テラーノベル
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昼過ぎ、掃除も洗濯も終えて、みんなでだらーっとリビングに転がってた。
涼ちゃんはソファの背もたれに頭を乗せて、足をぷらぷら。
若井は雑誌を片手にコーヒー二杯目。
俺は……眠気と満腹感で完全に戦意喪失。
「なぁ…平和すぎて逆に怖くね?」俺がぼそっと言うと、
涼ちゃんがニヤッとしながら
「そういうこと言うと、だいたい事件起きるからね」
とか縁起でもないことを言う。
若井は「元貴がまた薬に手ぇ出しそうになるのが事件だろ」と即ツッコミ。
「いやいや、今日は大丈夫。昨日涼ちゃんを叩き起こしたおかげで、衝動も消えたわ」
そう言った瞬間、涼ちゃんがドヤ顔で
「ほらな。僕は人類の目覚まし時計」と胸を張る。
若井は吹き出して「その時計、時々スヌーズ効かないぞ」って茶化す。
俺は笑いながら「でも、止めてくれるやつがいるのって、やっぱありがたいな」って素直に言った。
その瞬間、涼ちゃんが「うっ…やべ、泣く…」って半泣きで顔覆って、
若井は「泣くの早ぇよ!」って叫んでた。
その直後――
涼ちゃんが涙目のまま立ち上がって
「じゃあ、感動したし、コーヒー淹れてくる!」とキッチンへ向かった。
…が、10秒後。
「ぎゃあああああ!」
派手な悲鳴とともに、何かが床に落ちる音。
慌てて見に行くと
コーヒー豆の袋が真っ逆さまにシンクにダイブしてて、粉が水に浮かんでいた。
涼ちゃんは固まったまま「これ…カフェオレ…にはならないよね…?」と震える声。
若井が「それはただの“水浸しの豆”だ」と冷静に突っ込む。
俺は笑いをこらえながら「なんか事件、早すぎない?」って言ったら、
若井がジト目で「ほらな、平和すぎるって言うとこうなるんだよ」とドヤ顔返し。
結局その日、俺たちは粉コーヒーを諦めて、近くのカフェまで歩いていった。
途中、涼ちゃんは「でもさ、これも平和なトラブルってやつじゃない?」と笑ってて、
俺は少しだけ、薬のことなんて忘れて笑えた。
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