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1歩進む毎に砂浜の心地よい音がする。
それが2つ在る。
月夜に相応しい、晴れた星空と青く澄む海。
周りに明かりがない為星がよく見える。
そう言っても12月の冷え込む海辺。
長袖を着てもそこまで厚くないから暖かい訳ではない。
自殺したい訳でもなく、なんとなく散歩に来ただけ。
いつものシャツにジャージで来たのは間違いだった。
それでも尚、なにかを楽しめる。
ただ冬の夜、そんな星空。
綺麗でないことがなく、2人で見るのはちょっと新鮮。
写真に撮っても肉眼程綺麗には映らない。
少し先に行ったところに、砂の間から一瞬輝く何かが見えた。
駆け寄ってみるとシーグラス。
この辺りにいくつか落ちている。
青く輝いて、星空にぴったり。
白っぽかったり、水色っぽいのもある。
「ほら、Nakamuにぴったりな色」
「ほんとじゃんwこっちもきんときっぽいよ」
そんな会話を交わしながら。
空から落ちてきた星の欠片みたい、なんて思ったりして。
実際は長い海を渡ってきたただの小片だけど 。
少しだけ現実から離れさせてくれたシーグラスを1つ、いや2つ手に持つ。
このまま持ち帰って家に飾ってやろう。
立ち上がって、また歩く。
そろそろ家の方へ引き返そう。
今日は互いにあまり暖かいものを着ていない。
無理してここにいるのも話が違う。
じゃり、じゃり、と砂が音を立てる。
そんな浜も昼になれば海や空と共に姿を変える。
朝焼けも大変綺麗なもの。
あまりそこまでここで過ごしたことは無いけれど。
今度はそれもいいかなぁ、なんて。
海は昼も夕も、夜も朝も全部違って全部綺麗。
夏でも、冬でも。
ただシーズンというものは存在する訳で。
夏の間の夜の浜は涼しい。
逆にちょっと寒いくらい?
時間が経つのは早いことで、もう浜にいる時間は終わる。
砂の音から硬い音に変わる。
少し寂しい感じがしなくもないけど。
「じゃ、次は朝焼けな」
「勿論。おやすみ」
「おやすみ、またな」