかわいーことしないでよ〜教室でお別れ出来なくなっちゃうでしょうが!」
「部活でまたすぐ会えるじゃないですか」
「そうだけど〜」
俺たちは再び歩き出した。
階段での思い出は俺にとって恐怖でしかなかった。
恐怖が薄れてきて1人で下りられるようになっても未だに夢に見る程には。
そんな階段での思い出も貴方との思い出でなら上書きできると思ったんです。
俺の手を引き前を歩いて行く木兎さんの背中を見て俺はこの人とならきっと大丈夫と改めて実感した。
コメント
2件
番外編、ありがとうございます✨ 兎赤ってなんだかんだ変人&天然コンビなんで、普通にみんなの前でイチャイチャしそうですね…笑