テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
注意事項
地雷さんや苦手な方はそっと閉じてください
この作品はご本人様と何一つ関係ありません
コメントをする際には批判ではなくアドバイスをしてください。
それでは楽しんでいってください!
叶さん視点。
弦月さんの言葉が部屋に響く。驚いて固まっている葛葉と僕を気にせず弦月さんは再び言葉を紡いだ。
〚葛葉さんが好きです。でも僕はまだ付き合いたいとかは考えていません。葛葉が叶さんとしっかり向き合ってけじめを付けるまでは葛葉さんを支える1人の友人でありたい。 〛
『なんで……。』
気づけば自然と気持ちが溢れ出ていた。
〚そうじゃないと葛葉さんを苦しめる事になります。それに僕は葛葉さんに僕自身をちゃんと見てほしい。〛
真っ直ぐと僕を見る弦月さんの目は真剣で誠実そのものだった。
『弦月さんはなんでそんなに葛葉なんかに必死になれるわけ?』
疑問だった。なんでこれ程の人が葛葉にこだわって大切にするのか。こんなのになんで必死になれるんだろう。僕には分からない。
〚葛葉さんだからです。他の誰でも無い葛葉さんだから大切にしたいと思える。叶さんもそうなんじゃないんですか?〛
『は?そんな訳ないでしょ笑。』
弦月さんは何を言ってるんだろう。やっぱり葛葉を選ぶくらいだからまともな人じゃ無いのかも知れないな。
〚じゃあなんで大坂まで来たんですか?大切じゃないなら来なくても良いはずですよね。〛
『……………。』
〚指輪を付けてたりとか浮気をしても別れ話をしなかったのも全部、依存してたからなんじゃないですか?〛
『違うってそんなんじゃないよ。』
そう違う。別に僕は大切じゃない。大坂に来たのだって甲斐田に聞いたからだし指輪だって勿体ないから付けてただけ。それ以上でもそれ以下でも無い。
〚葛葉さんを繋ぎ止めておきたくてしたことなんじゃないですか?〛
『違うって言ってるよね。』
苛立ちを含んだ言葉を言い放っても弦月さんは口を止めなくて憶測を語っていく。それがどうしようもなくイラついた。お前に何が分かるんだよ。
〚本当は叶さんが1番葛葉さんの事で 必死になってるんじゃないですか?〛
そう自信満々に言い切った弦月さんを見てついに何が切れた気がした。
葛葉さん視点。
ドカっと鈍い音が聞こえた。一瞬、何が起こったか分からなかった。でも隣に居たはずの弦月さんが床に倒れていて叶が胸ぐらを掴んで殴りかかろうとしていた。それを見た瞬間に何が起きたか理解して冷や汗が流れ出てくる。止めないといけないと頭では分かっているのに怖くて体が動かない。心臓がどくどくと脈打っていて苦しい。喉が締め付けられて声が上手く出せない。
「あっ…弦月さんっ、、、。」
涙が出てきて滲む視界の中で勢い良く拳を振り上げた叶から弦月さんを庇うように覆いかぶさった。
プツン。
殴られた痛みよりも音よりも先に頭の中でそんな音が響いた。頭からじわじわと広がってくる熱さと痛み、そして髪の毛を伝って落ちてくる液体。カーペットに出来ていくシミと触った手に付いた生暖かい赤い色。血管が切れたんだ。ケガを自覚した途端にあの夜に切れた足と比べ物にならないか痛みが広がる。
「あれっ?」
ぼたぼたを手に落ちてくる血。目を見開いて固まる弦月さんと叶。奇妙で不思議な光景を見たのを最後に体が床に打ち付けられる。視界が360°回って自分の呼吸をする音だけが聞こえる。今度は弦月さんが泣きながら俺に話しかけくるのが分かったけど相変わらず上手く声は出なかった。
弦月藤士郎さん視点。
叶さんに突き飛ばされた時まずいと思った。叶さんを煽りすぎた。でも後悔してももう遅くて振り上げられた腕をただ見つめていた。葛葉さんが無事ならそれで良い。僕は任務でケガをする事があるから慣れてる。そう思って目を瞑ったのに衝撃は来なくて代わりに血が僕の服に落ちてきた。僕の血じゃない。叶さんの血でもない。なら後は1人しか居ない。
〚葛葉さんっ!!〛
倒れ込んだ葛葉さんを見て涙が出てきた。守ろうと思ったのに、助けたかった。好きで大切な葛葉さんを巻き込んでしまった。僕が叶さんを煽りすぎたからだ。そもそも2人の問題に踏み込み過ぎたのかも知れない。でも考えるのは後で良い。鞄からハンカチを取り出して傷口を抑える。吸血鬼とはいえ血が出てきていて傷も深い。治るには時間がかかるはずだ。とにかく血を止めないと。
〚葛葉さん聞こえますか?〛
返事は返ってこない。それがより僕を焦らせる。
〚ごめんなさい僕のせいで。〛
血が少しずつ止まってきたのを見てハンカチを離す。でも痛々しい跡が残っていて居た堪れない気持ちになった。
『くず…は、、、。』
叶さんはまだ固まっていて声は震えていた。そんな叶さんの手にはべっとりと血が付いていた。
〚救急車を呼んでください。〛
叶さんを本当なら殴りたい。でも今は葛葉さんが優先だ。なるべく優しく諭したのにスマホを取り出そうともしない叶さんにイラついて怒鳴ってしまった。
〚叶さんがやった事です。いいから早く呼んでください!!出来ないんですか!!!〛
『っ!!分かり…ました。』
叶さんの胸ぐらを今度は僕が掴んで揺さぶる。それでやっと叶さんと目が合った。スマホを取り出して連絡をした叶さんを横目に葛葉さんに意識を戻す。傷口が塞がり始めていて跡も薄くなっている。流石、吸血鬼だとは思うけど葛葉さんはまだ目を開けない。
〚葛葉さん……。〛
縋るように、祈るように泣きながら呟いた言葉はみっともないくらいか弱くて小さかった。
はい!
ここまで読んでくれてありがとうございます
コメントもいいねもたくさん来て嬉しいです。この展開で良いのかな…。
以上きい。でした(*‘ω‘ *)
コメント
9件
叶さぁん、、葛葉さんに依存しちゃってますね、 重症です(?)
多分これ、きっと弦月さんとくっつく気がしてきた